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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Eipic40新暦76年:機動六課、解散~See you again~

 
前書き
突然ですが、エピソードⅣはこれにて完結です。 

 
†††Sideフェイト†††

設立から1年と経った今日、はやての思い描いた夢への足掛かりとなった機動六課も、とうとう解散の日を迎えた。私たち隊長陣、というよりはチーム海鳴は朝早く、はやてやルシルの居る部隊長室に集まった。

「みんな、1年間ホンマにお疲れ様やった」

ソファにははやて、リイン、シグナム、ヴィータ、シャマル、アイリ、そして私、なのは、アリシアの順で座って、床に狼形態のザフィーラがお座りしている。そして調査官のルシルは自分のデスクに着いていて、側には10年前に天に召されて、去年のクリスマス・12月25日に復活した初代リインフォース――アインスが控えている。

(オリジナルのアインスの魂を、エインヘリヤルだったアインスと融合させて、ルシルの使い魔としてじゃなく独立した命に昇華させた・・・とかなんとか)

詳しい話はよく判らないけど、アインスとまた同じ時間を過ごせるようになったことは確かだ。今はそれだけが判っていれば良い、うん。

「なんか、あっと言う間の1年間だったね~」

「つうか、まだ足りないよな。スバル達はまだまだ伸びるっつうのにさ」

フォワードの教導を任されてたなのはとヴィータが、エリオ達への訓練も終わってしまうことを残念がった。そんな2人にアリシアが「でもさ、エリオ達も幸せ者だよ~♪」って言った。

「確かにな。なのはや教導隊が行う教導期間は、短期で言えば数日から1週間、長くても1ヵ月ほどと言うではないか。それがみっちり1年だからな」

「ですね~。それに怪我をしても優秀な医療班が居たですし♪」

「まあね! チーム海鳴とその仲間たちの治癒は~♪」

「シャマルとアイリちゃんにお任せですっ♪」

隣同士に座ってるシャマル先生とアイリがハイタッチをした。なのはとヴィータの教導って結構大変だから、これまた生傷が絶えない。でもシャマル先生たち優秀な医療スタッフが居てくれたからこそ、あの子たちは今日まで大きな怪我もなくしっかりやって来られた。本当に感謝している。

「なのは達が教え伝えた技と心構えがあれば、あの子たちはこれからの進路を堂々と歩いて行けるだろう」

会話に参加して来たルシルに、「そうだね。この1年で、見違えるほどに逞しくなったから」って私は同意した。

「フェイトちゃんやアリシアちゃんとしては、エリオとキャロは学校に行かせたかったんとちゃう?」

「え? あー、うん。そうだね。どれだけ逞しくなってもエリオとキャロはまだまだこどもだから・・・」

「わたし達みたいに友達をたくさん作ってとか、たくさんの知識を得られるとか、学校でしか得られない経験もあるしさ。でも・・・」

「エリオとキャロが選んだ道だから、私とアリシアは2人の意志を尊重することにしたの」

一度、エリオとキャロに学校に通わないかどうか訊いてみた。どこの魔法学校だっていいし、ヴィヴィオやフォルセティの通うことになったStヒルデ魔法学院だったら嬉しいな~って。学年は違うけど、ヴィヴィオ達の側にエリオ達が居ると思えば本当に安心できるから。でも2人は丁重に通学を断った。

「キャロは前所属の自然保護隊への復帰、エリオは転属ね。武装隊とか捜査官とかに比べれば危なくはないかしら・・・?」

「自然保護隊員は密漁者の摘発が一番の危険だと思うけど、エリオとキャロならたぶん、大丈夫なはずだよ」

「ああ。最近のエリオの技のキレも大したものだからな。並の魔導師では相手にならんだろう」

シグナムはよくエリオと空いた時間に、木製と剣と棒を使っての訓練をしてる。この前、エリオがシグナムから良い一撃を放てた、そう褒めてもらえたって喜んでたし。シグナムのお墨付きなら心配はあんまり要らないね。

「スバルはどこだっけ?」

「特別救助隊だよ。スカウトでね」

アリシアの問いになのはがそう答えると、「すごいじゃないか」ってルシルが驚きを見せた。特別救助隊、通称レスキューは、災害担当部署に所属する局員の誰もが憧れる銀制服を着られる唯一の隊だ。本来は自ら志願して、厳しい試験の元で入隊者を決定するから、スカウトされるのは本当に稀だったりする。

「しかし、ティアナとはここで進路が別々か。彼女は確か・・・」

「私の補佐をしてもらうことになったよ」

私がティアナをスカウトした。シャーリーは事務や渉外を主として、アリシアはシャーリーの護衛や私の後衛サポートを任せている。これまではそれだけで十分だったし、これからもやっていけると思う。でも、ティアナの夢を理解している今、あの子の力になってあげたかった。

「わたしの後輩ってわけ♪ しかもすごいんだよ、ティアナ。考査試験を満点で合格! いや~、優秀な後輩が出来るのは嬉しいね♪ わたしとティアナでガンナーズみたいな~」

「おい、大変だぞ、アリシア。君より優秀なティアナがフェイトの補佐に就けば、君の立場が辛くなる」

「ルシル、ひっど~い! わたしだってまだまだティアナより強いし、仕事だって出来るも~ん!」

アリシアとルシルがわいわい騒ぐ。私は「大丈夫。アリシアにはいつも助けられてるよ♪」ってアリシアの頭を撫でた。

「ちょっ! フェイト、わたしの方がお姉さんなんだからね! もう!」

ぷんぷん頬を膨らませて怒るアリシア。でもね、アリシア。そんなジタバタしてるとやっぱり子供みたいだよ。

†††Sideフェイト⇒なのは†††

「フォワードの進路は決定したが、君たちは元の所属に戻るのか? 昇進・昇格、栄転などは?」

ルシル君のその問いに、「ルシル、お前はどうなんだよ」ってヴィータちゃんが訊き返したら、「なんと、たったの1年で准将から少将へ昇進だ」ってとんでもない答えが返って来た。でもあくまで階級の昇進は調査官としてで、本来の武装隊基準における一尉からの昇進はなかったみたい。

「まぁ、三佐になったとしても部隊を率いるつもりなんて初めからないからな~。特捜課と調査課の両方に籍を置きながら、最期まで一尉のままでいるつもりだよ。これくらいがちょうどいい責任だ」

「そう言えば、なのはも一尉のままでいるって決めたんだよね?」

「あ、うん。私にも三佐への昇進話があったけど、断っちゃった」

断った理由は、教導隊として現場に残り続けたいからだ。佐官になっても現場でバリバリ戦う局員も居るけど、私はそこまで偉くなるつもりはないし。今の一等空尉のままで十分だって考えてる。ってことをみんなに伝えと、私らしいって笑った。

「そうだ、ヴィータちゃん。あの話、ちゃんと考えてくれてる?」

ちょうど良い機会だし、改めてあの話をヴィータちゃんに振る。ヴィータちゃんを教導隊に入隊してみないかって、誘ってみたんだよね。1回目の提案の時、教導官はガラじゃないとか、私と六課解散後も一緒は気持ち悪いだとか、かな~り傷ついちゃうようなことも言われたけど、考えておくって検討はしてくれるって、約束はしてくれたし。

「んあ~・・・。ああ、うん。まぁ・・・。やるわ、教導官」

ヴィータちゃんは頬を指で掻きながら、私の提案を受けてくれた。私が「やったー!」って喜ぶと、みんなが「おお!」って拍手してくれた。ヴィータちゃんの実力は本局内で有名だし、教導隊入りもスムーズに済むと思う。

「シグナムは首都防衛隊に戻るですよね」

「ああ。アギトも出所したら局入りを果たすからな。共に職務に就くつもりだ」

「そう言えば、アリサちゃんも首都防衛隊に転属することになったみたいだよ」

ちょっと前にアリサちゃんから連絡が来た。プライソン戦役で首都防衛隊から怪我などの事情で除隊せざるを得ない隊員たちが多く出た。だから地上本部は今、魔導師ランクを問わずに、ミッドの各陸士隊から転属希望を募るなどで戦闘魔導師を補充してる。アリサちゃんには、防衛隊の隊長さん数名が108部隊の隊舎まで直々にやって来て、転属してくれるようにお願いしたみたい。

――ま、ギンガ達と一緒に捜査するっていうのも楽しかったけどさ。頭を下げられてまでお願いされたら断れないでしょ。シグナムも居るって言うんだから、所属部隊は違えど会う機会は増えるでしょ――

アリサちゃんはシグナムさんとはライバルって関係だから、同じ職場で働けることが嬉しいみたい。シグナムさんも「今から楽しみだ」ってほくそ笑んだ。

「すずかはちょっと前にニュースになってたよね。AI搭載のアニマル型デバイスが開発ラインに乗ったって」

すずかちゃんが数年も前から開発してた動物型(犬と猫、あと兎の3タイプ)のインテリジェントデバイス。プライソン戦役によって民間人からも被害者が少なからず出てしまった。死亡や負傷の原因は、崩れた瓦礫などによるものが多かった。防御魔法を使える人が側に居てくれたら・・・。けど民間の魔導師は少ない。だからすずかちゃんは開発した。魔導師に頼らずとも防御魔法を使える自立型デバイスを。

「一般家庭でも購入できるように、ずっと低コストでハイスペックなデバイスを開発しようって頑張ってたからね」

「バリアだけじゃなくて、護身用のスタンバレットも撃てるようになってるんだろ? 少しでもこういった事件や事故、災害で犠牲者が減ってくれることを願うぜ」

「ホンマやね。すずかちゃんの夢、叶ってくれるとええな」

みんながそれぞれの夢を追って、少しずつ叶えて行ってる。私だって負けていられない。私の技術を多くの魔導師に伝えて、どんな苦難の中でも無事に帰って来てもらえるようにしたい。

「はやては、しばらく部隊指揮はやらないんだったか?」

「あー、うん。今回の一件で、やっぱり自分の力不足を思い知ってな~」

「ですがはやてちゃん。指揮官としてはやてちゃんを引き取りたいっていう申し出が、これでもかってくらいに届いてるですよ」

リインがそう言ってモニターを展開する。内容は表示されてないけど、はやてちゃんを受け入れたい部署から届いてるメール件数は軽く30件はいってるみたい。

「ん~。そうなんやけどな。やっぱり自分の部隊は持ちたいって考えはまだあるよ。でも私にはまだ早かったって感じかなぁ。そやから、特捜捜査官を続けながら小規模指揮や部隊立ち上げの協力をしてみようって思う」

「それがはやての決めたことなら、俺たち八神家は応援するよ」

「もちろん、チーム海鳴の幼馴染として親友として、私たちも協力するよ!」

「ルシル君、なのはちゃん、おおきにな♪」

「そして最後に・・・」

私たちの視線がアインスさんの方へ向けられる。アインスさんは私たちの中で唯一、制服じゃなくて、裾の長い灰色のセーターと黒のタイツといった格好だ。アインスさんが復活してから4ヵ月。アインスさんは民間人ということで六課の仕事はなに1つ出来ないけど、アイナさんを始めとした寮母さん達が忙しい時、ヴィヴィオやフォルセティの世話をザフィーラと一緒にしてくれた。

「私かい? ルシルのおかげでこの身はかつてと同じ、いやそれ以上に強化されている。ユニゾンはもちろん、Sランク相手の個人戦も行えるからね」

アインスさんが自分の両手を顔の前に持って来てグッパグッパと開閉を繰り返した。実際にアインスさんと1対1で模擬戦した私たちみんなの感想は、強い、の一言に尽きた。圧倒的な防御力は相変わらずどころか、さらに強化されてた。カートリッジ無しの攻撃じゃビクともしないから本当に驚いた。

(魔法強化無しで私のシールドを破壊するし、機動力は私と同じくらいかな。ルシル君やフェイトちゃんよりは遅い。それに加えて範囲攻撃がえげつないレベルになったし・・・)

背中に展開してる3対6枚の黒翼から魔力の羽根を全方位へ射出するやつとか、デアボリック・エミッションの小型バージョンの複数発射とか、戦い方がルシル君に似て本当に戦いづらい。銀髪恐怖症になるかも・・・。

「本来ならば、融合騎として主はやてや皆をイの一番にサポートするべきなのだろうが、私は嘱託魔導師として局に登録することを決めたよ」

「アインスには、フォルセティの事をお願いしようって思うてるんよ。私たちも上手くスケジュールを調整したり、勤務時間を減らせる職務に就いたり、家族が揃いやすくするつもりやけどね。それでもやっぱり限界が来るわけでな~」

ヴィヴィオとフォルセティは一緒にStヒルデ魔法学院へ通うことになってる。だからはやてちゃん達が早く帰って来られない時は、フォルセティを家で預かろうってはやてちゃん達と決めてた。でもアインスさんが八神邸に居てくれるなら・・・。

「あ、でもなのはちゃん。フォルセティとヴィヴィオってホンマに仲がええから、時々でええからアインスとフォルセティをお邪魔させてもらえるか? もちろん、ヴィヴィオをうちで預かってもええよ」

「うん。その時はよろしくね、はやてちゃん。アインスさんも」

「ああ。よろしく頼むよ、なのは」

†††Sideなのは⇒はやて†††

そろそろロビーで機動六課の解散式が始まる時間ってゆうところで、私たちは部隊長室を後にする。1年間とお世話になった、何度も通った廊下をみんなで歩く。

「あ~あ~。久しぶりにみんな揃っての部隊だったのに、今日で解散とか~」

アリシアちゃんが頭の後ろで腕を組んで、六課の解散を寂しがった。みんなも「寂しくなるね~」って口々に同意してく。それぞれの夢の為にこれからまた別れて歩んでく。私もみんなも、親友の夢を応援してるんやけど、やっぱりこうやって同じ部隊で働きたいって思いも願いもあるわけで・・・。

「そうだね。もうこんな風にみんがが集まることはないのかな・・・・?」

「です。ここまでの部隊を立ち上げるのも、とても難しかったですし」

「それにみんなもそれぞれ忙しくなるしね」

アリシアちゃんに続いて、フェイトちゃん、リイン、なのはちゃんが肩を落とした。

「そうやね・・・。そやけど、もしまたこのメンバーが必要になるような事態になったら、もう一度このメンバーを集めるつもりや。もちろん、次は正式にすずかちゃんやアリサちゃん、ルシル君やシャルちゃんも部隊に入れたいな~」

「その時は通常の部隊ではなく、世界規模の事件を担当することになるわけだな」

一番後ろを歩くルシル君の言う通りや。自分で言うてて結構無茶な事やってるって理解できてる。部隊設立にあたって、高ランク魔導師が1つの部隊に固まらへんようにするための処置である魔導師ランクの総計規模。その事もあって、私たち隊長陣はリミッターを付けざるをええへんかった。さらに高ランクのルシル君たちが入れる部隊となると、さらに強力なリミッターが必要になって来るわけで。どう考えても現実的やあらへん。

「それはそれでちょう悲しいな。どうせ集まるなら同窓会がええな~♪」

「あ、海の近い宿泊施設に泊まろうって話でしたね。今から楽しみです♪」

フォルセティとヴィヴィオが海水浴に興味を持ったことで決まった同窓会の内容。みんなが揃って参加できるよう、スケジュールを合わせなアカンな~。ロビーに着くまでの間、ミッドで済ますか他世界のリゾートへ遠出するか、なんて談笑した。一応、幹事はシャーリーに任せてあるんやけどな~。

「さて。ルシル君♪」

「ん? どうした」

歩くスピードを落としてルシル君の右側に移動。ちなみに左側にはアイリが控えてる。六課の敷地内に居る間のルシル君は、変身魔法を使って身長を高くしてへんから目線も合いやすい。

「ちゃんと挨拶、考えてあるか? 特務調査官として最後もビシッと決めてもらわなな♪」

「挨拶はまぁ簡単だが考えてきた・・・。でも必要なくないか? 部隊長のはやてならともかくとして・・・」

「まあまあそうゆうこと言わんで~。1年間、六課を見守ってきてくれた調査官やもん。ビシーっと決めてな♪」

「了解だ。ならはやても部隊長らしく、バシッと決めてくれよ」

「んっ♪」

そんでロビーに到着した私たちは、それぞれの立ち位置に移動する。私となのはちゃんとフェイトちゃんとルシル君は、用意してもらったステージの壇上に横に並んで、シグナムとヴィータとシャマル、そんでアイリとアリシアちゃんは、ステージの側に控えた。

「こほん。言葉にすれば短く、こうして経ってみても短かったような1年間。本日を以って、機動六課は任務を終えて解散します。・・・みんなと一緒に働けてとても楽しく、そして戦うことが出来て、とても心強くて、それでいて嬉しかったです。次の部隊でも、どうかみんな元気に、頑張って!」

長々と挨拶するのも年寄り臭いから、伝えておきたいことだけを簡単に纏めた挨拶をした。拍手を受けた後、「次は、ルシリオン調査官からの挨拶です」って前置きしてから1歩引いた。

「当初に想定されていたロストロギア・レリックを巡る事件に比べ、プライソン戦役と名付けられた本件はあまりにも危険なものでした。機動六課は若手や新人が多い。そのような不安も懸念も、今こうして解散の日を誰1人として欠けることなく無事に迎えたことで、それらがただの杞憂であったことが証明されました。この1年間を乗り越えることが出来た皆さんは、どの部隊へ行っても大丈夫でしょう。調査官としての任務第一号が、この機動六課で良かったと思います。ありがとう!」

こうして私の、私たちの機動六課は終わった。解散式も終わって、それぞれ仲の良い友達や同僚と談笑してる光景を微笑ましく眺めながら、私たちは廊下を歩く。目指すのは海上シミュレータや。

「じゃあフォワードのみんなを誘って来るね♪」

「では私は、フォルセティとヴィヴィオを迎えに行ってきます」

「はーい♪」

なのはちゃんとアインスが一旦離脱したところで、「二次会前に前線メンバー全員が、練習場に集合って・・・。何をするの?」って、フェイトちゃんが人差し指を顎に当てた。私たちみんなは、これから何をするかって知ってるし、フェイトちゃんにもその話が行ってるはずなんやけど・・・。チラッとアリシアちゃんを見ると、「着いてのお楽しみ~♪」ってフェイトちゃんの手を引いてどんどん先に行く。

(言い忘れてたな、あれは・・・)

みんなと顔を合わせて苦笑する。それから到着した海上シミュレータでなのはちゃん達が来るのを待って、「ねえ、みんな。本当に何をするの・・・?」って困惑するフェイトちゃんと、「思い出作りだってば~♪」アリシアちゃんのやり取りを微笑ましく眺める。

「お待たせ~!」

「お待たせしました」

「フェイトママ~!」

「ママ~、パパ~!」

ヴィヴィオはなのはちゃんの側からフェイトちゃんの元へ、フォルセティはアインスから私とルシル君の元へと駆けて来た。私はしゃがみ込んで「フォルセティ~♪」を抱き止めて立ち上がって、ルシル君が頭を撫でた。フェイトちゃんとアリシアちゃんもヴィヴィオと手を繋いだ。

「なのはちゃん、お願いな~」

「は~い!」

なのはちゃんは手元にモニターを展開して、キーを打ってシミュレータを操作。なんもあらへんかったシミュレータ上に満開の桜が何十本と周囲に咲き誇った。フォワードやフォルセティにヴィヴィオが「わあー♪」桜の木々を仰ぎ見ながら歓声を上げた。

「私やなのはちゃん、それにすずかちゃんやアリサちゃんの故郷の花、桜や」

「お別れと始まりの季節に付き物の花なんだよ」

季節は春やし4月、さらには今日で解散や。桜ほど今の私たちに相応しい花はあらへん。みんなで舞い散る花弁を堪能してると、ヴィータが「よし、フォワード一同、整列!」フォワードに指示を出した。なのはちゃんやヴィータと向かい合うように整列するフォワードを側で見守る。

「さて。フォワード4人、1年間の訓練と任務、よく頑張りました。本当にお疲れ様」

「この1年、あたしはお前らを叱ってばっかで、あんまし褒めてやったことはなかったが。・・・お前ら、どこへやっても恥ずかしくねぇほどに本当に強くなった。胸を張れ」

「うん。辛い訓練、きつい状況、困難な任務。けれど一生懸命頑張って、最後まで諦めることなく、相手にも自分にも負けずにクリアしてくれた。みんな、本当に強くなった。みんなはもう、立派なストライカーだよ」

なのはちゃんがそう伝えると、フォワードの子たちが泣き出してもうた。ヴィータもここまで長い教官経験も無かったせいかな、感慨深くなって「泣くんじゃねぇ、みっともねぇ・・・!」なんて言いながらも自分も泣いてる。私もつられて泣きそうになるわ~。

「感極まっちゃって泣きそうになっちゃうけど、今日はせっかくの卒業、そしてみんなの新しい門出! 桜吹雪が私たちの旅立ちを祝福してくれてる。だから湿っぽいのは無しにしよう!」

「・・・だな! お前ら! 自分の相棒、連れて来てるだろうな!」

なのはちゃんとヴィータがデバイスを取り出すと、フォワードの子たちはすぐに察して「はいっ!」と元気のええ返事と共にデバイスを取り出した。シグナムも早速“レヴァンティン”を起動してる中で、「え? え?」フェイトちゃんだけが混乱してた。

「機動六課の解散&卒業記念! 全力全開の手加減なし! 最後の模擬戦をやるよ!」

なのはちゃんのその一言でフェイトちゃんがとうとう「えええーーーーっ!?」って叫んだ。

「全力全開!? 手加減なし!? そんなの聞いてないよ!」

「本来はアリシアがお前に伝えるはずだったのだが・・・」

シグナムにそう言われたフェイトちゃんがアリシアちゃんをジロリと見ると、「言い忘れたんじゃないよ? 心配性のフェイトに先に言っちゃうと反対するでしょ」って、悪びれもせずに黙ってたことに対しての言い分を伝えた。

「だって~・・・」

「これも思い出だ、やらせてやろう」

「フェイト。スバル達はやる気がある。何よりフォワードは強くなった、君も理解している通り。こうして模擬戦を行うことももう無いかもしれない。だったら受け止めてやれ、フェイト。彼女たちの全力全開を」

「・・・シグナム、ルシル」

「フェイトさん、一槍お願いします!」

「私たち、頑張って勝ちますから!」

「エリオ、キャロ・・・もう。判った。バルディッシュ!」

頭を抱えながらもフェイトちゃんも模擬戦を納得して、“バルディッシュ”を起動して真・ソニックフォームへと変身した。なのはちゃん達もデバイスの起動と防護服への変身を終えて、スタンバイ完了や。

「みんな~! 怪我を負っても私とアイリちゃん、ルシル君が居るから~! 安心して全力全開の手加減なしで戦って良いわよ~❤」

模擬戦の邪魔にならへんように離れたところで、シャマルが大手を振ってそう伝えると、「はーい!」なのはちゃん達が手を挙げて応えた。

「それでは! 機動六課卒業記念の模擬戦を始めます!」

部隊長やった私が試合開始の号令を下す役を貰った。右腕を掲げる。この手を降ろしたら、最後の模擬戦の始まりや。

「隊長陣VSフォワード! スタンバイ!」

一斉に構えを取るみんなの姿を目に焼き付ける。いつかまた、その日が来るかも判らへんけど、このメンバーで一緒に働きたいな。私はフォルセティとヴィヴィオに小さく「一緒にな♪」ってウィンク。2人はニコニコして頷いて、私を真似て右腕を上げた。

「レディー・・・! せぇーの」

「「「ゴー♪」」」

3人一緒に腕を振り降ろした。瞬間、シグナムとヴィータが突撃して、エリオとスバルが迎え撃った。一切の遠慮なしな魔法攻撃が縦横無尽に駆け巡り続ける。流れ弾の心配はまずないやろうけど、あったとしてもルシル君とザフィーラとシャマル、それにアインスが居てくれるからな、不安は無いわ。

「ハロハロー♪ 六課最後の模擬戦かぁ、派手にやってるね~」

背後から声を掛けられた。声の主を見ぃひんでも誰かは判る。振り返りながら「そうやろ? シャルちゃん」って名前を呼んだ。振り向いた先には、教会騎士団の団服やなくて、局の制服を着てるシャルちゃんが居った。

「こんにちは、フォルセティ、ヴィヴィオ♪」

「「こんにちは、シャルさん!」」

屈んだシャルちゃんが両手の平を前に翳すと、フォルセティとヴィヴィオが2人揃ってハイタッチした。満足そうに笑みを浮かべたシャルちゃんは立ち上りながら、「調子はどう? アインス」に声を掛けた。

「ああ。再びこの世界に生まれてから常に万全の状態だよ。ルシルには本当に感謝している。単独で彼女たち隊長陣と渡り合えるだけの戦闘力保有というおまけ付きだ。大切な人たちを護ることが出来る。本当に・・・感謝しているよ」

そう言うたアインスがルシル君の頭を撫でた。今のルシル君は本来の身長で、アインスより低いからまぁ撫でやすい位置に頭があるわけや。それを見たシャルちゃんが「ルシル。ギュってしていい?」ってハグしようとした。

「却下。というか、今日はどうしたんだ? 団服ではなく制服なんて、今の君には珍しい格好じゃないか」

「でしょ? 今日のわたしの話の内容からして教会騎士じゃなくて、管理局員として居た方が良いかな~、なんて」

シャルちゃんが休職中の局員として制服を着てやって来た。それは一体なにを意味するものなんやろう。背後から爆発音と振動が轟く中、シャルちゃんはルシル君に右手を差し出した。

「ルシル。わたしね、局にわたしの部隊を造るの。だから・・・わたしの副官になって」



EpisodeⅣ:Desine fata deum flecti spectare precando….Fin



・―・―・次章予告・―・―・

ベルカの騎士たちよ、今こそ立ち上がれ。

「おい、また管理局が不祥事を起こしてるぜ」

「3年前のプライソン戦役。あれも本局の幹部連中が悪かったんでしょ?」

「その点、聖王教会の騎士団には不祥事なんて1つもないからな」

「騎士様の実力も、局の武装隊よりはるかに上なんでしょ?」

「どうせなら、騎士団に守ってもらいたいもんだぜ」

度重なる不祥事によって、管理局への風当たりが強くなる昨今。市民たちの思いは徐々に、聖王教会騎士団の応援へとシフトしていく。

「今こそ! 今こそ我ら教会騎士団が、管理世界の秩序を守護するべきではなかろうか!」

「よしなさい。管理局と聖王教会は、共に尊重し合ってこその組織。どちらかが潰れれば、それこそ管理世界の秩序は失われる」

「今こそ古き良き、誇りあるベルカを再誕させるのだ!」

「クーデターでも起こす気ですか!?」

「あなたはザンクト・オルフェンの統治者に相応しくない!」

「愚昧なる管理局に代わり、我ら真ベルカ騎士団が、ザンクト・オルフェンを守り、ミッドチルダを護る!」

ベルカ自治領ザンクト・オルフェンを統治する評議会内で起きる亀裂。そして、それは起こった。一部の騎士たちによる反乱である。

「まさか、自分たちの故郷に進攻することになるとは思いもしなかった。ねえ、ルシル?」

「俺の故郷はフェティギアであって、ザンクト・オルフェンじゃないんだが・・・。とにかく、乗っ取られたザンクト・オルフェンを解放し、捕らわれている人質を無事に救出する。そして・・・」

「プラダマンテ、キュンナ・・・、2人の大馬鹿。クーデター軍は、パラディンを含めた強大な戦力よ! 心して掛かれ! 時空管理局本局・特務零課・特殊機動戦闘騎隊、出撃!」

ザンクト・オルフェンとミッドチルダ領土の境界線上に、古代・近代問わぬベルカ式を扱う戦闘技能に特化した騎士だけで構成された武装隊、特殊機動戦闘騎隊の隊長イリスと副隊長ルシリオン、以下数名のメンバーが並んでいる。見据えるのは遥か遠くの聖王教会本部。そこに、彼らは居た。

「あなたを愛する家族の1人として、本局医務官として・・・進言するわ。・・・ルシル君。長く生きたかったらもうこれ以上戦っちゃダメ。だから・・・配置換えなんて温い話じゃない。管理局を辞めて隠居なさい」


Next Episode....EpisodeⅤ:Sera, tamen tacitis Poena venit pedibus.
 
 

 
後書き
はい。というわけで、エピソードⅣはこれにて完結です。おそろしく駆け足で終わらせました感が尋常じゃないですね~。アインスだってもっと活躍させてあげたかったし、ドラマCDの方もやりたかった。
次章のベルカ再誕編を、機動六課の残り半年に充てようかな~なんて思いもあったのですが、フォワードがあまりに貧弱すぎると考えて断念。なのはやフェイトクラスの敵がわんさかって感じなので、AAA-でもないフォワードは正直、お荷物ですので。
本エピソードの主人公がはやてとすれば、次章の主人公がシャルとなりますね。本エピソードでは出番が少なかったシャルを、これでもかってくらいに登場させる予定です。ライバルは平等に扱うのですよ。

トリシュ
「あの、私は・・・?」

すまぬ
 
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