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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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237部分:第二十話 公孫賛、気付かれないのことその十三


第二十話 公孫賛、気付かれないのことその十三

「何かおかしな人っぽいし」
「幽州に牧がいないなんてあたいでも知ってることだしな」
「貴女、一つ言っておくけれど」 
 荀彧は今度は公孫賛を咎める目で見てきていた。
「身分の詐称は大罪よ」
「だから詐称ではない!」
 公孫賛もいい加減参ってきていた。
「私はだ。本当にだ!」
「まあとにかく仕官なら木簡に名前を書いてね」
 荀彧は冷静に返す。
「わかったわね」
「ええい、曹操と袁紹に合わせろ!」
 いい加減痺れを切らして言う。
「このままではラチが明かん!すぐにだ!」
「何か我儘言い出したし」
「だから何があるんだよ」
「そうよ。だから幽州に牧なんていないわよ」
 三人は公孫賛を完全に頭がおかしい相手と思っていた。しかしあまりに騒ぐので曹操と袁紹のところに案内した。そうして話をするとだった。
「誰、それ」
「知りませんわよ」
 二人も知らなかった。
「公孫賛?聞いたことないわね」
「白馬長官なんて名前もとても」
「長史だ!」
 このことまで訂正させなければならなかった。
「ええい、だから私はだな、この幽州の」
「いや、幽州に牧といっても」
「そんな者はいないし」
「これはもう天下の誰もが知っていることよね」
「そうよね、確かに」
 天幕の中に集う主だった将も軍師達も誰も知らなかった。
「それでその様なことを言っても」
「ちょっと。無理があるとしか」
「確かに」
「あのですね」 
 陳琳がここで言う。
「公孫賛殿でしたよね」
「うむ、そうだが」
「幽州には確かに公孫氏はいますけれど」
 彼女はこのことは知っていた。
「しかし別に牧なぞ出してはいませんし。遼東にいる豪族ですが」
「あの家とは直接関係はないぞ」
 また言う公孫賛だった。
「だから私は幽州のだな」
「頭がおかしいのかしら」
 曹操もいい加減こう思いはじめた。
「やっぱり」
「そうですわね。頭がおかしいのならもう相手をしても仕方ありませんわ」
 袁紹もおかしなものを見る目であった。
「それならもう」
「そうね、つまみ出しましょう」
「今は多忙ですし」
 こうして公孫賛はつまみ出されようとしていた。しかしであった。
 ここで天幕の中に劉備が入って来て。そして公孫賛に気付いて言うのだった。
「あっ、白々ちゃん」
「白蓮だ」
 むっとした顔で劉備の言葉に返す。
「いい加減覚えてくれ」
「あら」
「まさか」
 ここで曹操も袁紹も気付いたのだった。
「劉備の知り合いなの」
「その様ですわね」
「はい、同じ先生に学んでいたんですよ」
 劉備は明るく二人に話す。
「それで今はここにいまして」
「そうなの。貴女の知り合いだったらね」
「それならそうと言って下さればよかったのに」
「はい、じゃあ白々ちゃんを宜しく御願いしますね」
「何度も言うが白蓮だ」
 こんなやり取りの後で公孫賛は今は迎え入れられた。しかし結局誰も彼女の言う身分はわからなかった。ごく一部を除いてだ。
 
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