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レーヴァティン

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第十一話 空の港町その四

「そうする」
「そうしろよ、盛大にな」
「向こうではうどんか蕎麦だ」
「そっちもいいな」
「だが御前は食えないな」
 英雄は赤ワインを口にしてから英雄に微かに笑って言った、甘口のワインだがワイン独特の渋い酸味もある。
「残念に思うか」
「まあな、けれどな」
「それでもか」
「ないなら仕方ないさ」 
 そうした料理がというのだ。
「わんこそばとか好きだけれどな」
「わんこそばか」
「ああ、時々大阪や神戸でもやってるだろ」
 百貨店等でだ、東北の催しがあればそうした店も開いている。
「そこで食ってるんだよ」
「そうしているか」
「やってればな」
「それでどれだけ食っている」
「百杯は絶対にいってるな」
 それだけは確実にというのだ。
「到達してるぜ」
「それは見事だ、では俺達の世界ではな」
「楽しめっていうんだな」
「わんこそばをな」
「そうしてるさ、まあこっちの世界じゃな」
「ここではか」
「こういったのを食うさ」
 久志はスパゲティを美味そうに食いつつ述べた、実際にそのスパゲティはアルデンテの茹で具合で美味かった。
「たらふくな」
「ではそうしろ」
「ああ、言われなくてもな」
「まずはスパゲティを食ってだな」
「次はフェットチーネだな」
 ペペロンチーノのそれだというのだ。
「それを食うな」
「俺もそうする」
「ほっとくとのびるからな」
「こうしたものはのびさせていいことはない」
 麺類、パスタの類はというのだ。
「だから早いうちに食おう」
「そうしないとな」
「スパゲティの次はフェットチーネを食ってだ」
 こちらはペペロンチーノらしくあっさりとした感じだ、ガーリックの量もスパゲティ程多くはない。
「ペンネだな」
「そうなるな」
 こちらはトマトはふんだんでガーリックも多い。
「そしてラザニアだ」
「それから鳥肉だな」
「随分食うな」
「ははは、それはお互いにだな」
「全くだ、しかもだ」
 英雄はその甘いワインを飲みつつまた言った。
「飲んでもいる」
「こうしてな」
「ワインはいい酒だ」
 英雄はワインの香りも楽しんでいた、そのうえでの言葉だ。
「かぐわしい香りも魅力の一つだ」
「おっ、ワイン論か」
「ただ言っただけだ」
「そこまではいかないか」
「そうだ、ワインについてあれこれ言う趣味はない」
「美味いから飲む、か」
「それだけだ」
 こう久志に言った。 
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