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レーヴァティン

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第一話 夢幻の世界へその十

「正々堂々と行う」
「そして恥はかかないか」
「見せてやる、またな」
「今度は勝つからな」
「望むところだ」
 英雄は鋭い目で久志に応える、そして久志も同じ目で返した。そのうえで二人はそれぞれの飲みものを飲んだ。
 それからだ、二人は剣道部の道場に入ってだった。それぞれの剣を振るう格好になった。その彼等を見てだ。
 観戦及び判定役として来たフェシング部の者達も剣道部の者達もだ、微妙な顔になってそのうえで言うのだった。
「フェシングに剣道か」
「全然流儀が違うからな」
「使うのも防具もな」
「全然違うな」
 実際に全く違っていた、しかしだった。
 彼等自身は手合わせの挨拶をして今まさに勝負をはじめようとしている、西洋と日本の剣術がぶつかろうとしている。
 しかしだ、観ている者達は言うのだった。
「チグハグだな」
「違和感バリバリの光景だな」
「フェシング対剣道なんてな」
「よくやるぜ、あいつ等も」
「それでどっちが強いか」
「しかも昨日勝ったのはどっちかを決める為の勝負なんて」
「何なんだよ、一体」 
 それぞれ呆れたものも見せていた。
「本当にな」
「おかしな勝負する奴等だ」
「何もかもがな」 
 そんな話をしつつ観戦をする、その中で二人の勝負がはじまるが。 
 久志は細いサーベルではなく特別に造らせた重厚な両手に持つ巨大な剣を振るっている。久志の竹刀のものよりも遥かに巨大だ。
 その剣、歯はなく無論鉄でもないプラスチックのものを見てだ、剣道部の者達はフェシング部の面々に尋ねた。
「あんなのフェシングで使うか?」
「あれトゥーハンドソードだよな」
「ドイツとかで使ってた巨大な剣だよな」
「ああして両手で持って戦う」
「ああ、それだよ」
「あれトゥーハンドソードだよ」
 フェシング部の面々もこう答える。
「あいつ本当はあれで戦うんだよ」
「試合の時は規定されたサーベルで勝負するけれどな」
「本来はトゥーハンドソードなんだよ」
「あれで闘うんだよ」
「そうか、試合の時は違ってもか」
「普段はそれで闘うんだな」
「そうしたスタイルか」
「ああ、あれはな」 
 トゥーハンドソード、この剣はというと。
「思いきり振り回すだろ」
「相当な力でな」
「戦場とかでそうしてたんだよな」
「思いきり凄い力で」
「そうしてたよな」
「あいつ実際にな」
 久志を見ての言葉だ、英雄と互角に闘う彼を。
「凄い力あるんだよな」
「腕力よりも足腰が凄くてな」
「背筋なんか鬼みてえだよ」
「脚の筋肉凄いぜ」
「だから十キロある剣も振り回せるんだ」
 両手でよりも腰で振るというのだ。
「相当に強いぜ、あいつ」
「サーベルでも相当に強いんだよ」
「腰がしっかりしてるからな」
「その分な」
「そうだろうな、しかしこっちもだよ」
 剣道部の一人がここでこう話した。
「強いぜ、あいつ」
「そうだな、動き見てたらな」
「足捌きいいな」
「素早いぜ、かなり」
「あれは相当なものだ」
「柳生新陰流でもな」
 その剣道部の一人が言った。
 
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