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もう一人の八神

作者:リリック
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新暦79年
異世界旅行 ~カルナージ~
  memory:32 旅行、始まる

-side other-

悠莉がミッドチルダを発った翌日。
St.ヒルデ魔法学院では試験期間が終了し、初等科トリオは高町家へと集まっていた。

「花丸評価いただきました!」

「三人揃って」

「優等生ですッ!」

自分たちのテストの評価をなのはとフェイトに見せた。

「わー、みんなすごいすごーいっ」

「これならもう堂々とおでかけできるね!」

二人に褒められ、嬉しそうにする初等科トリオ。

しばらくして、コロナとリオは旅行の準備のために一度自宅へと戻ることになった。

「それじゃあフェイトちゃん、コロナちゃんとリオちゃんをお願い」

「うん、わかった」

「それじゃあ私も……」

「あー、ヴィヴィオは待ってて。お客様が来るから」

「おきゃくさま?」

ヴィヴィオは首を傾げると、インターホンが家の中に鳴り響いた。
不思議に思いながらも訪問者を出迎えようと玄関に向かうと、

「こんにちは」

「アインハルトさん!? …とノーヴェ!」

アインハルトとおまけ扱いになった少し顔の引きつったノーヴェがいた。

「異世界での訓練合宿とのことで、ノーヴェさんにお誘い頂きました。同行させていただいても宜しいでしょうか?」

「はいッッ! もー全力で大歓迎ですッ!」

ノーヴェなんて空気と言わんばかりにアインハルトの手を取ってブンブン振り、よろこぶヴィヴィオ。

「玄関でお話ししないで上がってもらったら?」

「あ、うん! アインハルトさんもノーヴェもどーぞ!」

「お邪魔します」

フェイトの言葉にハッとしたヴィヴィオは二人を案内した。

「「こんにちはー」」

「いらっしゃいアインハルトちゃん。ヴィヴィオの母です。娘がいつもお世話になっています」

「いえ…あの、こちらこそ」

コロナとリオ、なのはがアインハルトを出迎えた。

以前ヴィヴィオからアインハルトのことを聞いていたなのはは

「格闘技強いんだよね? 凄いねぇ」

「は…はい……」

教導官としての血が騒いだのか、興味深々と言った様子でぐいぐい近づいた。
一方アインハルトはというと、すぐ目と鼻の先になのはの顔があるために恥ずかしそうに返事を返した。

「ちょ、ママ! アインハルトさん物静かな方だから!」

「えー?」

自分の母親の行動に恥ずかしくなったヴィヴィオが二人の間に割った。

「さて、ここから出発するメンバーは揃ったことだし、途中でコロナとリオの家に寄ってそのまま出かけちゃおっか」

フェイトに賛成するように初等科トリオは元気に返事を返す。

「ヴィヴィオ、着替えきなよ」

「そうだった! クリス手伝って!」

なのはに言われて、未だに制服姿のままであったことを思い出したヴィヴィオは自分の部屋へと向かう。

「賑やかになりそうですねー」

「ああ」

「そういえば、スバルさんたちは別行動なんですか?」

「スバルとは次元港で待ち合わせ。ちょうど仕事終えてるころじゃねーかな」

「あれ? そしたらユーリさんは……?」

「コロナは聞いてなかった? 悠兄ぃは昨日から行ってるよ」

「あと、エリオとキャロの二人もな」

ノーヴェ、リオ、コロナがそんな会話をしていると、

「あの…ノーヴェさん……」

「アインハルト? どうした」

「そのっ…イクスさんのお兄様も行かれるのですよね……?」

緊張か不安か、そんな表情を浮かべながらアインハルトは尋ねた。
それに答えようとしたノーヴェだったが、割って入られた。

「悠莉君なら昨日からお世話になってるみたい」

「なのはさん……。もしかしてユーリのやつから連絡が?」

「ううん。さっきメガーヌさんに人数の確定を伝えた時にね」

「なるほど」

「それにしても、アインハルトちゃんって悠莉君と会ったことあるのかな?」

「いえ、ヴィヴィオさんやイクスさんから話を聞いてるだけで、顔を合わせたことは……」

そう答えるアインハルトの顔は先ほどから変わらず曇ったまま。
それを見て何か察しが付いたのか、ノーヴェがアインハルトの頭に手をのせた。

「……あのことなら別にユーリは気にしてないと思うぜ」

あのこと……それはノーヴェとアインハルトが、ヴィヴィオとアインハルトが出会うきっかけとなったあの日の夜こと。

「そ、そうでしょうか……?」

「ああ」



ヴィヴィオたちの準備が着々と進んでいく頃、カルナージでは、

「くしゅんッ!」

「あらあら」

「ユー? もしかして風邪?」

「そんなはずは……。誰かが噂してるのかも」

昼前にやってくるヴィヴィオたちのための昼ごはんの下拵えを手伝っている悠莉がくしゃみをした。



それから数時間後。
カルナージに今回のオフトレに参加する残りのなのはたち一行が到着した。
そして、その一行を笑顔でメガーヌとルーテシアが出迎えた。

「「みんないらっしゃ~い♪」」

「こんにちはー」

「お世話になりまーすっ」

大人たちはメガーヌのもとへ、子供たちはルーテシアの周りに集まった。

「ルーちゃん!」

「ルールー! 久しぶり~!」

「うん、ヴィヴィオ、コロナ」

久しぶりの再会をほどほどに、ルーテシアはリオに近寄った。

「リオは直接会うのは初めてだね」

「ずっとモニター越しだったもんね」

「うん。モニターで見るより可愛い」

ルーテシアはリオの頭を撫で始める。
リオは素直に受け入れ、嬉しそうに顔を赤くする。

「あ、ルールー! こちらがメールでも話した……」

「アインハルト・ストラトスです」

「ルーテシア・アルピーノです。ここの住人でヴィヴィオの友達14歳」

ルーテシアと初対面の二人との会話を終わったのを見計らってか、スバルがキョロキョロと辺りを見渡した。

「メガーヌさん、エリオとキャロ、それにユーリはどこに……?」

「ああ、三人は今ねぇ」

「「お疲れ様でーすっ!」」

元気のいい2人分の声が響いた。
その声の元を見れば、エリオとキャロ薪を抱え、スバルたちに下へ駆け寄ってきた。

「エリオ、キャロ♪」

「わーお! エリオまた背伸びてる!」

フェイトは、久々に生で会ったエリオとキャロを見て微笑み、スバルは前回会った時よりも身長が伸び、成長したエリオの肩を小突いた。

「アインハルト、紹介するね。2人とも私の家族で……」

「エリオ・モンディアルです」

「キャロ・ル・ルシエと飛竜のフリードです」

「アインハルト・ストラトスです」

フェイトの紹介の下、簡単な自己紹介をする三人。

「エリオ、キャロ、悠莉君は?」

「ちょっと手が離せないから先に行っててだそうです」

「だから、もうすぐ来るはずなんですが……」

噂をすれば影がさす。
ロッジのドアが開かれ、悠莉が出てきた……エプロン姿で。

「みなさん、お疲れ様です」

「「「ユーリ(さん/悠兄ぃ)!」」」

「ユーリ、その格好は……?」

「ちょっとデザート作ってたからね。で、そんなことよりも」

そう言って、エリオたちの側にいるアインハルトを見た。
すると、アインハルトは体を強張らせた。

「八神悠莉です。イクスの友達なんだってね、いろいろと聞いてるよ」

「あ、アインハルト・ストラトスです」

「よろしく」

笑顔で差し伸べられた手をおずおず握り返したアインハルト。
何事もなく自己紹介が済むと、アインハルトは少し拍子抜けしたような気持ちになった。

悠莉はというと、ふと何かを思い出した表情になり、キャロを見た。

「ときにキャロさん」

「な、なにかな?」

キャロは突然敬称を付けだした悠莉に嫌な予感を感じた。
と言うよりも何を言おうとしているのかをなんとなく予想できていた。

「年下のアインハルトに背、抜かれてるけど……絞めなくていいの?」

「やっぱりそれ言うんだね!? 絞めないよ! アインハルトも引かないで!?」

「まあ、ユーの冗談は程ほどにして。私たち四人の自己紹介はこんなのかな。あ、ちなみに、私とユーとエリオとキャロは同い年……一人ちびっこがいるけどね」

「昨日も言ったけど、これでも1.5cm伸びてるの!」

ユウリとルーテシアのキャロおちょくりが終わると、茂みから草花を掻き分る音がした。
そこから現れたのは黒い甲殻を持った人型の昆虫、ガリューであった。

「っ!?」

「あー! ストップですアインハルトさん!」

「あの子は大丈夫ですから!」

敵かと思い、アインハルトとクリスは構えるが、慌てた様子でそれをヴィヴィオとコロナが止める。

「私の召喚獣で大事な家族……ガリューって言うの」

食材の入った籠を背負ったガリューは、スッと礼をした。

「し、失礼しました」

勘違いに気付くと顔を赤くし、頭を下げた。

ガリューは気にした様子はなく、ルーテシアは初めてだから仕方ないかと苦笑した。

「さて、お昼前に大人のみんなはトレーニングでしょ? 子供たちは何処に遊びに行く?」

「やっぱりまずは川遊びかなと。お嬢も来るだろ?」

「もちろん!」

「アインハルトもこっち来いな」

「あ、はい」

「ユーもこっちだからね」

「はいはい」

それから、大人組はトレーニングウェアに着替えてアスレチック前に、子供組は水着に着替えてロッジ裏に集合することになった。

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