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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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163部分:第十四話 袁紹、お宝を探すのことその十二


第十四話 袁紹、お宝を探すのことその十二

「凄い弓の使い手らしいですね、黄忠さんは」
「そうらしいわね、それにおいては夏侯淵殿に匹敵するっていう」
「それだけ凄いって」
 田豊と沮授も二人のことは知っているようだ。それでこんなことも言うのだった。
「確か南の方にいるっていうけれど」
「今は揚州の方にいるらしいわね」
「あと厳顔は益州にいるわね」
 荀彧がここでまた言う。
「あの地で城を一つ治めているわ」
「そういえば益州は」
「そうよね」
「今は特に領主もいなくて」
「結構治安が悪いらしいし」
「誰か治める人がいたら」
 こんな話もするのだった。そしてだ。
「誰かいい人がいたらね」
「いいんだけれど」
「益州か」
 関羽がその州の名前を聞いて述べた。
「一度行ってみたいな、あの地にも」
「そうですね。何かありましたら」 
 孔明が笑顔で応える。
「一度」
「そうだな。縁があればな」
「はい、是非」
 そしてだ。ここでまた荀彧が言うのだった。
「これでお酒があれば」
「またかよ」
 文醜が彼女の言葉に呆れた顔になる。
「おめえ酒ばっかりだな」
「いいじゃない、お酒は止められないのよ」
「それだけはかよ」
「そうよ。お酒と華琳様はね」
 少しツンとした顔で言うのであった。
「皆で飲むのもいいし」
「最近シャルロットやロサと一緒に飲んでいるのだ」
 夏侯惇がここで一同に話す。
「妹は妹で何か見慣れない顔と飲んでいるしな」
「あれ誰かしら」
 何と曹操ですらいぶかしむ顔になる。
「赤い髪の。見たことないけれど」
「そうですよね、白馬に乗ってますけれど」
「あれは」
 曹仁と曹洪も知らないのだった。
「誰なんでしょうか」
「袁紹殿の配下の人ですか?」
「赤い髪の毛で白馬に乗っている?」
 袁紹の方もそれを聞いて腕を組む。
「誰ですの、それは」
「御存知ないですか」
「それは」
「白馬が好きな人間もいませんし」
 袁紹陣営においてはというのである。
「特に」
「そういえば我々には白馬を好む人はいませんね」
 審配はその密かに豊かな胸を湯舟の中に入れつつ述べる。
「だとしたらそれは一体」
「密偵ではないのはわかるが」
 夏侯惇は真剣な顔になっていた。
「誰だ、あれは」
 最後の最後で謎が浮かび出ていた。そしてその夏侯淵はだ。一人で寂しい顔で仕事をしていた。そのうえで兵士達に対して言うのだった。
「これが終わったらだ」
「はい」
「飲みに行って来る」
 こう言うのだった。
「少しな」
「左様ですか」
「丁度公孫賛殿も幽州からここに来ておられるしな」
「誰ですか、それは!?」
 兵士達はその名前を聞いて驚いた声をあげた。
「我が軍の方でしょうか」
「袁紹殿か?」
「いや、孫策殿ではないのか」
「いや、幽州といえば今は太守もいない」
「そこの豪族の方か」
「幽州の太守だ」
 これは曹操ですら知らないことだったりする。当然曹操の陣営においてもこのことを知っているのはこの夏侯淵だけであったりする。
「実はだ」
「幽州に太守がおられたのですか」
「そうだったのですか」
「そうなのだ。誰も気付いていないようだがな」
「何と・・・・・・」
「そうだったのですか」
 皆それを聞いて唖然となる。驚いていた。
「幽州に太守がですか」
「おられたのですか」
「その通りだ。さて」
 ここまで話してだった。丁度筆が置かれた。
「今から飲んで来る。そういえば擁州には華雄という武将もいるそうだな」
「ですが夏侯淵様は存在感ありますから」
「別にそれは」
「だといいのだがな」
 兵士達の言葉に優しい微笑みになる。
「最近擁州では鬼が出るとも聞いているが」
「ああ、何か山賊やらを片っ端から捕まえて」
「休む間もなく働かせ修行をさせている鬼ですね」
「二人いるそうですね」
「世の中恐ろしいものもいるものだ」
 夏侯淵は言った。
「我が陣営にはそこまで残虐なのはいないからな」
「全くです」
「擁州のことは中々わかりませんが」
 そんな話もするのだった。こうして夏侯淵はその公孫賛と二人で飲むのだった。だが巷では彼女は今は一人で飲んでいたと言われるのであった。なお宝はあの巨大熊がねぐらにしていた。深い洞穴の奥にあり熊はそこでようやく冬眠に入った。だが誰も宝のことは忘れてしまっていた。


第十四話   完


                2010・5・18
 
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