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IS 輝き続ける光

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外界へ

 
前書き

 

 
幻想郷 魔法の森

「え~っと……このキノコを磨り潰してからこっちの薬草と混ぜて、えっとそれから……」

本来は薄暗く太陽の輝きすら届かない深い森、瘴気が溢れ普通の人間なら呼吸をするだけで体調を崩し最悪の場合死亡し妖怪ですら避ける酷い環境の土地。そんな土地に霧雨兄妹達の住居はある、普通の人間にとっては最悪の環境でも耐性を持っている者からすればここほど安全な場所もない。

「あれ……?なんか虹色な薬になったぞ……?あれ、どっかでミスったか……?」

そんな危険な土地にある住居の縁側で薬の調合を行っている一人の青年、兄と同じように金色に輝く髪を長く伸ばし背中の辺りで束ねている。調合した薬の出来栄えに首を傾げている、予定では赤くなり周囲4mを大炎上させる物になる筈だったのだが……。

「おーい閃輝ぃ~♪」
「ドハァフ!?」

資料などを見返しながら薬がこうなってしまったかを思考していると背後からまるで飛びつくかのように抱きつかれる。思わず前のめりになって出来た薬に顔を突っ込みそうになるが咄嗟に能力を発動し、背後から抱きつかれた際に発生した速度を0にした。

「あっぶね……ったく魔理沙姉勘弁してくれよ、この薬一体どんな効果があるか分からないんだからさ」
「いやぁ帰ってきてみたら愛する弟がいたから抱きついてみたぜ、それが姉の愛ってもんだぜ!!」
「愛されてるのはいいんだがそれで大怪我したらたまんねえなおい……」

閃輝は魔理沙の愛を感じつつも若干鬱陶しく思っていた。それでもその愛は暖かく優しい物だと理解しているため拒む事はない、自分へと向けた正真正銘の愛だから……妙に重いが。

「っつうかよ、こういう事は闇兄にやったら如何なんだよ」
「兄ちゃんにもやってるんだけどなぁ……閃輝以上にドライに対応されるんだ、私の精神的安静のためにも閃輝に行うのが良いし反応が良い!!」
「はぁ……まあいいや、それでこの薬なんだけどさ……」

霧雨 閃輝、元織斑 一夏と呼ばれた少年は幻想の地にて成長していた。兄と姉と同じようになりたいと願い努力を怠らなかった。そして幻想郷には織斑 千冬という呪縛がなく彼は一個人として評価された。閃輝は酷く感動し褒められた時には号泣してしまった。そして彼はグングン力と知識を付けていった。押し潰されていた本来の力が開花していた。今では幻想郷で知らぬ者はいない実力者となっている。

「なあ閃輝。そういえば今日は兄ちゃんと出掛けるんじゃなかったのか?」
「あっそうだった!!もうすぐ時間じゃねえか!!」

魔理沙とじゃれている間にいつの間にかかなりの時間が経過してしまっていた事に気づいた。大急ぎで魔理沙を引きはがし薬が入った瓶をジャケットの内側に収めて外へと出た。そこでは闇夜が腕を組んで立っていた、閃輝は機嫌を損ねていないかと心配していたがその表情に怒りはなかった。

「ごめん待った!?」
「大して待ってないから大丈夫だ。さあいくぞ」

闇夜は手を合わせると自分と閃輝の間に出して光を放出する。闇夜は『光を操る程度の能力』を持っている。その力で放出した光を浴びた闇夜と閃輝の身体は光に変換されていき空に向かって螺旋状に上昇していく。更に閃輝が持ち合わせている能力、『あらゆる速さを司る程度の能力』で更に光速から速度を上げて幻想郷から飛び出した。

二筋の光は都会から少し離れた無人の公園に降り立ちそこで光は人の形に再構成された。

「着いた着いた」
「……外界か」

閃輝達の目の前には幻想郷とは違う技術で立てられた家屋が密集し自然はあまり無く、空気は汚れている。閃輝は外界の汚さに顔をしかめた。本当に閃輝は外界の生まれだとは思えない反応である。もう彼にとってこの世界は前にいた世界なだけであってどうでも良いとしか考えて無い。

「さっさと用事を済ませて帰ろう」
「うん」

闇夜は大きな街に向かって歩きだし、それを追いかけるように閃輝も歩きだす。彼も閃輝と同様のことを考えていた。空気が全く汚染されていない幻想郷に比べれば外界は酷く汚染されている、人が便利な暮らしをすればするほど自然を壊しその上で人は生きていく……。人間とは罪深い生き物だと思い知らされる、

そんな事を思っている二人は人通りの多い街に入り、そこの工具店に入りそこで幾つかネジと工具、基盤などを購入した。

「ねぇにとりさんはなんでこんな物を頼んだの」
「さあ?また新しい発明にも使うんだろ、さてと買い物も終わったし、どうする?」
「さっさと帰ろうぜ、ここは息苦しくて敵わない」
「違いない」

酷く顔をしかめながら闇夜と共にショッピングモールから出ようとすると展示されているある物が飛び込んできた。この世界の象徴、自分を苦しめてきた元姉が世界を征した物。IS『打鉄』が目に飛び込んできた。

「よくもまぁこんなもんが展示してあんな、確かISって数すくねえんだろ?」
「500機もない筈だよ。『まもなくIS学園入学シーズン来る』だってさそれの記念じゃない?」

閃輝は打鉄の近くに置いてあるパネルを見て言った闇夜はあまり興味を示していない。友人であり外界に出向く事になった大本であるかっぱの河城 にとりはこれ以上の物を普通に作り上げたからだ、無人AI制御のロボットに周囲の風景と同化する光学迷彩。そんな物と比べるとこんな物はそれほど凄い物には入らない。興味も失せたところで去ろうとしたその時!

「おわぁ!?」

閃輝は後ろから荷物をぶつけられてしまい、大きく前に倒れてしまい、思わず打鉄に触れてしまった。
刹那、打鉄に触れてしまった閃輝は光に包まれて次の瞬間には閃輝は打鉄を纏った状態だった。勿論、周りはあまりの事にショックを受けて茫然としていた。本来女でないと起動出来ないISを男が起動させた、これは世界的な大事件だ。

「どうしよう……闇兄……」
「取り敢えずそれ解除しろ」
「そうだね……」

閃輝は何処からか来たISの関係者にお構いなしに打鉄を解除する、酷く興奮しているのか鼻息を荒くし迫ってきた。

「ききき、君!!取り敢えず我々と来てくれ!!!」

関係者は慌てて口調で閃輝の腕をつかむが閃輝はそれを振りほどいた、その際に関係者はあまりの力に3mほど吹き飛ばされたが大した問題ではない。

「気安く触るんじゃねぇよ、下衆が。でっどうする……闇兄?」
「そうだな……」
「「逃げろ!!」」

闇夜と閃輝は、周りを囲んでいた黒服を飛び越して、そのまま走ってショッピングモールを飛び出した。黒服達はそれを見て闇夜達を慌てて追いかけるが、闇夜と閃輝は自動車に匹敵する速度で走っている。当然閃輝の能力で走る速度を意地ってスピードアップしている。

「ねえこのまま路地裏入って幻想郷帰らない?」
「そうだな。よしそこ左だ」

闇夜と閃輝は左に曲がり能力を使って、光となり幻想郷へと立ち去った。黒服達は二人を見失い大いに焦り街中、県内中を仲間と共に探し回ったが見つかる訳がなく彼らの苦労は徒労に終わるのであった。

そして翌日。発行された新聞には

『世界初!男でありながらISを動かした少年!!!』

っとでかでかと自分の後ろ姿と閃輝の顔が写った写真が載っていた。これが新たな異変の始まりになるとは、このとき誰も思ってもいなかった。 
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