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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0099話『畑仕事の合間の補給』

 
前書き
更新します。 

 





今日からまた新たな野菜を育てようと考えている。
畑仕事での仲間も何人か増えたので嬉しい限りだ。
元からいた武蔵、天龍、瑞穂に神威、清霜以外に早霜に長波、高波、速吸の四人が新たに加入していた。

「四人とも、畑仕事にようこそ。歓迎するよ」
「おう! 提督の炒飯にも期待しているからね!」
「た、高波も頑張るかもです!」
「……早霜も、お役に立ちます」
「速吸はおもに皆さんの補給に回りますね!」

事前に汚れてもいい服装に着替えてきてもらっていた四人はそれで元気よく答えていた。
うむ。元気があって大変よろしい。

「それじゃさっそくだけど始めるとするか。長波の希望もあってネギを新たに育てようと考えているんだ。本来は八月から苗つけをしていくものだけど最近はそんなに雨も降らないから今から育てれば秋ごろには収穫ができるだろうと思っている」
「提督よ。それでは早く植えても大丈夫なのか……? 痛むかもしれないぞ?」

武蔵がそう聞いてくる。
まぁ武蔵の意見も分からなくはない。

「今回はあくまで試験的な意味合いもあるからな。瑞穂たちが梅雨に植えていた野菜の経過も一緒に見る感じで一角にネギの場所を確保してもらった」
「なるほど。それなら心配ないな」
「ああ。八月になればさらに植え付けが出来る野菜が増えるけどちょうど大規模作戦に突入してしまうから忙しくなってくるから今いるメンバーで交代制で経過を見ていこうと思っている」
「そっかー……もうそんな時期なんだよね」
「ああ。のどかな時間が続いているから忘れがちだけど一応は戦争をしているんだよな」

それで清霜と長波がしみじみと呟いていた。

「その通りだ。最近は深海棲艦も活性化してきたという報告を川内に聞いているから備蓄もしっかりしておかないとな」
「とか言って提督。一昨日はサーモン海域北方を攻略していたよな? それに今日もKW環礁沖海域を攻略するつもりだろう? 大丈夫なのか……?」

天龍にそう突っ込まれる。
確かにそうだけどまだ八月までは半月はあるからなんとかなるだろうと私は考えている。
そこら辺をうまく伝えると天龍も納得したのか、

「わかったよ。まぁそこら辺は提督の責任って事で考えとくわ」
「はは、手厳しいな」

そんな話をしながらも私達はそろそろ畑を耕す作業へと移行していた。
不要な部分の枝を切ったり水やりなどをやったり他にも色々……。
地味な作業だけどそれでも一つ一つが大切な作業だから手を抜くことはできないのが畑仕事の難しいところだ。
あ、そうだ。後で粘り強さがモットーのザラでも畑仕事に誘ってみようかな?
イタリアの野菜のあれこれを学べるかもしれないし……。

「……そう言えば、司令官」
「ん? どうした早霜?」
「はい……。最近なのですが暁さん等第六の駆逐艦の子達がアサガオを作りたいとか言っているのですが、司令官、あとでお手を貸してもらってもいいですか……?」
「そう言う話か。わかった。あとで暁たちのためにプランターとアサガオセットを購入しておくよ」
「ありがとうございます……。司令官は話が早くて助かります」
「まぁそれだけみんなも色々と興味を持ってくれているから嬉しいんだよ」

と、そこに榛名が顔を出してきて、

《早霜さん。提督は皆さんの思いを大事にしていますから出来ることはしてあげたいんですよ》
「榛名さん……。その気持ち、少し分かります……」

それで早霜は微少だけど笑みを浮かべていた。
うん。あの早霜から笑みを見ることが出来るんなら誘った甲斐があったな。
誘ってくれた清霜には感謝だな。

「提督さん! それに皆さん。そろそろ休憩にしましょう」
「わかったよ、速吸」

それで私達は一度作業を止めて木陰へと入っていって椅子に座る。
そこに速吸が笑みを浮かべながらタッパを持ってきて、

「はい提督さん。それに皆さん。レモンのはちみつ漬けを作ってみたんです。よかったらどうぞ!」
「「「おー!」」」
「美味しいな!」
「とっても甘いかも!」

みんなが喜んでいる中で私も速吸が作ってきたというレモンのはちみつ漬けは一口口に含むと一気に味が浸透してとても美味しいな。

「もう! 速吸さん! 私も作ってきたんですから持ってきますね!」

そう言って神威もなにやら作ったらしくその後に少しゲテモノが出てきたけど美味しく頂かせてもらった。

「さすが補給艦の二人だな。抜かりはないみたいだ」
「はい! この日のために神威さんと一緒に色々と作ってあるんです。また次は色々なものを持ってきますね。ご期待ください」
「ああ。期待しているよ。……ところで速吸こんな時だけどその恰好は暑くないか……?」
「はい……?」

それで速吸は首を傾げている。
こんな時というのは速吸は今日は瑞雲祭り仕様のジャージを着ているのだ。
それで太陽の日差しもあって暑くないかなと言う感じである。

「あ、大丈夫ですよ提督さん。意外とこの恰好は普段の恰好とそんなに大差はないんですよ?」
「そうか? それならいいんだけど暑かったらすぐに脱ぐんだぞ?」
「はい、わかりました」

速吸はそれで腕をキュッと引き締めて大丈夫アピールをしていた。
うん、この調子なら大丈夫かな?

「さて、少し休んだことだしそれじゃ再開するとしようか」
「「「わかりました」」」

それでみんなと午前中いっぱいは畑仕事をしているのであった。
午後になれば艦隊運営をする予定なのでちょうどいい具合の疲労感だろうな。
一回お風呂にでも入ってくるかと考えていると、

「提督よ。どうだ? 一緒にお風呂でも入らないか?」

武蔵からそんな事を言われた。
うん……やっぱり男として意識はあんまりされていないようで少し悲しいけど断るのもなんだから、

「わかった。それじゃ午後に備えて汗を流してくるか」
「うむ。そうするとしようか」
「あ! 清霜も入る!」
「あたしも入るぜ!」
「長波姉さまが入るなら私も入るかも!」

それで次々とお声が上がり結局は全員でお風呂へと入りに行くことになってしまっていた。

「……うん。分かっていた事だけどみんな、私が中身が男だって分かっているんだよな?」
《あはは……分かっているからこそ安心して入れるのではないでしょうか? 提督は酷い事はしませんっていう事はみなさん分かっていますし……》

榛名の言葉に少し気持ちが回復してきたので、

「ありがとう、榛名。少し気持ちが回復した」
《このくらいならお役に立ちます》

それでみんなでお風呂で汗を流しに行くのであった。


 
 

 
後書き
結構な人数出したので速吸メインにできませんでしたね。
まぁ出せたからいいか。



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