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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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215部分:第十九話 劉備、張三姉妹を見るのことその一


第十九話 劉備、張三姉妹を見るのことその一

            第十九話  劉備、張三姉妹を見るのこと
 劉備が加わった一行はだ。今は青州に入った。すると見間違えるばかりに豊かな田園と繁栄している街が次々に現われてきたのであった。
 一行は今青州のある街に来ていた。そこは人も多く店は何処も賑わっている。そして子供達の顔も明るい。その中の飯店の一店に入り朝食を食べながら話すのだった。
「徐州とは全然違うね」
「確かに」
 黄忠は馬岱のその言葉に頷く。
「何か。別の国に来たみたいに」
「それだけ政治が上手くいってるってことですね」
 孔明は理由をそこに見出していた。
「やっぱりしっかりとした領主がおられるとそれだけで違います」
「そういうことね。それでだけれど」
「はい、それで」
「私達が行くその幽州だけれど」
 キングはこのことを孔明に問う。
「領主はいなかったわね」
「そうなんですよね」
 本当に公孫賛のことは忘れてしまっていた。
「牧がおられなくて」
「だから牧はいるぞ」
 関羽がラーメンを食べながら話す。
「ちゃんとな」
「いましたっけ、牧は」
「だから公孫賛殿だ」
 彼女だというのである。
「何度も言っているが忘れるのか?」
「すいません、他のことは中々忘れないんですけれど」
 それでもだと。申し訳ない顔で話すのだった。
「どうしてもこのことは」
「そんなに忘れることか」
「覚えにくいです」
 孔明は困った顔で話す。
「何か聞いても次には忘れてしまって」
「そうだよね、この話って」
「何でかしらね」
 馬岱と舞もであった。
「どうしても。何度も聞いてもね」
「忘れるわよね」
「つまり忘れてもいいことでしょうか」
 香澄もこんなことを言う。
「だから忘れてしまうと」
「そうですね。皆何度聞いてもすぐに忘れてしまうことですから」
 ナコルルもそうだというのだった。
「それはやっぱり」
「人はどうでもいいことはすぐに忘れる」
 趙雲も言う。
「そういうことだな」
「いや、御主はそうは言えないだろう」
 関羽はメンマを食べているその趙雲に話す。
「客将として世話になっていたのだからな」
「しかしだ。影が薄いのも事実」
 言ってはならない事実だった。
「それならばだ」
「忘れられるのも道理か」
「公孫賛も気の毒な方なのだ。派手に有能でも派手に無能でもない」
 実際に公孫賛は無能でもない。しかし極めて有能でもないのだ。ここが問題であった。
「バランスも普通だ。性格も悪くはない」
「けれど派手さがないから」
「それで目立たない」
「そういうことなのね」
「そうだ。気の毒なことにだ」
「公孫賛っていうと」
 しかしであった。ここで劉備が言うのだった。炒飯を食べながら。
「ひょっとして白々ちゃんですか?」
「白々!?」
「劉備殿御存知なんですか?」
「はい、白々ちゃんならですね」
 関羽と孔明の驚いた顔に答えての言葉だ。
「私一緒の塾で勉強していました」
「そうだったのか」
「お知り合いだったんですね」
「いい娘ですよ」
 こう笑顔で話す。
「とても」
「そうか。しかし劉備殿」
「はい?」
「その白々というのは真名だな」
 趙雲が指摘するのはこのことだった。
 
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