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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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214部分:第十八話 劉備、関羽達と会うのことその十


第十八話 劉備、関羽達と会うのことその十

「それはまた」
「はい?」
「過激なお母上ですね」
 劉備を川に投げ込む話を聞いての言葉である。
「随分と」
「普段はそうでもないんですが」
「いえ、普段でなくてもしないかと」
 孔明も少し引きながら話す。
「幾ら何でも川の中に投げ込むというのは」
「それで今探してるのですが」
「その剣はかなり目立つのだ?」
「はい、鞘も柄も刀身もかなり立派でして」
 こう張飛にも話す。
「それはもう」
「それじゃあ見つけるのは簡単なのだ?」
「見ただけでわかります」
 また言う劉備だった。
「それで探しているのですが」
「それはいいのだが」
 ここで関羽が劉備に対して言う。今一行は共に歩いている。その中でのやり取りだった。
「しかしだ」
「何かありますか?」
「危険過ぎるな」
 劉備を心配する顔で見ての言葉だった。
「それは」
「危険っていいますと」
「だからだ。若い娘が一人で旅をするというのはだ」
 それが危険だというのだ。
「私達の様に武芸を身に着けているのならともかく」
「はい」
「貴殿は武芸は身に着けているか」
「いえ、それは」
「そうだな。見たところそれは」
 劉備の腕はもう見抜いていたのだった。既にだ。
「ないな」
「ですが私は」
「よければだが」
 関羽はさらに言うのだった。
「我々と共に来ないか」
「関羽さん達とですか」
「そうだ、我々とだ」
 こう劉備に提案したのである。
「それでいいか」
「ですがそれは」
「何、構うことはない」
 関羽は微笑んで劉備に言う。
「旅は道連れという」
「そうなのだ。旅は道連れ」
 張飛も笑顔で言う。
「世は。ええと」
「世は情け浮世の道連れだ」
「そうなのだ。世は情け浮世の道連れなのだ」
「おい、かなり入ってないか?」
 そこまで聞いた馬超が趙雲が教えた言葉にすぐに言う。
「世は情けってのは何なんだよ」
「それって歌舞伎の言葉じゃなかったかしら」
 舞も首を捻りながら話す。
「この時代の、しかも中国にあったのかしら」
「そうですよね。歌舞伎なんて」
 それは香澄も指摘する。
「ここにはとても」
「いちいち気にしたら仕方ない?」
「そうですね」 
 キングとナコルルはこう考えることにした。
「この世界は私達の中国とは違うし」
「ですから」
「何はともあれですけれど」
 黄忠は優しい微笑で劉備に声をかける。
「劉備さんは私達と一緒にどうでしょうか」
「本当にいいんですか」
「気にすることはない」
 趙雲も笑顔で話す。
「それはだ」
「そこまで仰るのなら」
「一緒に北に行こう」
 馬岱も笑顔で声をかける。
「とにかく北に行ってね」
「全てはそれからですか」
「剣は絶対に見つかりますよ」
 孔明も明るく笑って劉備に告げる。
「きっと」
「きっとですか」
「はい、劉備さんの顔の相はとてもいいです」
 これもまた軍師としての言葉だった。
「望むことが適いそして大志を為す相です」
「私が、ですか」
「こんな素晴しい相は私もはじめて見ました」
 こうまで言うのだった。
「ですからきっと見つかります」
「そうだといいのですが」
「ですから今は御一緒に」
 孔明もまたそれを勧める。
「行きましょう」
「はい、それなら」
「進む先に道があり剣もそこにある筈です」
 孔明は今一行が進んでいるその道を見ていた。それは北に進んでいる。
「ですから」
「わかりました。それでは」
 劉備は笑顔で頷いた。そのうえで、だった。
 こうして劉備もまた一行に加わった。これこそが彼女等にとっての大きな運命の出会いだった。これまでで最も大きなものなのであった。


第十八話   完


             2010・6・13
 
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