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魔女に乾杯!

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107部分:第百六話


第百六話

                    第百六話  お水
 春奈の使い魔であるイーとリャンは亀と蛙である。それぞれ水に住む動物達である。
「なあ」
 イーが水槽の中でリャンに声をかけてきた。
「何だい?」
「御主人様がお困りみたいだよ、最近」
「何かあったのかい?」
「魔法のことみたいだよ」
「魔法ねえ」
 リャンはそれを聞いて首を傾げさせた。
「御主人はそんなに困ってるようには見えないけれどな」
「薬のことでさ」
「薬!?」
「ああ、薬草を使った」
 そうした薬を作ることも魔女の術の一つなのである。
「御主人あまり目がよくないだろ?」
「ああ」
 眼鏡をかけていることからもそれはわかる。
「それで薬草の選別に苦労してるみたいなんだ」
「そうだったのか」
「それでさ、考えがあるんだけど」
「何だい?」
「僕達でさ、薬草を見つけて来ないか」
「薬草を」
「ああ。山まで行けば何でもあるだろ」
「まあね」
 イーはその言葉に頷いた。
「あそこは何でもあるからね」
「そこへ行って薬草を調達して御主人様にお渡ししようよ」
「僕達が」
「それも使い魔としての務めだと思うんだけれど。どうかな」
「僕達の役目は御主人様のサポートだからね」
「そうだろ?だから」
「悪くはないね。じゃあ行こうか」
「よし」
 リャンはそれを聞いて満足そうに頷いた。
「山までね」
「けれど用心しなよ」
「何がだい?」
 今度はリャンが尋ねた。
「山は何かと物騒だからさ」
「大丈夫だって、僕だって魔法が使えるし」
 リャンはドンと胸を叩いて言った。
「安心してくれよ」
「だといいけれどね」
「じゃあ今から行こうか」
「今からかい?」
「そうさ、思い立ったが吉日」
 リャンはそう言いながら水槽から出た。
「すぐに行かないと」
「何かなあ」
 おっとりしたイーは困った顔をしたがそれに従うことにした。こうして二匹は春奈の薬草の為山に向かうのであった。


第百六話   完


                        2006・4・11



 
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