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レーヴァティン

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第十四話 森を進みその六

「多少以上の時間はかけていいかと」
「時は金なりっていうけれど、だな」
「お金も命あってですね」
「全くだな」
 焼いた肺のかなり独特な味と食感を感じつつだ、久志は答えた。
「それはな」
「はい、ですから」
「保存食も作るか」
「そうしましょう」
 こうしたことを話してだった、三人は熊の内臓を食ってからだった。次は肉を捌いてそのうえでだった。 
 燻製や干し肉を作った、作り終わった時はもう真夜中で久志は夕食の熊肉を煮たものを食いながら共に食う二人に言った。
「やっぱり相当な時間かかったな」
「予想通りですね」
「初日はこんなのか」
「はい、ですが」
「今日作った保存食がな」
「命をつなぐことになりかも知れません」
 順一は微笑み久志に話した。
「やはり」
「そうだよな、やっぱり」
「森の中にいるとな」
 今度は智が言ってきた。
「やっぱりあれだぜ」
「食わないとか」
「獲物を捕まえられないとな」
 その場合はというのだ。
「冗談抜きでモンスターにやられるよりもな」
「飢え死にか」
「そうなるからな」
 だからだというのだ。
「まずはな」
「食うことか」
「そうなんだよ」
 それが第一だというのだ。
「何につけてもな」
「森の冒険はそれが大変だな」
「ああ、今日みたいに獲物が手に入ればいいさ」
「そうでないとか」
「怖いぜ」
 そうした日はとだ、智は食いつつ真剣な顔で言った。
「何よりもな」
「食わないと死ぬからな」
「ああ、飢え死になんてなったらな」
「それこそだな」
「最悪だからな」
 死ぬにしてもだ。
「だからな」
「やっぱりそうか」
「ああ、本当にこうした時に保存食を作るか最初から持って行くか」
「持って行くことも多いよな」
「結構な、干し肉とか燻製とかあと干した果物とかな」
「主食もだよな」
「そっちはビスケットだな」 
 これだというのだ。
「それ持って行ってるぜ」
「ああ、ビスケットか」
「いいの知ってるだろ」
「携帯用の保存食にな」
 久志もこのことは知っていて答える。
「それは俺も知ってるぜ」
「それでなんだよ」
「ビスケットを持って行くんだな」
「今回はビスケットはあるけれどな」
「干し肉とかはなくてか」
「家になかったんだよ」
 置いてなかったというのだ。 
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