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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第十六話

 
前書き
どうも、明日は大切な要事があるからこれから直ぐに寝る予定です。明日は五時起きだ……。 

 
現在、二〇三〇。俺と木曾と時雨は岩陰から敵艦を確認しようとしていた。しかし、どうやら敵も隠れている様で、なかなか見つからない。
 
「いいか?こんな暗闇じゃあ目視で見つけるのはかなりキツい。敵の気配を感じろ。」
 
「いやいや、どこのニュータイプだよ。」
 
俺は思わず木曾に突っ込んだ。確かに木曾ならやりかねないが、俺達にまでそれを求めんな。
 
「木曾、準備できたよ。いつでも投げれる。」
 
すると、時雨が木曾になにかを手渡した。それは楕円形をしていて、何やらレバーの様なものが付いていた。
 
「えっと、手榴弾?」
 
「違うよ。これは時限式の閃光弾だよ。投げてからだいたい二十秒で光るんだよ。」
 
成る程な。それで相手の注意を向けて………いやまて。
 
「なぁ、二十秒で光るのか?それって先に海に落ちないか?」
 
俺はスポーツの試合を見るのが好きだから、プロ野球とかも見るのだが、ホームランの弾道ですらそんなに時間はかかってないぞ?それに砲撃ならまだ解るが、手榴弾だから、当然手投げだろう。
 
「あー、まぁそれは後でわかるとして。」
 
木曾はどうやら説明する必要も無いと思ったのか、話を無理矢理切った。
 
「俺がコイツを投げる。そんでそれで顔を出した敵艦を後ろから潰す。いいな?」
 
毎回思うが、木曾が俺らに言う作戦はどれもアバウトで、木曾の『なんか起きたらテメェらでなんとかしやがれ。』みたいな考えを感じる。
 
まぁ、だいたい木曾が全部片付けるからそれでも良いんだが。
 
「はいよ。んじゃ、俺と時雨は移動の準備か。」
 
「そうだね。」
 
そう時雨が言ったのと同時に、摩耶さん達が居る方向から、轟音が聞こえた。
 
「どうやら向こうは始まったらしいな……。あーあ、まーたボロボロになるんだろうなぁ……。」
 
木曾は遠くを見ながらそう言った。どうやら向こうはなかなかのインファイトをしているらしい。
 
 
これは後から報告で聞いた話だが、このときは夕立と戦艦ル級flagshipが殴り合いをしていたらしい。ただのバーサーカーだ。
 

「とにかく、こっちも始めよっか。木曾さん、頼みます。」
 
時雨はボーッとしていた木曾にそう話し掛けた。
 
「ん、そうだな。んじゃ………。」
 
木曾は閃光弾のレバーを引いた。
 
「そぉいやっと!!」
 
木曾は思いっきり振りかぶって、閃光弾を上に投げた。
 
………閃光弾を目で追えなかった。
 
木曾が放った閃光弾は、一瞬で真っ暗な空に消えた。推定高度、二~三百メートル。
 
「おら、ぼさっとしないでさっさと移動するぞ!」
 
「早くしないと置いてくよ?」
 
木曾と時雨は何事も無かったかのように移動を始めた。
 
……やっぱり、木曾の身体能力は他の艦娘と比べても明らかに高い。特に艤装を付けている時の身体能力はえげつない。下手したら長門さんより凄いかもしれない。
 
一体今までどれだけの訓練とトレーニングをしてきたのか……まぁ、普段のメニューを見ても頭おかしい位してるしな。
 
「……五……六……七……。」
 
さっきから時雨がカウントダウンをしながら移動している。誤差が心配だな……。
 
「十六……十七………光るよ!」
 
時雨が言った直後、上空二十メートルの所でまばゆい光りが起こった。
 
木曾の遠投も時雨のカウントダウンも完璧だったらしい。閃光弾は海に落ちなかったし、カウントのお陰で目が眩まずに済んだ。
 
「すげぇ……。」
 
俺は思わずそう呟いた。流石第二船隊隊長(木曾)と第三船隊隊長(時雨)だ。練度が半端ねぇ。

ドォン!
 
すると、光った所の岩場で爆発が起こった。どうやら敵艦がそこを砲撃したらしい。
 
「うし、あそこらへんだな。」
 
木曾はそれを見て、進行方向を右に変更した。俺と時雨もそれに従ってついていく。
 
「居たぞ。前方三十メートル。」
 
木曾がそう言ったので前を見てみると、そこにはさっき夕立が報告した通りの深海棲艦が居た。
 
「時雨、掩護射撃頼む!二号は付いてこい!」
 
木曾はそう言うと、敵艦に向かって一気に進んだ。
 
「お、おい!」
 
「全く……。」
 
俺と時雨は呆気に取られたが、時雨は直ぐに砲撃の用意をし、俺は木曾についていった。
 
さて、真っ先に進んで行った木曾は、こちらに向けて背中を向けて立っている駆逐ロ級eliteに向かって、
 
「ライ〇アアァ、キィィィックッ!!」
 
色んな意味でアウトな事を言いながら飛び蹴りを放った。
 
 
…………………。
 
 
えっと、まだ海の上で戦うようになってからまだ一週間しか経ってないけど、明らかにおかしい事が起きた。
 
単刀直入に言おう。
 

木曾の足が、ロ級の身体に刺さった。
 
 
「はぁ!?」
 
俺は数時間前に初めて深海棲艦の身体に触れたのだが、その身体は鉄みたいな……いや、鉄よりも硬い感触をしていた。
 
恐らく艦種によって装甲の厚さは違うのだろうが、恐らく硬度に大差は無いだろう。
 
 
…………頭おかしい。
 
 
「お?こりゃあ良い感じの武器になりそうだな。」
 
「グ……ギャア………アァ……。」
 
木曾は楽観的にそう言っているが、俺から見たら、流石に駆逐ロ級を可哀想と思ってしまうくらい、エグい絵面だった。
 
「グガアアアアアアアァ!」
 
すると、仲間の悲鳴に気付いたのか、前に居たもう一体の駆逐ロ級もこちらに振り向こうとしていた。
 
「遅せぇよっと!」
 
木曾はその駆逐ロ級がはまったままの右足で、そいつに向かって回し蹴りを放って………は?
 
…………その蹴りは見事に駆逐ロ級にクリーンヒットした。弾け飛ぶロ級。
 
「お、抜けた。」

するとその衝撃のおかげか、木曾の足がロ級の身体から抜け、ロ級はそのまま沈んで行った。蹴られた方のロ級の方もフラフラで、軽巡ト級eliteも呆気にとられている。
 
何故だろうか。木曾が悪者に見えて仕方ない。
 
「おい二号!そのロ級を頼む!俺はあいつを沈める!」
 
木曾はそのままト級に向かって行った。残った俺とロ級。
 
「…………すまんなぁ。お前が深海棲艦じゃ無かったらお前の味方になってたけど……。」
 
俺はロ級に向けて砲門を向けた。
 
「悪いが、沈んでくれや。」
 
俺は引き金を引いた。
 
 
―――――――――――――――――
 
 
『こちら時雨。作戦成功。敵艦隊を壊滅完了。』
 
 
『味方の状態、木曾、二号、僕、無傷。摩耶さん小破。夕立と神通さんが大破。』
 
 
『撃墜数報告。木曾十三隻。二号六隻。摩耶さん一隻、僕一隻、夕立一隻、神通さん二隻。撃墜アシスト数は、木曾三隻、他全て一隻。よって、今回のMVPは木曾となります。』
 
 
『なお、今回の作戦の遂行によって、リランカ島周辺に進撃可能と見られます。これで報告を終了します。これより、帰投します。』
 

―――――――――――――――――
 

「了解。ゆっくり帰ってきてくれ。お疲れ様。」
 
提督はそう言うと、通信機を机に置いた。
 
「お疲れ様。今回の作戦も成功だ。」
 
提督は私に話し掛けながらそう言った。まぁ、私も聞いてたから知っているが。
 
「それでも、夕立や神通は大破してたけどね。全く、あの二人は夜戦になったら暴走するからねぇ。困ったものだよ。」
 
提督はそう言って私を見た。
 
「しかし、今回の作戦はそもそも夜戦に重きを置いた作戦でしょう?そうなる事が当たり前では?」
 
私はそう質問した。すると、提督はばつが悪そうな笑みをうかべた。
 
「あー、うん。実はその事を言い忘れててね……。ここまで言う機会がなくって……。」
 
私はそれを聞いて頭を押さえた。
 
「全くあなたは……。ただでさえ今回は二号を編制に入れて不安定なのに、そんな重要事項を伝え忘れるなんて……。」
 
「唯。君は今間違った事を言った。」
 
「………?」
 
提督はそう言ったが、私には何を間違えたのか検討もつかなかった。
 
「二号はね、流石あの二人の息子だけあってねぇ、センスは抜群だよ。下手したら木曾よりもいいかもしれないね。」
 
提督は笑いながらそう言った。しかし、私にはとてもそうは思えない。
 
「しかし、それでもやはり戦闘にまだ慣れてない所があるでしょう。まぁ、その辺りはいずれどうにかなるでしょうけど。」
 
「いやいや、それでもおかしいと思わないか?」
 
提督は含み笑いと共に私に質問してきた。
 
「何がですか?」
 
「いや、だってさ。
 

今回が初陣なのに、いきなり撃墜数六隻だよ?しかも、あの木曾が居るのに。」
 
 
完全に盲点だった。そう言えばそうだ。
 
いつもなら木曾の撃墜数は多いときは二十隻位沈めるのだが、今回はそれよりかなり少ない。いつもなら木曾の調子が悪いと思う所だが、それなら他の艦の撃墜数が増えている筈だ。
 
しかし、今回は誰も撃墜数は増えていない。
 
つまり、木曾の撃墜数を二号が奪った、ということだ。
 
あの木曾から、初陣にも関わらず、だ。
 
「これは、これからなかなか面白い事になりそうじゃないか?」
 
「……しかし、提と」
 
私がそう言おうとしたら、提督が険しい顔をしてこちらを見た。
 
「唯、二人の時は提督とか呼ばなくて良いって。あと、敬語も良いからって言ってるじゃん。」
 
………………。
 
「二人の時は提督と大淀じゃなくて、大輝と唯。そう決めたろ?」
 
全くこの人は……なかなか恥ずかしい事を考えたものだ……。
 
「わかったわよ、大輝。それで、質問なのだけど、まさかそれを確かめるために今回二号を出撃させたの?」
 
「うん。この機会を逃したらなかなか第一線の戦場に出撃させれないと思ったからね。」
 
大輝は、満面の笑顔でこちらを見た。
 
「全く……。あなたって人は……。」
 
私はまた頭を押さえた。この人の秘書艦になってからもう長いけど、この人の行動の一つ一つに頭を押さえている。
 
「でも、それでこそあなただよね。」
 
しかし、私も思わず笑顔になってしまう。
 
「さて、あと二時間位で帰投するだろう。明石と間宮に指示を出しといてくれ。僕はまだ今日の分の事務作業が残ってるから、やってくるよ。」
 
そう言って、大輝は作戦指令室から出ていった。あの様子だと、このまま徹夜コースだろう。
 
「……さて、明石と間宮に知らせて来ますかね。」
 
私もそれについていくように、作戦指令室から出ていった。 
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。とりあえず色んなものが一段落付きそうです。次回からも頑張っていこう。
あ、因みに大淀と提督との関係についてはいつかまた。
それでは、また次回。
 
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