| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十四話 森を進みその十

「お二人はそうした術はまだ使えないので」
「だからか」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「私も使うべきではないと思いまして」
「術が使えたらな」
「大丈夫でしたが」
 それがというのだ。
「しかし飛翔の術も使えるのは私だけで」
「三人同時に空に上がってか」
「はい、沼の場所をはっきり認識していれば」
 その場合はというのだ。
「出来ました」
「そうだったんだな」
「そうです、それが出来なかったので」
 だからだというのだ。
「こうしてです」
「沼まで歩いて行くんだな」
「そうです、一週間位はかかりますか」
 沼に着くまでというのだ。
「そして帰りもです」
「それ位かかるって思っていいか」
「はい」
 そうだというのだ。
「それ位は」
「それで領主さんのところに行ってな」
 智も言ってきた。
「ことの次第を話さないといけないからな」
「だからか」
「ああ、結構時間はかかるな」
 そうした旅になるというのだ。
「これはな」
「だから保存食は必要だったか」
「そうさ、とにかく食えないとな」
 そうしたものがなければというのだ。
「人間どうしようもないだろ」
「それは何処でも一緒だな」
「さっきも話したけれどな」
「だから保存食も作っていてか」
「損はないさ、若し森にいる間食わなくてもな」 
 そうせずに済んでもというのだ。
「後で、ってこともあるだろ」
「急に食いものがなくなったりな」
「そうしたことが有り得るだろ」
「ああ、それはな」
「ゼロじゃないからな」
「可能性としてはか」
「作っておいたってことさ」
「備えあれば憂いなし」
 久志はここで言った。
「そういうことだな」
「ああ、本当にな」
「備えあればな」
「憂いなしなんだよ」
 まさにというのだ。
「何でもな」
「特に食いものはか」
「あと水もな」
「ああ、水な」
 水の話を聞いてだ、久志はすぐにこう言った。
「布があるから穴を掘ってな」
「穴の上に布を置いてか」
「それで布から水が滴り落ちる」
「その水を水筒か何かで受け取る」
「そうすればいいし池や川があれば」
 久志は智に応えさらに言った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧