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平成ライダーの世界

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第十四章

 彼はまず心がありそれが後からライダーの強さになっていった人です。その彼だからこそ自らジョーカーになり一度は永遠の孤独を覚悟しそのうえでバトルファイトを終わらせられたのです。ディケイドテレビ版の最後の方に剣崎が出て来ましたがその剣崎は脚本を書いた米村正二氏の話によりますとテレビ版の剣崎だそうです。彼は剣最終回でライダーのベルトを捨てていますのでこれはヒーローショーの展開で彼が人間に戻っていると見ていいと思います。アンデットになったままなのなら全てのカードと融合するブレイラウザーにもなれないからです。つまりバトルファイトもオルフェノクの因果も終わっています。もっと言えばヒーローショーの展開ですから死んだライダー達も蘇っています。電王第一話でも剣崎みたいな客が出ていましたが僕はあれは剣崎だと確信しています。それで拙作の中にもネタとして書きました。彼の恋愛はおそらく成立しないと思います。しかし人間としての幸せは楽しめているのでそれでいいのではないでしょうか。
 次に述べさせてもらいたいのは橘こと仮面ライダーギャレンです。ある意味においてこの剣の作品世界を代表するキャラクターであり彼の前半の行動は矛盾に満ちていたというよりは彼が話の主軸になって話を混乱させてしまっていました。
 彼もまた剣崎と同じ位、下手をすれば剣崎以上に騙されやすくそのうえ戦闘力もどうもムラがありました。しかし剣崎の先輩として、パートナーとして、そして親友としてお互いに掛け替えのない存在であり二人の絆とコンビネーションは剣の中でもとりわけ素晴しいものでした。
 その絆の深さは最終回で剣崎が最後の戦いに向かう時に彼に後のことを託しています。よく橘では無理だという意見がネットでありますが僕はそうは思いません。共に戦う中でお互いのことがわかっているからです。だからこそ剣崎は彼に後を託したのです。
 それは橘なら必ずやってくれる、そう確信していたからこそ言えたことです。最終回では彼は剣崎がいなくなった時にその名を呼んで絶叫し彼の写真を一人で見て悲しい顔をしていました。彼にとって掛け替えのない存在を失ったことが非常に辛かったからです。
 そして剣崎が橘を信じれた根拠は序盤のピーコックアンデットとの闘いで恋人の小夜子を失いそれでもその仇であるピーコックアンデットをその思い出を胸に抱きながら倒した時と共同してウルフアンデットを倒した時、そしてギラファアンデットを倒した時です。そうしたものを見てです。剣崎は橘のことがわかったのです。
 橘の人間性の素晴しさはその最終回に本当に出ています。ライダーシステムが壊れ変身できなくなっても単身剣崎を救う為に街に出てダークローチの大軍の中に飛び込みました。絶対に倒されるのにです。
 実際にダークローチの大軍に捕まってしまっています。このことはお笑いのシーンだと言われたりもしますがそうではないと思います。彼はライダーに変身できなくともライダーなのです。心でライダーになり人間になる、平成ライダーのテーマをこれ以上はないまでに表わしています。
 この彼が見せるものは笑える場面だけではありません。非常に重いものも多くあります。不器用であってもそれでも前を向いて戦う、それこそが橘なのです。
 三人目は上城です。彼はどうしても強いライダーとは思われないです。パワーアップもしませんし終盤まで迷走しています。何をしたいのかわからない状況でした。嶋ことタランチュラアンデットとの闘いは何だったのかと思う程です。
 しかしそれは決して無駄ではありませんでした。タイガーアンデットとの出会いと闘い等から彼は知っていきました。そして心の中で再会した嶋に微笑みと共にようやく自分を使いこなせるようになった、と言われスパイダーアンデットを生身で剣を使って倒した時にです。彼は本当の意味でライダーとなったのです。
 一介の高校生が過去のトラウマも払拭しそのうえで彷徨った末に本当の意味でのライダーとなる、彼もまた明らかに成長しています。心がまずありその強さは後からついてくるのです。それを考えますと彼のキングフォームは心がそうなったのです。
 その彼は人類と世界を守る為に本当は闘いたくないのに相川との決戦に赴きました。彼は結果として敗れていますがそれでもライダーとして闘いました。やはりベルトが破損してもそれでも戦場に赴こうとしました。これもまた彼が崇高な戦士、仮面ライダーである証です。
 彼は本質的に普通の高校生であり彼女もいて平凡な日常も送れています。しかしそうした人が急にライダーになるとです。誰もが戸惑い狼狽するでしょう。その結果彼もまた非常に彷徨いました。しかし彼は誰もが持っていながらそれを発揮できにくいものである勇気を持っていました。それがあるからこそです。バトルファイトを終わらせたライダー達となれました。
 まずはテレビの四人について述べさせてもらいました。そして次は映画番で出て来た志村純一、三輪夏美、禍木慎について述べさせて頂きたいと思います。
 この三人は非常に嫌な奴として出ていました。その後ディケイドでも出ていましたがこちらの世界ではレジスタンスでした。もっとも志村は映画版ではアルビノジョーカー、ディケイドでは実はフォーティーンになろうという野心を持つ人物でした。どちらも演じておられた黒田勇樹さんの怪演が光っていました。
 その黒田さんの演技により志村は非常に印象的なキャラクターでしたがその彼は本来どういった人間か考えますと案外最終回間際に出て来た警官ではないでしょうか。僕は執筆にあたってあの警官がそのまま転職してライダーになったと書きました。
 また三輪と禍木もそうですが四人がそのままライダーとして残っていて彼等は新しく加わっていたとしたらどういった人間だったのか、それについて考えました。その結果三人はああした嫌な奴ではなく先輩達に対して戸惑いと不安を感じる後輩達にしました。
 彼等は環境が違えばその性格が大きく変わると思います。それでああした風に書きました。映画版ではライダーであることへの自惚れや力への欲求、気負いがあったと思います。そうしたものがなくそのうえ先輩ライダー達がいるとなるとです。必然的にサポート的な役割になるだろうなと考えて書かせてもらいました。彼等は基本的に、警官の志村も含めて普通の人達だと思います。そうした人達がライダーになるとやはり上城と同じく戸惑うのではないでしょうか。そうしたことまで書かせてもらったつもりです。正解かどうかはわかりませんが。 
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