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レーヴァティン

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第一話 夢幻の世界へその十一

「相当らしいしな」
「実際にか」
「相当な強さか」
「腕は立つ」
「そうなんだな」
「剣道部でもトップクラスだぜ」
 その実力はというのだ。
「四段も近いな」
「じゃあ今三段か」
「大学一回でそれはかなりだな」
「それで在学中に四段か」
「それはまたかなりだな」
「その時任と互角だからな」
 それで渡り合っているからだというのだ、激しい打ち合いと動きを見せている久志と英雄を見つつの言葉だ。
「あの有栖川ってのもかなりだな」
「トゥーハンドソード持って動き回るからな」
「あいつもフットワークいいんだよ」
「馬鹿でかい剣を操りつつ」
「動きはかなり速いんだよ、見ての通りな」 
 見れば久志の動きはかなりいい、両手に持っている剣の動きだけでなく足のそれもかなりのものだ。
「いいんだよ」
「だからか」
「あいつ強いんだな」
「そうなんだな」
「そうだよ、相当なんだよ」 
 久志もというのだ、二人は互いに一歩も譲らず勝負を続ける。そうして一時間程続けたが結局だった。
 勝負は引き分けとだ、フェシング部の者達も剣道部の者達も言った。
「どう見てもそうだよ」
「互いに譲らずだ」
「最初から互角でな」
「最後までだったよ」 
 そうだったというのだ。
「どっちがどっちかっていうかな」
「互角のままだったぜ」
「だからこの勝負引き分けな」
「そういうことでな」
「何だ、引き分けか」
 久志は彼等の言葉を聞いて残念そうに言った。
「がっかりだな」
「俺もだ」
 英雄も言う、表情は久志より乏しいがそれでも無念さは出ていた。
「それは」
「けれど実際にな」
「お互いに一本取れなかったしな」
「それじゃあな」
「仕方ないだろ」 
 引き分けという判定もというのだ。
「どうしてもな」
「そう言うしかないんだよ」
「どうしてもな」
「やれやれだな」
「それで納得いろというのか」
 二人はこう言うがだ、それでも周りは言った。
「だから仕方ないだろ」
「誰がどう見たってそうなんだからな」
「互角だったよ」
「そのままはじまって終わったよ」
「嫌でも納得しろ」
「納得出来なかったら勝負しろ」
 こうまで言う者もいた、しかし。
 久志も英雄もだ、部員達の話を聞いて言った。 
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