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ドリトル先生の名監督

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第二幕その七

「少なくとも僕は知らないよ」
「僕もはじめて聞いたよ」
「そうだろうね、けれどね」
「世の中そうした人もいるんだね」
「日本にはね」
「そのことがわかったよ、それでね」
 王子はあらためてです、先生にお話しました。
「そのお相撲だけれど」
「日本の皇室の方と一緒に観戦をする」
「力士の人達って身体柔らかいよね」
「あっ、そうなんだよね」
 先生もそのお話について王子に応えます。
「見たらね」
「股割りってあるじゃない」
「足を大きく開いて座って身体を前に倒すだね」
「あれをしてもお顔が床に着くから」
「身体の他の部分も柔らかくてね」
「力士の人って凄いね」
「身体が柔軟だよね」
 先生も言います。
「あの体格で」
「しかも太っている様に見えて」
「実は脂肪率は少ないんだよ」
 力士さん達のそれはです。
「脂肪は一枚の服みたいなものでね」
「その下は筋肉だね」
「そう、身体の殆どはね」
 まさにというのです。
「筋肉と骨なんだよ」
「そうなんだよね、実は」
「太っている様に見えて」
 実はなのです。
「そうじゃないんだよ」
「力士の人は」
「そうなんだ」
「よく太っている人を関取とか言うけれど」
「日本ではね」
「力士さん達は太っていないんだね」
「確かに体重はあるよ」
 それ自体は重いというのです。
「けれど僕とは違って」
「脂肪率は実はあまり高くない」
「そう、僕は筋肉はあまりないよ」
 ご自身のことは笑ってお話する先生でした。
「けれど脂肪率は結構あるから」
「太っているのは先生なんだ」
「そうなんだ」
「ううん、そうなんだね」
「そうだよ、僕は太っているんだ」
「けれど力士さん達は」
「太っていないんだ」
 実はというのです。
「体重はあっても脂肪が多いって意味で太っていないんだ」
「それだけ激しい稽古をしてるし」
「余計にね、あの筋肉で身体を守ってもいるんだ」
「ああ、筋肉が鎧なんだね」
「そうだよ、力士さんにとってはね」
 そうだというのです。
「そして骨も強いから」
「鍛えていて」
「激しくぶつかり合っても怪我はしないんだ」
 身体と身体がぶつかり合ってもです、力士さんがお互いの大きな身体で激しくぶつかり合ってもそれでもです。
「他の人と比べてね」
「そうなんだね」
「そう、けれどね」
「どうしたの、今度は」
「それでもうちの大学の相撲部は」
 その部活はというのです。
「最近怪我人が多いんだよね」
「あっ、そういえば」
 王子も先生の今のお話を聞いて言うのでした。
「何かね」
「王子も聞いていたね」
「うん、うちの大学の相撲部怪我人が多いね」
「そうだよね」
「どういう訳か」
「そのことがね」
 どうにもという口調でお話する先生でした。 
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