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星河の覇皇

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第六十三部第二章 円卓その十二

「今の我々はな」
「異端審問はともかくとしてですね」
「今の我々はですね」
「処刑を楽しみませんね」
「連合とは違い」
「連合は処刑を楽しむ」
 残虐な処刑ショーにする、そのことについての言葉だ。
「処刑は出来るだけ酷く時間をかけるのが連合だ」
「連中の野蛮さがそうさせていますね」
「残虐さが」
「処刑を楽しむことは野蛮だ」 
 それも最もな、だ。これもエウロパ貴族の考えだ。
「即座にだ、命を断つべきだ」
「しかし連合はですね」
「そこが違いますね」
「相手の処刑を楽しむ」
「そうしますね」
「それはしてはならない」
 ギルフォードはこの言葉を退けなかった、それも決して。
「命は尊ぶべきだ」
「例えそれが極悪人であろうとも」
「国家を裏切った輩でもですね」
「そうしないのが連合だ」
 再び軽侮の言葉を出した、今度は連合に対して。
「あの連中と同じことはしない」
「下賎な真似はですね」
「何があろうとも」
「連合は所詮衆愚だ」
 衆愚という言葉はエウロパではお互いの中では決して使われない、連合の者達を表す言葉である。そしてその言葉を出して言うのだ。
「衆愚はな」
「愚かであるが故にですね」
「そうした下賎なこともする」
「処刑を見世物にして楽しむということを」
「今もしているのですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「彼等はそうした者達だ、しかしだ」
「我々は、ですね」
「エウロパは」
「どの様な状況でも気品と礼節を忘れない」
 この二つは決してというのだ。
「エウロパの者はな。特に」
「貴族は」
「我々は」
「気品と礼節と共にある」
 まさに常にというのだ。
「だからこそだ」
「処刑もですね」
「相手を苦しめない」
「見世物にもせず」
「即座に済ませますね」
「屠殺文化は卒業した」
 とうの昔にというのだ。
「そこが連合とは違う」
「そういえば連合は」
 側近の一人が忌々しさと軽蔑、嫌悪の三色を含ませて笑顔になってだ、そのうえでギルフォードに対して述べた。 
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