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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  航行中の超砲撃


空を進んでいく、戦艦・瞬風
その一室



そこで蒔風が腰を下ろして休んでいた。
ボヤ―、と座って、一人ごちる。


「戦艦・・・ねぇ・・・・瞬風か。やだ、なんか恥ずかしい」

そして何をしてるかと思えば、名前の由来が自分だと聞き、少し恥ずかしがっていた。



そして



「暇だな・・・くんれ・・・・いや、とっく・・・・遊ぶか(ドヤ)」



オイ





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これから向かう封印指定の土地は、広大な土地にぽつんと立つ巨大な岩山を中心に広がっている。


封印されたときは荒野だったらしいこの土地は、今や周囲を森に囲まれており、そこに開いた大きな空き地に岩山がある。
少し離れた場所には川も流れ、谷もある。

非常に穏やかな土地だ。
いや、長らく人が立ち入っていないから、静かなのは当たり前なのだが。




しかし、そこにまでの距離は遠い。

到着まで、あと6時間




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今瞬風に乗り込んでいるのは「EARTH」メンバー全員ではない。



もちろん、蒔風は来ている。
綺堂唯子も当然である。
それと、力が抑圧されても戦えるクラウド。
さらに翼刀が相手でなければ応用性の高い一刀。

総指揮官としては、組織との戦いになれている八神はやてが就く。
彼女がいくならと、リィンフォースとシグナム、アギトもついてきていた。

時空管理局からは他になのは、エリオが来ている。
仮面ライダー勢は天道総司、ヒビキの二人が。
それからセイバーとランサーである。

更には蒔風が頼み込んで泉戸裕理、川神百代、羽入、ハクオロにも来てもらった。


この四人は相手が相手だからの戦力だ。


相手の能力を無効化する泉戸裕理
抑圧を無視しても戦える川神百代
時を止めるという能力を持つ羽入
巨大な敵に対して有効的なハクオロ

四人とも本来ならやるべきこと(日常)がある立場だが、この状況に駆けつけてきてくれたのだ。
中には本気で頼み込み、交換条件まで出してきてもらった相手もいる。



そして、最後に一人、こいつがいる。



「儂が!漢女道亜細亜方面前継承者、卑弥呼である!!」

「出た筋肉ダルマ」


その声に開口一番はやてが突っ込んで、コラとクラウドが小突く。
こんななりでも彼は「観測者」。管理者に準ずる存在である。

そして今回、奴らが復活させようとしている「兵器」は、彼(彼女?)に深く関係している。


「じゃあ話そうかのう。ともあれ、今回わかった事実の方が大きいのじゃが」


そう、卑弥呼はその兵器と最後に戦った人間だ。

兵器の名が、その口から発せられた。




―――――――――






それは、世界を破壊した災厄の翼。
翼人伝説の中でも、とびっきりのダークサイド。


「当時、まだ世界は少なかった。いまではどれが外史でどれが正史かわからぬほどに多くの世界が存在するかわからぬほどあるがの。その数は全部で300程度しかなかったのじゃ」

「そしてそのうちの十一を破壊した?」

「さよう。わしらは早々にその行動に気づき、早急に対処した」


だが、一つの世界が消滅して即座に動いた観測者たちだが、それを止めることは出来ず、その翼人は止まることなくさらに十の世界を破壊していったのだ。
まるで彼らを障害物競走のそれだと言わんばかりに、驀進していったそうだ。

当時いた観測者は、卑弥呼を含め128人。
そのうち生き残ったのは彼だけだ。


卑弥呼の戦闘力はずば抜けている。

どれくらいかというと、恋とタメを張れるほどの強さを持つ彼の後継者・貂蝉よりも強いのだ。
蒔風も「戦いたくない人間」だと公言している。



当然観測者の強さもピンキリだったのだろうが、だとしても弱い者がいるわけがない。
そんな集団が、たった一人に全滅まで追い詰められたのだ。


脅威と感じないものはいなかった。



「じゃが残った儂らは、散って逝った仲間たち残してくれたデータからそやつを追い詰め、捕え、そこでまた散りながらも、どうにか封じ込んだのだ」

「そしてそのポイントがここだ」


そう言って、蒔風が地図の一点を指さす。
ぽつんと立つ岩山が、急に禍々しく見えてきた。


「絶対に復活させちゃいけないね」

「ああ、危ないことこの上ないからな」


船が進む。

到着まで、あと4時間



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「EARTH」本部ビル
通信指令室内



『それで、翼刀はどうにかなりそうなのか?』

「ダメ・・・やっぱり無理やり目覚めさせるのが一番みたいです」



そこでティアナが蒔風と連絡を取っていた。
今回、蒔風が全員を連れて行かなかったのは万が一にも封印が解かれてしまった場合を想定してのことだ。

今連れて行っているメンバーでも、十分に翼刀を止めることは出来るはずだ。
現に、あの施設での戦いではかなりのところまで行っていた。

今回は対策も立てられている。
恐らくは大丈夫だろう。



『どうやら翼刀は俺たちの模造戦士との戦いを幾度となく繰り返していたらしいしな』

「私たちの攻撃も、なんだか最初からわかっていた動きもありましたもんね」

『だがさすがにこれらのメンバーを相手にして、翼刀を止められないことはないだろ。そしたら一気に相手を捕縛して終いだな』



ちなみに、ティアナはさっきまで翼刀のデータをスカリエッティに見せに行っていた。
結局収穫はなかったわけなのだが、彼が言うにはこの技術はなんだか覚えがあるような気がするらしい。



『それどういうことだ?』

「スカリエッティの技術は人体改造と生成。まあ通じるところがあるってことなんじゃないですか?」

『・・・だが相手はその改造法を「前時代的」だって斬り捨ててたからな・・・・』


一体どれだけの技術力を持っていたのだろうか。
十数、いや、下手をすれば三ケタに届くかもしれないほどの世代を超えて続けられた狂気の研究。


それによって積み上げられた技術は生半可なものではない。



『うちの技術陣は?』

「技術陣と言っても、人体改造に精通した人間はいませんよ」

『学園都市は?』

「送りましたが、返答はまだです」

『間に合いは・・・』

「しないでしょうね」



そりゃそうか、と蒔風がため息をついてから、ティアナに礼を言ってどうするかと伸びをする。
ティアナの方も同じように、ギィっ、と椅子の背もたれに体重をかけた。



こちらでの準備も大変である。
蒔風は万が一、と言っていたが、相手の技術が今までのですべてだという確証はないのだ。


今向かってるメンバーが負けるのならば、恐らくそれ以上戦力を投じても無理だろう。
だったら、こちらに残ってもらってその「もしもの時」に備えておいてほしいというのが蒔風の考えだった。


『全員で行っても負ける時は負けるからな』

「そんなこと・・・・と言いたいですけどね」

『可能性は捨てられないさ』



そう言って、健闘を祈りますとティアナが通信を切る。
残ったモニターに、地図と瞬風の現在位置が映し出された。

この戦いは、ただでは終わらない気がする。
なんとなくだが、ティアナはそれを感じ取っていた。


全員、無事で戻るといいのだが。





モニターを見上げる。

彼らが到着するまで、あと二時間



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「動力はどうですか?」

「おーう、レジェス。今ンとこ問題ないな。このままなら予定通りにつける」

「だけど・・・っとこれこれ、どーします?まだかなり離れてますが」

「・・・・おや、「EARTH」ですか・・・」


「これでもぶっぱなしとくか?」

「そうですねぇ・・・・ついでにこっちでも行きましょうか」

「おぉ、えげつない」

「我々の最終段階です。幾数世代に及ぶ祈願の成就です。邪魔などさせません―――」



―――今度ばかりは、牙を剥かせていただきますよ。



カチッ、ピッッ!!!



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「おー、精が出てるねェ」

「あ、蒔風」


瞬風内の訓練室。
そんなに広くないその場所で、唯子が川神百代と組み手をしていた。

そこにひょっこりと顔を出しに来た蒔風を、唯子が見つけて声をかけた。


「どうしたのよ」

「いや、まだ時間もあるし暇だから歩いて回ってた。この艦初めてだし」

「ふーん」

「蒔風!!」

「うぉう!?な、なんだよ川神」


呑気に話している蒔風に、百代がいきなり話しかけてきた。
それにびっくりする蒔風だが、百代の顔はキラキラ輝いていた。


「こいつすごく強いな!!いやぁ、もう楽しくてしょうがない!!」

「自分は汗一つかかないでよく言うわよ・・・・」


タオルで汗を拭き、水分を補給する唯子が口を出す。
確かに、百代はまだまだいけるといった感じだが、唯子はマラソン後のように汗をびっしょりかいていた。



「あー、まあ川神には“フォルス”が入ってるからな。骨の髄まで“No name”のお前じゃどうしたって差は出るさ」

「じゃあ勝てないの?」

「そうとは限らないな。あくまで総合的な力の差だから、一撃でも入ればそこから多分叩き潰せるだろ」


ようはスタミナと耐久力の違いで、唯子の攻撃も十分に強いのだから命中させられれば勝てるとのこと。
現に百代も、さっきの組手ではギリギリだったらしい。


「あのパニッシャ―パンチだったか?あれはまずいと思ったな」

「あぁあれな。「なんであんな威力が出るのかよくわからないパンチ」略して「意味不明パンチ」な」

「意味不明ゆーな。まあ自分で「パニッシャー」言ってても恥ずかしいけど」


そう言って椅子に座る唯子。
どうやらここまでにして、到着までの時間は休憩にするらしい。


「今度は全力で、外でやろうな!!」

「やめて・・・百代さっき気力弾が撃てるとか言ってたじゃない・・・・」

「撃てないのか?」

「撃てないわよ!!」



それでもいい線行きそうだけどなぁ、と蒔風は思ったが口には出さない。

考えてみれば気力弾は打てなくても拳の衝撃は飛ばせるのだ、こいつ。



そんな話をして、十分。



その時




『高エネルギー反応!!十時の方向からSSランク級砲撃!!!』

「なに!?」


艦内放送が響き渡り、アラームが一斉に鳴り響いた。

それを受け、走り出す蒔風。




そしてデッキに到着すやいなや、即座に状況の報告をさせた。



「どこからの攻撃だ!?」

「わかりません!!レーダーに反応なし!!」

「肉眼でも目視できんだと・・・・!?」

「被弾します!!」

ガォオウッッ!!!



報告と共に、飛来した砲撃が瞬風に命中、その機体を大きく揺らした。


戦艦瞬風は「EARTH」唯一の戦艦ともあって、かなりの硬度を誇る。
しかし、それはあくまでも「通常の戦艦と比べて」であり、砲撃をいくつも受けて大丈夫ということにはならない。


「超々遠距離高度精密砲撃!?」

「先頭部外壁67%を損傷!!」

「第二波きます!!!同じく十時の方向!!」

『蒔風!!』


次砲飛来の報告。それと同時にモニターが開いて、そこにすでに変身した天道総司が、ハイパーフォームになって映し出されてきた。



『俺が止める。反動に気を付けてくれ』

「ちょ、お前まさか!!!」

《ALL Zector Combine!!》

「ッ!!総員衝撃に備えぇ!!とんでもないのが来るで!!」


デッキの蒔風が言葉が出ないうちに、はやてが艦内に叫びかける。
もしも本気で天道が撃つつもりなら、かなりの衝撃が来るはずだ。


一方瞬風の額と呼べるだろう場所に立つカブトハイパーフォームが、その手にパーフェクトゼクターを手にして砲撃に向けてまっすぐ構えた。
そしてそのエネルギーがタオキン粒子となって先端部に渦巻いていき、荒れ狂う竜巻となって撃ち出されていく。



『(ガシャコッ!!)マキシマムハイパーサイクロン・・・・!!!』

ドッグォア!!!!


凄まじい轟音と衝撃を伴い、大気を巻き込みながらそれと砲撃が真っ向から命中した。


ガゴォン!!

「ウォオオオオオオオオおお!!!!」


カブトの背面からは反動を殺すために甲虫の羽根状のエネルギーが噴き出しているが、それでも瞬風がかなり大きく揺れる威力だ。
すでに第一波でヒビの入った瞬風の外壁がバキン!!といってさらに砕け、カブトの脚がくるぶしあたりまで埋まっていく。

しかし拮抗しぶつかり合う砲撃は、どうやらカブトの方が強いようだ。もうすぐにでも打ち消されるだろう。



だが、その先にカブトはさらなる砲撃を発見した。



「マズイ!!!蒔風、第三波だ!!!」

『あぁ見えてる!!無理か!?』

「やってみるさ!!!」


ぐぉぉオオオオオオ!!!と腹の下から出てくるような気合いを上げ、砲撃を巻き取るかのようにカブトがパーフェクトゼクターで円を描いた。
剣道の巻き技と呼ばれるものだが、それをまさか砲撃でやろうというところが天道と言ったところか。


しかも相手は超超遠距離砲撃だ。巻き上げるにしても相当の力を要する。
だが、それをやるのが天の道。


「ヌゥアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」




天道が雄叫び、パーフェクトゼクターを振り巻き上げる。
するとそれに引きずられるようにして相手の砲撃も流れて行き、第三波の砲撃をぶつかり、それが瞬風に命中するのを防いだ。


だが、直撃を防いだと言っても、カブトがそれを受けているのは変わらない事実。
むしろ二本の砲撃を一手に受けて、カブトの許容量を一気に振り切って行ってしまうのだ。


しかも、相手の攻撃はそれで終わらない。



『天道さん!!次が!!』


更に四回目の砲撃が視界に飛び込んできて、カブトが本気で覚悟を決める。


「これは・・・まずい!!」

「いやいや、お前さんだけいいカッコさせねーって」

「ありがうございます。今度は私たちが!!!」

ギャオォッ!!



と、そこに二人の人間が現れて、カブトを挟むようにして同じ方向を見る。
そしてその武器の先端に、己の魔力を練り込み始めた。


一つは、レイジングハート。
その杖の先端に、桜色の魔力が充填されていく。

一つは、ゲイ・ボルグ。
その槍の先端に、殺気とともに真紅の魔力が練り込まれていく。



「エクセリオン、バスタァーッ!!」

「ゲイ・ボルグッ!!!」



そして、その二本から放たれた攻撃によって迫りくる二本の砲撃が追撃されていった。


連射はさすがに威力が落ちるのだろう。
その砲撃と投擲によって穿ち消された砲撃の衝撃が、カブトが巻き上げていた砲撃を揺らし、一気に崩壊していく。


「ッァ・・・・・・ハァ・・・ハァ・・・すまないな」

「大丈夫だよ!」

「さぁて、ちと早すぎる気もするが・・・」


『戦闘開始だ!!相手にはこっちの姿が見えているぞ!!』



蒔風の言葉とともに、全員が改めて気を引き締める。


目的地には、たどり着けるのか。







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その遥か数万キロの彼方
そこに、巨大な時空の穴が開いていた。


そしてそこから飛び出してきているのはやはり巨大なものだった。
長さにして、瞬風の四倍くらいか。


三角錐を思い浮かべていただけるだろうか?
それを横にし、軸が地面と平行になった感じのモノが、そこから飛び出してきている。


そしてその三角錐の先端に、メインの巨大な砲首が備え付けられていた。


メイン、というのは




ガギャンガギョンギャギョンッッ!!





その三角錐が、すべて砲首で構成されていたからである。


モノによっては、砲台である。
モノによっては、機関砲である。
モノによっては、銃口である。
モノによっては、魔力砲台である。
モノによっては、大砲である。
モノによっては、電磁砲である。
モノによっては、レーザー砲である。


あらゆる「砲」と呼ばれる物で構成されたその三角錐は、ある一点に向かってその先端を向けいている。
肉眼はおろかレーダーでも捉えられないような遥か彼方に存在する瞬風に、その先端の照準をピタリと、寸分の狂いもなく合わせていた。



そしてその脇から、一隻の時空航行船が現れてきた。





「これで邪魔は入りませんね」

「にしてもウェポンメモリ(こいつ)の暴走体をこうも上手く使うとは・・・お前は天才か」

「知ってます。というか今までの失敗作(渡航者)を使えばこれくらいはできます」



―――暴走も、探知も、ね



そう小さくつぶやいて、船が目的地に向かう。








行く者
追う者

解き放つ者
止める者



絶望する者
それを救いたいと望む者



様々な様相を持ち合わせ、船は先に進んでいく。


決して織り合わない彼らだが、向かう先は同じ場所だった。



そしてそれは、一人の封じられしもとへと





止めることは
        出来るのだろうか
解き放つことは







to be continued

 
 

 
後書き

とりあえず本編の話。



結局遊んでない蒔風。
まあ遊ばせたらどうしようもなかったし、本人もノリで言っただけでしょう


困った時のスカさん頼り。
でもあの人くらいしか相談できそうな人いないじゃないか・・・!!!

そして砲撃からいきなり始まる戦闘。

カブトがいい仕事しすぎる!!



敵の出してきた三角錐の砲台のイメージは「スマブラX」の・・・こう・・・あれです

あるじゃないですか、ストーリー終盤近くでクッパとガノンさんがめちゃくちゃにブッ放すやつ。
あれです名前なんて言ったっけかなぁ・・・・



封印されている「兵器」はも皆さん絶対わかってますよね

しかしあえて出しません。
いや、今後に素晴らしい展開が思いついているわけでもないんですけど

そう・・・強いて言うなら・・・・



何となくです。




ちなみに瞬風は世界内を航行
相手の航行船は次元空間を航行中でした。


次回、VS巨大砲撃
何人脱落してしまうのか!?


ではまた次回

 
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