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星河の覇皇

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第六十三部第二章 円卓その十三

「エウロパを裏切ったロシアも。そしてアメリカや中国も」
「そうした国々にだな」
「東南アジアもオセアニア諸国も。古代民族の復活国家も」
「中南米諸国もだな」
「あらゆる国家がです」
「屠殺文化を持っているな」
「まさにどの国もです」
 こう言うのだった、ギルフォードに。
「人を楽しんで殺す文化を持っていますね」
「アッシリア等がそうだな」
「あの国は特にでしたね」
「アッシリアのレリーフは敵を殺しその手足や首を描いたものだった」
 そのレリーフを王宮の壁に飾り他国からの使者達に見せていたのだ。アッシリアに逆らったらどうなるかを見せる為に。
「実際にそうしていたしな」
「アッシリアはですね」
「あの国は」
「人の皮を剥ぐこともした」
 これはこの時代の連合でもしている処刑の一つだ、生きた者の皮を剥ぎそのうえで死ぬまで外に放って置くのだ。
「敵に対してな」
「そしてそれがですね」
「アッシリアであり連合ですね」
「あの国の他にもフェニキアやヒッタイト、バビロニアとありますが」
 どの国家も古代民族の復活国家である、ただしその彼等が実際にそうした民族の血を引いているかどうかはわからない。エウロパではそれは完全な捏造であると断定しているがその断定の根拠はかなり強引なものである。
「そのどの国もですね」
「残虐ですね」
「そうした処刑を楽しんでいますね」
「ショーとして」
「それは許されない」
 エウロパの倫理からだ、ギルフォードは語った。
「決してな」
「そうですね、まことに」
「それをするのが彼等ですね」
「下劣なことに」
「処刑を楽しみますね」
「処刑を楽しむことは野蛮の証拠の一つだ」
 これもエウロパで言われていることの一つだ。
「あれで戦役で何もしなかったのが不思議だ」
「てっきり捕虜も一般市民も殺戮すると思われましたが」
「そうはしませんでしたね」
「十字軍の様なことをすると思いましたが」
「それはありませんでしたね」
「どうやら連合の殺戮は死刑囚にだけだ」 
 彼等にだけ向けられるものだというのだ。
「他にその残虐性は向けない」
「殺すべき者だけですか」
「惨たらしく殺すのは」
「確かに忌まわしいことですが」
「戦いではそれはしない」
「その場では」
「その様だな、彼等は捕虜にも一般市民にも一切手出ししなかった」
 実際にそうしていた、それどころか一般市民がいる施設には一切手出しをしなかった。一般市民がいることがわかれば攻撃前に退避を勧告していた・。
「全くな」
「それどころか扱い丁重でしたね」
「捕虜に対しても占領地の一般市民に対しても」
「確かに軍の管理下には置きましたが」
「それでもでしたね」
「そうした文化らしいな、下衆だが無駄な血は求めない」
「蛮人と言えどもですね」
 その連合でもというのだ。 
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