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ドリトル先生の名監督

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第二幕その六

「あまりね」
「よくないね」
「国民が困っている中でそんなことしてもね」
「童話の悪い王様みたいだね」
「全くだよ」
 それこそというのです、王子も。
「そんなことしたら」
「今でもそんなことをしている独裁者がいるね」
「あの人を見ていたらね」
「嫌な気持ちになるね」
「本当にそうだよ」
 王子も言うのでした。
「あんな人にはなりたくないよ」
「全くだよ」
「だからだね」
「やっぱり皇室や王室の方ともなると」
「贅沢に溺れたら駄目だね」
「そう、そしてその考えの中でも」
「日本の皇室は際立ってるんだね」
 その中でも一番厳しいとです、王子も頷きました。
「そういうことなんだね」
「うん、元々質素な家だったし」
「元々?」
「そう、長い歴史の中で苦しい時代もあったから」
「その中で質素になったんだ」
「そうなんだ」
「成程ね」
 王子もここまで聞いて納得しました。
「そこに君主としてこうあるべきっていう確かな考えもあって」
「厳しくて質素なんだ」
「他の君主の家と比べても」
「そうなんだよ、ただね」
「ただ?」
「日本ではこうした考えの人もいるんだ」
 この前置きからです、先生は王子にこのこともお話しました。
「日本の皇室は世襲で平等じゃないとかいう理由で反対するけれど」
「まあそうした考えもあるかな」
 王子はこう返しました。
「僕の国でもそうした人いるみたいだし」
「けれどさっき話したね」
「自分だけ贅沢している独裁者だね」
「代々世襲のね、共和国って言ってもね」
「その国はいいっていうんだ」
「そうした考えの人もいるんだ、日本には」
「それおかしくない?」
 ここまで聞いてです、王子は先生に首を傾げさせながら言葉を返しました。理屈がわからないといった表情にもなっています。
「君主制反対はまだいいとして」
「それでいてだね」
「何で世襲の独裁国家はいいの?」
「しかもその国は共産主義だよ」
「いや、共産主義なら」
 余計にというのです。
「余計にね」
「世襲はないね」
「少なくとも国家元首はね」
「おまけに自分だけ贅沢をしてね」
「国民の皆は餓えているんだ」
「しかも凄い独裁だよね、あそこは」
「もう人権も何もないよ」
 王子もこのことは知っています、その国がどういった国かということを。
「そんな国はよくてなんだね」
「独裁者とね」
「日本の皇室は駄目なんだ」
「おかしいと思うね、王子も」
「うん、どう考えてもね」
「日本にはそうしたおかしな人もいるんだね」
「他の国にはいないんじゃないかな」
 日本だけだというのです、ここまでおかしな人は。 
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