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IS 輝き続ける光

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狂い初めていく世界/物語

―――人とは何か。

私は常にその疑問を持って産まれて来た。そして成長し神の力へと触れた。

絶対的に全能ではないが圧倒的な力へと触れた。

そして人が神を真似て生み出した力など、本当の神の前には唯のゴミにしか過ぎない事を知る。



「―――お茶が入りましたよ」
「すまない」

久方ぶりの客人と呼べる相手に少々手間取ってしまった。来客用に折角用意していた最高級の茶葉を探すのに手間取ってしまった。しかしそれでも来客は全く怒りは表さず寧ろ茶を出してくれるだけでも感謝しているそぶりさえ見せている事に相変わらず腰が低いと思えてしまう。

「しかし珍しい事もありますね、多忙な君が態々私を訪ねてくるとは……」
「これでも権力を行使出来る立場でな、力を与えうる部下に与え仕事を任せてきた」
「それはそれは、キラ君達も災難ですねぇ。本来貴方がする仕事は最高難易度に近いそれなのに」
「あいつらは俺が認めた天使(部下)だ。達成できると信じているさ」

緑茶の香りを堪能しつつ茶を啜る客、久方ぶりに飲んだと美味しそうに飲んでる。彼の職場はコーヒー党や紅茶派が大多数を締めるようで緑茶は少数で中々飲めないらしい。茶葉でも包んで与えてやろうかと思いつつも思考を切り替える、何故彼がこの時期に自分の元を訪ねて来たのかを聞かねばならない。

「そろそろ、聞いても宜しいでしょうかね。何故この幻想郷に来たのですかね、貴方の程の神が。ねえ―――準最高神のキョウスケ君?」
「……これでも億が超える年寄りなのだがね」
「何その程度ならばまだ若い部類だと好い加減理解しなさい、まだ人間の時の癖が抜けませんか?」
「仕事で人間に化ける事も多いからな……人間としての常識も残っていないと支障になる」

準最高神。神の世界において二番目に強い権力と力を保有する神、その役目は管理する世界に修正を加え必要であれば粛清し断罪する事。無限に近く存在する世界を管理し監視する役目の神々の中でも特に多忙で常に異世界へと渡っては問題を解消し、人間の世界に無断で戦争を仕掛けようとする愚か者共へ粛清し続けている。

「俺が此処に来たのは他でもない……。何故霧雨 閃輝を外界へと行かせる事を許可した?」
「簡単ですよ。自分の過去、それら全てに蹴りを付けさせる為ですよ」
「唯それだけの為に行かせた、か。覇狼、やっている事の重大さを理解しているのか?奴の能力は時の神に等しい、本来神として生まれ出でる筈の魂が事故を起こして結果生まれでたのが現霧雨 閃輝、織斑 一夏だ。それを能力を理解させた上で出す?貴様は悪魔の糞共にくれてやるつもりか」

あらゆる時を司る程度の能力は本来時を守護し、時その物と一体化する神々に与えられる筈の能力。その神々に生まれる筈の子の魂が、子を身ごもった母が誤って飲んだ"転命酒"という転生する者を転生させる為の触媒として使う酒を飲んでしまった。その母には全く効果はなかったが、その効果がいまだ魂の状態だった子に現れてしまった。それが文字通り転生し生まれたが織斑 一夏という存在だった。

この幻想郷は世界とは概念的に隔離されている世界。八雲 紫を筆頭に神に匹敵する力を持つ妖怪も多々居る上に祟り神と軍神までいる、それなら安心できるが今彼が居るのは外界。幻想郷の結界などの保護する物はない。そんな所に居る神の魂をもった人間が居たならば悪魔共は挙って手に入れようとするだろう。下手をすれば世界を破壊するような暴挙をするかもしれない。

「彼ならきっと大丈夫ですよ。何せ私の弟子です」
「俺個人としてはその言葉で納得したいが立場上納得しかねる。龍神である貴方の言葉とはいえ、彼の魂は元々我々神の世界の管轄。その力を審査し確認する」
「では試練を与えると?」
「ああ。人間が神の試練を受けるのは久方ぶりだな」
「君以来ですね」

何かを羊皮紙に書き込み判子を押すと眩い光を放つと蒼い炎が巻上げて塵へと帰っていく。

「お手柔らかに頼みますよ」
「そうして欲しいなら好い加減、日本神話勢とまともにコンタクトを取る気になってくれ。俺と妻の勢力だけではないかまともに交友があるのは」
「いやだってあそこの神々頭悪いし胸糞悪いじゃないですか」
「子供か!!ったく……まあ、俺達の所に来る気になったら言ってくれ」

そう言って空間を裂いて開き、そこへと入っていく準最高神はそのまま消えていった。残された湯飲みを片付けつつ弟子がこれからぶち当たるであろう試練の事を考える。

「やれやれ、そろそろ私も本腰を入れるときですかねぇ……年寄りは労って欲しい物です」 
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