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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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236部分:第二十話 公孫賛、気付かれないのことその十二


第二十話 公孫賛、気付かれないのことその十二

「出られるようにね」
「しておきましょう」
「是非」
 こう話しながら新たな者達を迎え入れていた。そしてその翌日。
 準備をする劉備達のところにだ。彼女が来た。
「おお、何時でも発てるな」
 公孫賛だった。城と軍勢を見て満足した顔で言っていた。
「これではな。すぐにだ」
「あれっ、どなたですか?」
「見たことない奴だな」
 顔良と文醜はその公孫賛を見てまずはこう言った。
「義勇兵の方ですか?」
「それなら受付はあってだぜ」
「待て」
 二人の言葉にむっとした顔で返す公孫賛だった。
「私のことを知らないのか?」
「見たところ身分のある方のようですが」
「将校の募集もしてるからそっちに行くかい?」
「本当に私のことを知らないのか!?」
 公孫賛は苛立ちを覚えていた。
「私のことを」
「ですから。どなたでしょうか」
「名前何ていうんだ?」
「公孫賛だ」
 ここで名乗るのだった。
「知らないのか。この幽州の牧だ」
「えっ、それは嘘ですよ」
「そうだ、嘘に決まってらあ」
 顔良と文醜は公孫賛の今の言葉をすぐに否定した。
「だってこの幽州は牧がいないことで有名ですよ」
「劉備さんだってこの戦いで武勲を挙げれば琢の相になれるみたいだけれど牧にはまだな」
「御前等、本当に私を知らないのか」 
 公孫賛はかえって唖然となっていた。
「それは本当なのか」
「あの、ですから本当に」
「あんた何しに来たんだ?」
 二人は意識せず相手に止めを刺している。
「ですから将校の募集もしていますから」
「あっちに言ってだな」
「ちょっと、何騒いでるのよ」
 ここでもう一人来た。
「今忙しいんだから。用事はさっさと済ませてね」
「あっ、荀彧さん」
「そっちはもう済んだんだ」
「ええ、ああした仕事ならすぐよ」
 荀彧だった。二人のところに来てこう言うのである。
「何でもなかったわ」
「そうですか。それじゃあ」
「あたい達は兵を動かしておきますね」
「そうしてよ。それで今何してるの?」
 荀彧は少し咎める目になって二人に問う。
「誰かと話してるの?」
「何か幽州の牧だって名乗る人がいまして」
「来てるだけれどさ」
「幽州の牧!?馬鹿言わないでよ」
 荀彧は二人の言葉にすぐにむっとした顔になって言い返した。
「この幽州に牧はいないわよ。あんた達の主君がそのうちなるみたいだけれど」
「それでも何かそうだって言ってて」
「おかしなことになってるんだよ」
「そうなの。それで誰?それ」
 荀彧は二人の話を聞いたうえで辺りを見回しだした。
「幽州の牧だなんていもしない存在だっていうのは」
「私だ」
 公孫賛は肩を怒らせて荀彧に告げた。
「そういう御主は荀文若だな」
「私の名前を知ってるのね」
「そうだ、そして私の名前はだ」
「ええ。何ていうの?」
「公孫賛だ」
 こう彼女に対しても名乗る。
「知っているな、白馬長史と謳われた」
「・・・・・・誰、それ」
 これが荀彧の彼女への返答だった。
「はじめて聞く名前だけれど」
「そうですよね、本当に誰か」
「わからなくてさ」
「そんな名前はじめて聞いたけれど」
 荀彧はいぶかしむ顔で二人に話した。
「一体誰なのかしら」
「とりあえず麗羽様に御報告しようかしら」
「ああ、そうだな」
 顔良と文醜はひそひそと話しはじめた。
 
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