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IS 輝き続ける光

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閃輝のストレス

「………」

その日の1年1組の教室内の空気は最悪だった。その中心地には男性IS操縦者の霧雨 閃輝がいた、眉間に皺を寄せつつ不機嫌そうに薬に火を灯して吸い続けていた。それだけなら空気など悪くはならないが彼が発散させている雰囲気、それは怒気と殺意に似た物を発散させていた。酷くイライラしているのが傍から見ても理解出来る、恐らく傍に咲夜が居なければ暴れだしているだろう。

「また、なのかしら?」
「……ええ」
「もう本社の方から抗議文でも回してもらおうかしら……」

原因となっているのは織斑 千冬である。閃輝は織斑 一夏であると謎の確信をして居る彼女は度々接触しては一緒に暮らそう、専用機はこちらで用意するなどと言ってきている。事実として織斑 一夏ではあるが本人としてはその時の記憶は欠片も残らず抹消されているので自覚も無い。唯妄言を吐き散らしている女にしか映らない。

最初こそ無視をしていたが長い事続く故に開発者であるにとりと闇夜に魔理沙の事を侮辱し続けている為に彼のフラストレーションは限界に近くなっている、もう爆発していても可笑しくない状況で咲夜は傍に居て緩和剤となって居なければ既にIS学園など消えているだろう。

「でもお願いだからここで爆発させないでね?後処理が面倒になるから」
「……解ってますよ咲夜さん、貴方に迷惑が掛かるような事にはしませんよ……」
「(一応抑えられてるけど、これ後一回でも挑発でもしてきたらアウトに近いわね……)」

少し視線をずらしてみれば握りこんでいる拳からはポタポタと流れ出ている赤い液体、皮膚を貫き肉へと刺さっている爪から滴る血。ストレスによる怒りとそれを抑えるために痛みで理性を何とか保っているに近い状態の閃輝はもう冗談抜きで限界だ。このままではマジで学園が世界から消える。そんな彼を心配するように箒とセシリアが酔ってくる。

「き、霧雨その、えっと……だ、大丈夫なの、か……?こ、これチョコだが食べるか……?」
「………」
「オルコット家に伝わるハーブティーですわ、落ち着きますわ」
「(ゴクゴク……)……サンキュ……」

受け取った物はしっかりと頂いた閃輝だがそれでも全く落ち着けていない。咲夜はある事を決心しつつ閃輝を二人と共に部屋へと戻しベットへと寝かせた。

「閃輝君、少し眠って。あれなら私が何とかしてあげるから……」
「……すいません……。セブン、催眠音波出せるか?」
『バディ、これは本来スピーカーを用いての機能だ。正直お勧めはしないが……君の精神状態を鑑みると使用した方が良いようだな。承認を』
「催眠音波の使用範囲を限定した上でのを許可する、照射時間は30秒」

セブンのスピーカーより特殊な音波が照射され閃輝に誘導的な催眠を施していく、暫しの間じっくりと眠ると言う催眠が掛けられる。ゆっくりと目蓋が重くなっていき意識を保って居られなくなり閃輝は眠りへと落ちて行った。咲夜はセブンに充填機を差し込んでから部屋を出た。耳に付けていた小型の骨伝導式の通信機からサードの声が聞こえてくる。

『如何なさるつもりですかバディ?』
「……決まってるわサード。私の愛しい愛しい閃輝君を苦しめるあれにお仕置きをするのよ」
『僭越ながら、それは短縮的では?それは閃輝様がすべき事です。ですがこれ以上言っても無駄なのは私目も承知しております、暫しの間本社への報告書を仕上げております』
「有難うサード」

バディに感謝を述べつつ足を動かし続ける、目的地は屋上。無表情のまま向かうとそこには千冬がたっていた。まるで自分が来る事を知っていたかのように。ここで織斑 千冬を呼び出そうとしたが先に此処に居るのは完全に予想外だった。

「十六夜、私に用とは何だ。これでも忙しいのだがな」
「(サードね……有難う、あなたは本当に気が聞く最高のバディね)あらあら忙しいのなら一々私のパートナーにちょっかいを出すのは控えていただけます?彼のストレスはもう限界に近いのですから」

矢張りサードは最高のバディだと認識しつつ目の前の愚者に視線を向けた。

「貴様に関係など無いな、私がどうしようと私の勝手だ」
「いいえ違うわ。彼は私と同じ会社の所属よ、そこの会社のメンバーを侮辱し彼の兄と姉を侮辱し続けている。関係、大有りよ」
「黙れッ!!一夏の家族はこの私だけだ!!!」

咲夜の声をさえぎるように張り上げた声、怒気に包まれているが咲夜は全く恐怖も感じないし何とも思わない。彼女にとって閃輝を初めとした親しい人間以外は唯の物でしかない、彼女が仕えている主は吸血鬼。食事に人間を出すのは当たり前、人間を調理するのも当然。故に、生きている食材程度にしか千冬の事を思っていない。

「やれやれまた一夏、かしら?貴方の頭は空っぽかしら。彼の名前は霧雨 閃輝よ」
「黙れと言ってるだろうが小娘!!いい加減に黙らんと「何かしら、黙らないとどうなるのかしら」―――ッ!!!?」

刹那、世界の時間が静止した。灰色に染まりきった世界に動きという概念は存在していなかった、何もかもが止まった静寂で残酷な空間が広がり自分の周囲を宙に浮いたナイフがこちらを向いていた。

「こ、これは一体……!?」
「黙りなさい、貴方に喋る権利なんて無いわ。今度一言でも喋って見なさい」

懐から取り出された銀製の一本のナイフ、それを鮮やかな動作で投げる咲夜。ナイフは一直線に千冬の喉笛へと向かい突き刺さる寸前、髪が一枚だけ入るような隙間を保ったまま停止した。その光景に呼吸さえ忘れて思考が停止する。

「貴方を殺すわ。良いかしら、今度閃輝君に妙な事を言って見なさい。私が貴方を殺してあげるわ、惨たらしく、残酷に……ね」

千冬は気付くと夜遅くの屋上で唯一人で佇んでいた、だが意識が失う寸前に見えた光景は忘れていなかった。

―――三日月のように湾曲していた口元、灰色に染まった瞳にこちらを殺すという殺意に満ちていた咲夜の姿を……。 
 

 
後書き
次回、鈴登場! 
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