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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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172部分:第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその九


第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその九

「先程のことですが」
「あの烏のことですか」
「はい、連れの者が助かりました」
 微笑んでこう述べるのだった。
「お陰で」
「いえ、気になっただけで」
「それだけですか」
「はい、どうもそういうものは見ていられない性格で」
 美女はこう答える。答えながら関羽に席を勧めてだ。二人で向かい合って話すのだった。
「関羽といいます」
「黄忠です」
 こうそれぞれ名乗るのだった。
「字は雲長です」
「字は漢升といいます」
 お互いに字も名乗った。そしてここで、であった。
 関羽は窓を見てだ。その上で言うのだった。
「いい場所ですね」
「はい、ここからの眺めはとても」
「それにです」 
 さらに話す関羽だった。
「大通りが奇麗に見えますね。遠くまで」
「!?」
「普通の者ならとても届かないでしょう。しかし」
「しかし?」
 黄忠の顔が強張っていた。関羽はそれに気付かないふりをしながら話を続ける。
「あの李広の様な腕の者なら間違いなく」
「くっ!」
 黄忠は関羽の言葉を受けて咄嗟に傍に立てていた薙刀を手に取ろうとする。しかしであった。
 その前にだ。関羽が弓矢を持ってだ。それを制していた。
「うっ・・・・・・」
「薙刀も使えるとはな」
 関羽は黄忠の整った顔が強張るのを見ながら言葉を返した。
「だが。こうなってはな」
「何故このことを」
「こちらが聞きたい。鈴々」
「わかったのだ」
 ここで張飛達が部屋に入って来た。そうしてであった。
 そのうえで黄忠の話を聞くその話はだ。
「何っ、娘さんをか」
「はい・・・・・・」
 張飛の他に孔明に趙雲、それと馬超と孫尚香がいた。そのうえで話を聞いていた。
「主人に先立たれて娘と二人で暮らしていたのですがある日」
「誘拐されたってのかよ」
「そうです。それで脅されて」
「どんな奴なのだ、それは」
「顔はわかりません」
 それはだというのだった。
「顔は。全く」
「そうですか」
「しかし。娘の命を助けたければと」
 こう一同に話すのだった。
「孫権殿を」
「権姉様を暗殺するなんて絶対に許さないわよ」
 それは怒った顔で言う孫尚香だった。
「まあ脅されてだから仕方ないけれど」
「娘は私の全てです」
 俯いた顔で言う黄忠だった。
「暗殺は武芸者のすることではありません。ですが」
「卑怯な奴もいるな」
「しかし。誰だそれは」
 馬超と関羽がここで言う。
「またあれか?宦官か?」
「十常侍か」
「それはわかりません。顔は仮面で隠していました」
 黄忠は俯いたままこう述べた。
「ですが。娘の絵を持ってきて安全を保障をしたうえで」
「それ、絶対にまずいですよ」
 孔明は強い顔で言ってきた。
「多分仕事の後で娘さんも黄忠さんも」
「そうだよな。暗殺をした人間なんてな」
「口封じをすることが常だからな」
 馬超と趙雲もそのことはよくわかっていた。
「その後だとな」
「間違いないな」
「それでその絵だが」
 関羽はその絵のことを問うた。
 
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