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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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216部分:第十九話 劉備、張三姉妹を見るのことその二


第十九話 劉備、張三姉妹を見るのことその二

「そうだな」
「はい、そうですけれど」
「それはいいのだが」
「はい」
「公孫賛殿の真名は白蓮だ」
 指摘はこれであった。
「白々ではないぞ」
「あれっ、そうだったんですか」 
 今ようやくわかったという顔の劉備だった。
「ずっと白々ちゃんって思ってました」
「そうだったのか」
「そうですか。違ったんですね」
「そもそも真名を知っている者も非常に少ないのだがな」
 趙雲はこのことも話す。
「しかしよく覚えておいてくれ」
「わかりました」
「白々だ」
「それはわざとだな」
 最後は関羽が趙雲に突っ込みを入れる。そんなやり取りだった。
 そうしてだ。そんなやり取りをしたうえで店を出る。すると一行の横の壁に一枚の貼り紙があった。そこには三人の少女達の絵があった。
「あっ、この三姉妹は」
「どうしたのだ?劉備殿」
「今人気急上昇中の張三姉妹ですよ」
 その貼り紙を笑顔で見ながら関羽に話す。
「この街に来てるんですね」
「そういえばだ」
 ここ趙雲は顎に左手を当てて考える顔で述べる。
「今この街に有名な旅芸人の一座が来ていると聞いたが」
「この人達みたいですね」
 孔明も言う。
「そういえば私も聞いたことがあります」
「行きましょう」
 劉備はすぐにこう皆に提案した。
「今からすぐに」
「何っ、催しにか」
 関羽はそれを聞いて思わず驚きの声をあげた。
「そうなのか」
「はい、今すぐにです」
 劉備は笑顔のままだ。
「行きましょう」
「しかしだ」
 だが関羽はそう言われてだ。難しい顔になるのであった。
「それは。どうも」
「駄目、ですか?」
「ううむ、北に早いうちに行かねばな」
 だからだというのであった。
「北で大掛かりな戦があるしな」
「ですが催しは今日中で終わりますよ」
「ううむ」
「少し急げば間に合いませんか?」
 劉備は必死に話す。
「ですから今はですね」
「そうだよな、いいよな」
「その通りなのだ」
 ここで馬超と張飛が劉備の側についた。
「たまにはな。催しを見るのもな」
「お金もこの前のナコルル達の歌でかなり手に入っているのだ」
 最近彼女達もお金ということに困らなくなってきていた。賑やかになってそれぞれに芸が備わっているからだ。だからである。
「だからいいんじゃないか?」
「鈴々もそう思うのだ」
「しかし」
「どうしてもですか?」
 劉備は今度は涙目になってきた。
「それは」
「それはその」
「駄目なんですか?」
 劉備の目はさらに泣きそうなものになる。
「折角来てるんですけれど」
「それは」
「いいんじゃないかしら」
 今度は黄忠が言う。
「娘にも。たまにはこういうことも」
「紫苑殿も言うのか」
「はい、いいと思いますよ」
「愛紗、そんなに堅苦しくなることはない」 
 趙雲も笑って話す。
 
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