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レーヴァティン

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第十四話 森を進みその五

「ご安心下さい」
「それじゃあな」
「今から捌いて」
「食べましょう」 
「どんどんな」
「まずは食べられるだけ食べてです」
 そしてというのだ。
「残ったお肉はです」
「燻製とかにしてな」
「もう作りはじめるか?」
 智はこう二人に提案した。
「今から」
「木の枝を用意して」
「その上に肉を吊るしてな」 
 その煙でいぶしてというのだ。
「あと肉も干してな」
「随分大がかりだな」
「これが兎等なら言っていません」 
 小型の獲物だった場合はとだ、順一は久志に話した。
「しかし熊程になりますと」
「大きくてその分肉も多いからか」
「備えるべき時に備えておくべきです」
 順一の声は確かなものだった。
「ですから」
「今のうちにか」
「はい、保存食も作っておき」
「いざって時に備えるべきか」
「さもないと食料がなくなっては」
「腹が減ってはだからな」
 久志は熊の肺を食べている、そのうえで言うのだった。
「戦がっていうしな」
「はい、ですから」
「作られる時に作ってか」
「行きましょう」
「その沼はやっぱり遠いか」
 智は沼までの距離について言及した。
「そうなんだな」
「はい、それにです」
「まだあるか」
「そこまで鬱蒼としています」
 森を構成する木々がというのだ。
「道は見えませんでした、しかもドラゴンを倒して貴方の家まで帰りです」
「そこから領主さんのところにも行くからか」
「そうしたことまで考えますと」
「ここでか」
「はい、出来る限りです」
「保存食を作っておくべきか」
「そうすべきと思いまして」
 それ故にというのだ。
「提案させて頂いた次第です」
「そういうことか」
「まあそういうの作る時間はかかるけれどな」
 燻製や干し肉をとだ、久志は言った。
「けれどだよな」
「はい、やはりです」
「それだけの時間をかけてもな」
「生きることを考えれば」 
 そのリスクを考えればというのだ。 
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