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平成ライダーの世界

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第十五章

 ライダー達の後はその周りの人達ですが剣の作品世界には烏丸啓というあまり出番はないのにインパクトのあるキャラクターがいます。
 BOARDの所長ですし非常に重要なキャラクターなのですが基本的に表に出ません。変わった台詞も残しています。私は謝らない、一回聞いただけでは首を傾げさせる言葉でした。しかしこれも最終回まで観るとわかります。剣は最終回まで観てその真価がわかる作品だからです。
 この所長もまた彼の考えで人類社会と平和のことを考えていました。しかし彼はスサノオの存在に気付いていませんでした。おそらく途中まで統制者についても知らなかったでしょう。BOARDは基本的に天王路が己の目的の為に作った部分が多い組織ですがその天王路がオルフェノクだったことを知ればバトルファイトはかなりわかってきます。その目的も歴史もです。人間はそのことに中々気付けないのは人間の目と力には限界があるからです。そうした意味でこの所長は神ではありません。彼自身が神なぞいない、と言いましたがその通りであり彼は人間です。人間として動き考える人物でした。
 剣はファイズから続きカブト、そしてキバにまで至る姿形は違えど心が人間ならばそれで人間ではないかという問題に対して答えている作品の一つですがこの意味において所長は人間です。だからといって諦めてはならない、それでもやらなければならないということを示すキャラクターだからです。所長もまた人間としてスサノオに向かっているキャラクターなのです。
 続いては広瀬栞と白井虎太郎の二人です。この二人は剣崎と橘にとってかけがえのない友人であり理解者です。その彼等がいなくては剣崎も橘もあそこまで戦えなかったでしょう。彼等を孤独から救い後ろから支えてくれていました。クウガからいてくれているライダーの理解者達です。二人がいてこそ剣の戦士達は戦えましたし人間の心を維持できたのではないでしょうか。
 この二人がいつも家や横にいてくれて見守ってくれて庇ってくれそして理解してくれる。天涯孤独の剣崎や大切なものを失っていく橘を温かく支えてくれました。どちらもそれなりに妙なところもあるキャラクターでした。しかしそのコミカルさもまた二人を支え明るくさせてくれるものでした。僕は彼等も好きです。
 剣崎と橘は彼等に支えてもらっていました。そして相川はというとです。彼には栗原春香と栗原天音の母娘がいてくれました。
 喫茶店のこの二人がいてくれたおかげで相川は次第にですが人間に近付いていっていました。アンデットから人間になれる、ヒューマンの狙いは正解だったわけですがそれはただヒューマンがジョーカーを取り込むだけでできたものではありません。そこには彼が人間と触れ合いそれを知ることが重要だったのです。
 相川はテレビ版の中で多くの出会いや別れを通じて人間を知っていきます。中には辛いものもありました。彼はその中で人を知りその温かさを知っていきます。
 その彼をいつも温かい目で見て優しく触れてくれたのがこの栗原母娘でした。何があっても信じてくれましたし待ってくれました。映画版の最初で相川はジョーカーの姿で封印されますがこの時に彼は天音の名前を呟いてそのうえで封印されています。映画版においては相川の天音を大事に思う気持ちと天音の相川を慕う気持ちが軸になっていました。人を大事に思えるのは人だからです。そうした意味で彼は既にジョーカーでありましたが人間だったのです。
 ここで龍騎の浅倉を見てみますと彼は完全に野獣であり人を大事に思うことはありません。ただ戦いだけを求める人の世界から完全に逸脱した存在でありある意味においてオルフェノクやアンデットよりも遥かに非人間的です。後述のワームやファンガイア達よりも遥かに非人間的であり獰猛な野獣でした。彼とジョーカーを見比べるとそれがよくわかります。
 彼はテレビ版の最終回では明らかに人間でした。そしてヒーローショーでは人間の身体のままでいられるようになりました。そこまで辿り着けたのは母娘の力も大きかったのです。彼等が意識していなくともです。
 剣においてスサノオの存在ははっきりとなりました。オルフェノクもバトルファイトも終わりました。しかしライダー達の戦いは終わらず続いていきます。剣崎達はバトルファイトの後もスサノオと終わりなき戦いを続けています。それは死ぬことを許されず永遠に戦うアンデットとある意味において同じです。ジョーカーは実は人間の世界においてのライダーではないでしょうか。人間として永遠にスサノオと戦う、それを考えますとジョーカーという存在は鏡合わせになったライダーでもあると考えられます。
 ここで平成ライダーの中で最も異彩を放つ響鬼についてお話させて頂きたいと思います。
 この作品世界は果たして仮面ライダーと言っていいものなのか、高寺成紀氏によれば六番目のライダーでありその為に仮面ライダーアマゾンの様なポジションであり平成ライダー世界においての鬼っ子であるらしいです。
 高寺プロデューサーは良し悪しは別にしまして自身の作品に非常に強い意識を持っている人でありクウガがアギトとリンクしているのかしていないのかという議論はこの人がクウガはクウガで終わらせたいと主張したからだとも言われています。ことの真偽はわかりませんがとにかく自身の作品について非常に強い意識を持っている人であることは間違いありません。
 その人が丹精込めて考えた響鬼の作品世界はまさに独特のものでした。魔化魅という所謂妖怪達と多くは山で戦う鬼です。その手には楽器があります。 
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