| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

0016話『暖が無くなる日』

 
前書き
更新します。 

 



五月も近くなり、もうそろそろ寒くもなくなってきた…むしろ暑くなってきた今日この頃。
この世界に来る前にすでに告知されていた中規模のイベントに関して資材を貯めているという感じの一日。
大淀がある事を教えてくれた。

「提督。あの、少しよろしいでしょうか…?」
「どうした? なにやら改まっているように聞こえるけど」
「はい。談話室に置いてあるあるものを仕舞おうと思っているんですが…」
「あるもの…?」
「はい。時期も時期なので炬燵です」
「あー…なるほど。それならもう春も過ぎたんだから仕舞えばいいじゃないか?」
「そうしたいのはやまやまなんですが、とある一部の艦娘達がまだ肌寒いと言って炬燵を仕舞うのを拒否していまして…」
「なるほど…まだ炬燵離れできないのか。…ちなみに誰だ?」

そして大淀に教えてもらった名前を聞いて予想通りという感想と、もう一方で意外な人物だなという二つの感想が頭に浮かんだ。
それで談話室へと足を運んでいくとそこにはまず予想通りの子達が炬燵で横になっていた。
そこには特型駆逐艦3番艦の初雪と睦月型駆逐艦11番艦の望月が炬燵に顔以外を沈めさせていた。

「こら、初雪に望月。そろそろ炬燵を仕舞う時だぞ」
「…んー、司令官? まだ、潜っていたいんだけど…」
「そうだよー。まだ寒い…」
「ダメだ。そろそろ五月になって雨も降りだしてくる頃だからいい天気のうちに干しておかないとカビが生えてしまうだろ。
また冬になったらすぐに出すように手配するからもう出ような」
「…わかった…」
「んー、わかったよ」

私の言い分を聞き入れてくれたのだろう二人はダルそうに、だけどのそのそと炬燵から這い出してきた。

「…さて、これで予想通りの二人はいいとして、問題はなぁ…」

それで私はそちらへと顔を向ける。
私の顔を追ってか初雪と望月もそちらへと振り向く。
そこには完全にタレパンダと化しているアイオワとサラトガ、ウォースパイトの連合組海外艦の姿があった。
…畳化が激しいんじゃないかな?
もともと海外は温かいから季節によって寒い日本だと気温の関係で体が合わないのだろう。
アイオワはともかくサラトガとウォースパイトは普段の気品さはどこにいったんだ?と言わざるを得ないような感じで炬燵に入っている表情も緩くなっていた。

「…司令官。…私達よりあっちの方が深刻だと思う…」
「望月も初雪の意見には賛成しておくよ…」
「そうだなぁ…」

それでも他の海外勢は特にいなかったのはまぁいいと思う。
ドイツ艦のみんなは規律に厳しいから数日前に大淀に仕舞うという話をしたら率先して片付けたっていうし。
まぁ、一部プリンツオイゲンが駄々をこねたというがビスマルクが説得をして泣く泣く這い出てきたという。
イタリア艦のみんなも特に反対はせずに済んだという。
やっぱりお姉さん気質のザラが中心になって五人を説得したという。
さすが第二次改装をしてさらにお姉さん度が磨きが増した大天使ザラエル…。
とにかく、

「アイオワにサラトガ、それにウォースパイトも初雪と望月を見習って炬燵から出たらどうだい?」
「うう…アドミラルはひどいネ。こんなグレートなものを仕舞うなんて…」
「はい。サラももう少し入っていたいです…。こんなものはアメリカにはありませんから」
「アドミラル…。酷いわ。どうして…? ホワイ…?」

三人のその切なそうな眼差しに少し負けそうになってしまう。
ただでさえ三人とも美人なのにそれで涙目で責めてくる視線を浴びせられるとなにかと来るものがある。
だけどここは心を鬼にして、

「それでももう仕舞わないとさっきも言ったようにこれからだんだんと雨が多く降るようになるんだから今のうちに干しておかないとまた冬が来たら使えなくなってしまうぞ。それでもいいのかい?」

そう言い聞かせる。
そしてようやく観念をしたのだろう。
三人ものそのそと炬燵から這い出してきた。

「これでよし…。それじゃまた冬に使えるように感謝を込めて炬燵布団を洗濯しようか」
『はーい』

それで今鎮守府にいる艦娘全員で冬の布団などを一斉に洗濯してしまおうという試みをしようという話にした。
鳳翔さんや龍鳳などといった家事清掃がうまい艦娘なども集めて盛大に行おう。
そう思って思い切ってアイオワ達が入っていた炬燵の布団を捲ってみた。
だけどそこで意外な人物がまだ炬燵の中にいた。

「…なんにゃ? 多摩の眠りを妨げるのは誰にゃ…?」
「多摩、お前も入っていたのか…」
「うん…。寒かったから入っていたにゃ」
「あれか? 猫は炬燵で丸くなるっていう…」
「多摩は猫じゃないにゃ…」

そんな言い訳をしていたがもういないよな…?
そんな思いを抱きながらも一応全部の炬燵を確認した。
もし酸欠になっていたらシャレにならないからな。

「多摩、お前の部屋の布団も干してしまおうな。乾かしてふかふかになった布団で眠ると温かいぞ?」
「…ん、頑張るにゃ!」
「その意気だ」

それを聞いていたのだろう初雪と望月もやる気を出していたからよかったよかった。
それで一日かけて冬物は大体は仕舞えたと思うからこれも環境の変化の一環だなと一人ごちた。


 
 

 
後書き
畳化というワードを今回は使ってみました。

艦これ発祥らしいですよね。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧