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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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57.過去とは、現在への土台であり、未来への教科書でもある。過去に学べ。

<サンタローズ>

俺は今、一人でサンタローズの元実家の地下に来ている。
元実家と言っても、地上階は何もない瓦礫だけどね…
その地下で俺は四苦八苦している。
壁や天井を触ったり、叩いたり、撫でたり、くすぐったり…くすぐる?

「あの~リュカさん…何をなさっているのですか?」
振り向くとリュリュが不思議そうな顔で俺を見ている。
やっべ!
壁くすぐっているところを見られた!
ハズガシー!!

「お母さんから聞いてない?とても奇妙な事をする男だと」
俺は髪をかき上げ、恰好付けながらリュリュに尋ねる。
「い、いえ…そうは聞いてませんが…」
どんな事を聞かされているのか気になるなぁ…

「あの!」
リュリュは俺の奇抜な行動には深入りせず、意を決した様に声をかけてきた。
「なぁに?」
俺は視線を合わせ、顔を覗き込み訪ねる。
もしかしたらこの娘は俺の事を嫌っているかもしれないから…

「あの…他の人が居ないとこでは…私も…お父さんって…呼んで…いいですか?」
どうやら、辛うじて嫌われてはいない様だ…
だが俺はダメ親父だ!間違いなく…
でも、これ以上はダメにならないようにしないと!
「リュリュ。僕は君のお父さんだ。何時何処で誰が居ようと、お父さんて呼んでくれて構わないんだよ」
そうさ…俺が招いた事態なのだから、逃げ出す事は許されない!
ましては可愛い娘に遠慮をさせるなど、以ての外だ!
「お、お父さん!お父さん、お父さん!」
リュリュは泣きながら俺に抱き付き、お父さんと連呼する。
やっぱ子供って可愛いなぁ…

気が付くとフレアさんが俺達を見守っていた。
もしかして…壁をくすぐるハズカシー姿も見られたかな?



リュリュを落ち着かせ、教会でフレアさんに経緯を話した。

「そっか…ラインハット兵が攻め込んできた時の事を、リュー君見ちゃったんだ…」
正直見たくなかった…フレアさんだって、あんな場面は見られたくないだろう…
「………ごめんなさい………」
「やだ!リュー君が謝らないでよ…私こそごめんね。こんな状態の女で…」
俺はフレアさんにキスをすると、そのまま押し倒していた。

「違う!フレアさんは悪くない!!悪いのはフレアさんに酷い事をした奴らだ!僕はフレアさんの事が大好きだ!どんな事があったって関係ない!」
「リュー君…」
俺とフレアさんは重なり見つめ合っている。

「あ、あのぅ!わ、私……お外へ行ってきます!!」
「「あ!!」」
リュリュが居るの忘れてた!
「ごめん!リュリュ!いいよ、気を使わなくて!ここに居ていいから」
「ごめんなさい、リュリュ。つい…」
「お父さん…お母さん…」
真っ赤な顔でこちらを見ているリュリュ…
本当に父親失格だな!

「と、ところでリュー君は…いつ、その妖精の国に行ってきたの?」
流石に恥ずかしかったのだろう…フレアさんが慌てて話題を変えてきた。
「あ、あぁ…え~と…あれは…フレアさんに黄金の宝玉を渡す前まで、妖精の国に居たんだ!」
「じゃぁ…あの桜の枝は、妖精の国から持ち帰った物なのかしら?」
「桜?」
何か持ち帰ったっけ?
「ちょっと…忘れちゃったの?桜の枝を育ててって、渡してくれたじゃない。教会の横に咲いている桜は、その時の桜よ」
「そうだ!!ポワン様が誓いの証ってくれたんだ!」
俺は慌てて桜の元へかけだした。


桜の木へ触れ、心の底から祈る。
ポワン様、困った事があったら力になるって言ったよね!
今困ってます!
すんごく困ってます!
何故だか困ってます!
タチケテ~




<妖精の国>

俺の祈りが通じたのか、元からこうしたシステムなのか…よく分からないが、気付いたらポワン様の前に立っていた。
「お久しぶりです、リュカ」
相変わらず可愛いなぁ…
歳とってないんじゃね?

あっと…そうじゃねぇーや!
「あの、ポワン様!」
「分かっております。ゴールドオーブの事でしょう」
「そうです!これです!」
俺は懐から光る宝玉を取り出す。

「リュカ…大変申し訳ありませんが、今の我々には天空城を浮上させる程の魔力を持っている者はおりません」
何なの今日!
無駄に胸くそ悪いビジョン見て、無駄にラインハットまで行って、無駄に財宝の山を漁って、無駄に壁をくすぐって、無駄にポワン様に泣き付いて…
「でもリュカ。方法はあります」
出た!
また無駄へ誘う魔法の言葉。

「大変危険ではありますが、これしか方法がありません」
うん。無駄でもいいから、危険な事は止めましょう!
「ポワン様!みんなで一緒に違う方法を模索しましょ!大丈夫!きっと、良い方法が見つかりますよ!」
安全第一!
「いえ!これしか方法はありません!今からリュカ…貴方を過去の世界へ送ります。ですが気を付けて下さい。人々にこれから起こる未来の事を教えてはなりません」
「………何で?」
「過去が変わってしまうと、現在の貴方の存在が消えてしまうかもしれないからです。例え不幸な事でも、起こらなければ今の貴方は存在しないのです」
何だかよく分からないけど、余計な事しなければいいんだよね!?

「要はゴールドオーブさえ、すり替えてくれば良いんでしょ?楽勝ッスよ!」
そうさ!
あの男より先にゴールドオーブをすり替えれば良いんだから!
「いいですか!気を抜かないで下さい。とても辛く、危険な任務ですよ!」
も~…ポワン様は大袈裟だなぁ~!
過去の俺からゴールドオーブをくすねて来れば良いだけじゃん!
今までで一番、楽勝なミッションだよ!
そう言えば誰かが言ってたな…ポワン様は天然だって!
きっと、危険視するポイントがずれてるんだ!
単純明快超楽勝!
じゃ、チャッチャカ行って、水中城を天空城に戻してやるかな!



 
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