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戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~

作者:紡ぐ風
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EPISODE5.轟々

「翼、しっかりしろ!今すぐ救護班を呼んで搬送を!」
弦十郎は即座に対応する。
「ふぅん、あいつ等が今のキョウヤの協力者ねぇ~。やっぱり、キョウヤには私しかいないみたいね~。」
その様子を、謎の少女は見ていた。

「翼さん、大丈夫でしょうか?」
「あの馬鹿娘、絶唱を使うとは。俺達の世界じゃ絶唱は御法度なんだぞ。」
「あの、キョウヤさん。絶唱ってなんでしょうか?」
「そうか、響ちゃんはまだシンフォギアを装着して日が短いから知らないのか。俺達装者は歌を歌いその波長をエネルギーにして戦うのは響ちゃんも了子さんから聞いているから知っているだろ?」
「はい。」
「だけどな、シンフォギアの中には大量のノイズを前にそれらを一気に殲滅する必殺技がある。それが、絶唱だ。でも、絶唱にはその威力に見合ったデメリットがあって、響ちゃんも見ただろう。」
「翼さん、血まみれになっていました。」
「ああ、絶唱を使うということは、聖遺物の力の一部を解放する事。装者の負荷などお構いなしに力を放つから装者の肉体には聖遺物の放つ力の反動が一気に来て身体を蝕む。その結果がさっき見たように身体から血を吹き出すレベルのダメージを受けてしまう、といったわけだ。」
「そんな─」
「響ちゃんにとっては怖い事だろう。自分の歌が、全てを滅ぼす呪いに変わるなんて。だからノースガルドでは絶唱を使うのを禁止しているんだ。」
「滅びの歌─そうですか。解りました!それなら、翼さんやキョウヤさんが絶唱を使わないように、私はもっと強くなります!キョウヤさん、今日はありがとうございました!明日から私、特訓します!」
「いい心構えだ、頑張れよ。それじゃあ、お休み。」
キョウヤは自分の部屋に入って行く。

翌日、一人の少女が街の中を歩いていた。
「さぁて、キョウヤはどこに居るんだろう?それよりも、、、」
昨夜、キョウヤ達の戦いを見ていたその少女はキョウヤを探しているが、
「コンビニ発見!」
あまりキョウヤを探す事を大事にしていないのか、コンビニのカウンターに直行した。
「すみません!海鮮まんとフミチキを一つずつ!」
「お会計は361円になります。」
「はぁい。」
少女は会計を済ませ、商品を受け取って外に出る。そして、買った物を食べながら歩く。
「それにしても、ノイズを操る杖、あれってどうみてもソロモンの杖だよね。それにあの鎧は確かネフシュタンの鎧とか言ったっけ?とにかく、よく解らないからあとでフィーネに聞こうっと。さぁて、キョウヤを早く探して合流しないと。」
少女は中華饅頭を食べ終え、走り出す。

「さて、あのSAKIMORIとか自称していたあいつの話を聞く限り、ネフシュタンの鎧って二年前はあんた達が管理していたんだって?」
「ああ、その通りだが。」
キョウヤは弦十郎達と昨夜の襲撃、ネフシュタンの鎧の事について弦十郎の自宅で話していた。
「それで、どうしてあんた達が管理していたネフシュタンの鎧が今あいつの所にあるんだ?」
「そうだな。我々もその事は話していなかったな。あれは二年前、我々は完全な形で残っていたネフシュタンの鎧を起動させ、制御させると同時にノイズへの対抗策にならないか実験を行っていた。」
「それで、実験の結果は。」
「まず我々はネフシュタンの鎧は装者一人での起動が不可能だと知り、当時ガングニールの装者であった天羽奏君と翼の二人の歌で起動させる事にし、更に二人のフォニックゲインを高める為にコンサートを開き、そこで実験を行った。」
「おいおい、観客が居る中でそんな危険な実験を行ったのか。」
「その通りだ。あの時の我々は、まだ全てを詳しく研究出来ていなかった。故に翼と奏君のフォニックゲインでネフシュタンの鎧は確かに起動させる事は出来た。だが─」
「制御が出来なかったんだな。」
「その通りだ。そして、そのタイミングでノイズの大軍が現れ、多くの観客が犠牲となった。」
「なるほどねぇ。」
「ノイズの力は凄まじくの実験を行っていた我々の研究施設も完全に破壊されてしまい、奏君と翼も傷つきながら戦った。その時に、ノイズの攻撃で砕かれたガングニールの破片が、どうやら響君の心臓付近にあるらしい。」
「つまり、響ちゃんは逃げ遅れ、その奏とかいう装者の不手際で、今響ちゃんはガングニールを使っていると。それなのに奏奏と言って響に八つ当たりしているのか、あの馬鹿は。それで、話の続きは?」
「そして、我々の研究施設は瓦礫と化し、了子君にネフシュタンを守るように頼んだのだが─」
「私も瓦礫に埋もれていて動けないまま意識を失って、気がついた時には出遅れで、ネフシュタンの鎧が奪われた後だったわ。」
「なるほど、つまり、その時の盗まれたネフシュタンの鎧が、今は奴の所にあるってわけか。」
キョウヤは説明されて納得した。
「師匠!」
そのタイミングで響がやってくる。
「どうした、響君。」
現在、響は特訓の為に弦十郎の弟子として稽古に励んでいる。
「師匠の言っていた、雷を掴む感覚、なんとなく解りました!」
「そうか。」
響が弦十郎に成果を説明していると、
『司令、そこから20キロの地点でノイズが出現しています!』
「何ッ!キョウヤ君、響君、すぐ現場に!」
「オッケー!響ちゃん、こいつの後ろに!」
キョウヤはバイクを指さす。
「あれって?」
「ああ、俺がオッサンから貰った物だ。飛ばすぞ!」
キョウヤは響を後ろに乗せて走る。

「ええ~、何このノイズの量。ちょっ大杉w」
少女は笑っていた。そして、
「それじゃ、私の地球での晴れ舞台、レッツパーティーで~す!-♪My brave Seiryu Engetuto to now~-」
少女は歌うと、バングルから黒き五つの光が現れ少女を包み、白と深緑の戦闘服を身に纏い、深緑の装甲を両手足に装着した。
「そんじゃ始めるよー私のコンサート。」
「-♪My soul of out The lost of pride-」
少女はアームドギア、戒戟(かいげき)青龍偃月刀を出現させて切り裂いて行く。
「-♪す~べては 終わ~りに向かう-」
少女は高く飛び上がり青龍偃月刀の刃をエネルギー弾にして発射する霧型・津々(しんしん)を放ち殲滅してゆく。
「-♪無~くした この情~熱は 今は見えなくて~-」
少女は青龍偃月刀を短く持って回転しなぎ倒して行く旋型・百々(どうどう)を使い等身大のノイズを根こそぎ倒す。
「-♪夢や理想 奇~跡は また~雲~の中
Ah この悪夢も いつかは覚めてくれるの
そう信じて 私はただ何時までも 願っている~-」
少女は更に青龍偃月刀を二手に分けて鉢のようにしてノイズに斬撃と打撃を放つ(どら)型・轟々を放つ。その攻撃で少女に向かって来たノイズは全滅し、そのタイミングでキョウヤと響がやって来る。
「あなたはっ!?」
青龍偃月刀のシンフォギアを纏う少女に響は驚き、
「てゆーか、なんでキョウヤと一緒に居るわけぇ?」
少女はそう返す。すると、
「間違いない!お前も来たのか、美冷。」
キョウヤも別の意味で驚く。
「ちょっとぉ、その言い方は無いんじゃないの、キョウヤぁ~。」
「悪かったって。だからそうひっつくな。」
「ごめんね。久しぶりで嬉しかったから。」
「俺も会いたかったよ。だって結構居心地悪かったし。」
キョウヤがそう言った瞬間、弦十郎と了子と緒川さんがやってくる。
「みんな、無事か!君は一体何者だ!」
弦十郎は少女に対して叫ぶ。
「オッサン、やめてくれ。こいつは鈴 美冷(みれい)、ノースガルドの105号シンフォギア、青龍偃月刀の装者で、俺の婚約者だ。」
「はじめまして、私は鈴 美冷、よろしくね!」
キョウヤが説明し、美冷は挨拶をする。すると、
「エエエエエエエエエエ!?」
キョウヤと美冷以外の全てのメンバーは驚く。
「って、何を驚いているの!」
キョウヤは尋ねる。
「そりゃあ、いきなり装者が婚約者だって言われれば、誰だって驚くさ!」
「こちらでは普通の反応ですよ。」
「そんな、あの話って本当だったんだ─」
三人は、三者三様の答えを述べた。
「了子さん、俺はあの時本当の事を言っただけだけだし。だからオバハンの僻みだって俺に言われるんだろ?」
「うわ~ん、キョウヤ君がイジメる~!」
「キョウヤ、何あれ?」
「いや、あの人あれでいてこの世界の科学者でシンフォギアの理論を作った人だぞ。あんなんだけど。」
「へえ~。じゃあ、私達の世界でいうところのフィーネにあたる偉い人なんだ?」
美冷のその言葉で了子の対応が変わる。
「フィーネ?そっちの世界では、フィーネって人がシンフォギアを生み出したの?」
「うん!てゆーか、フィーネさんは私達の指揮官でもある偉い人だよ。」
美冷の言葉で、物語は更に進んで行く。


戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~
つづく 
 

 
後書き
とうとう二人目のオリキャラを出せました。それでは、設定を載せておきます。
鈴 美冷
身長:154cm
体重:49kg
スリーサイズ B:88/W:56/H:82
ノースガルドの一島国、字の国(地球でいうところの台湾)出身。幼児期にエルドラドに引っ越し、キョウヤとは幼なじみであり、五年間装者として戦い、三年前にキョウヤと婚約を果たす。現在16歳。
使用ギア:青龍偃月刀
ノースガルドで105番目に発見された三国志に出てくる青龍偃月刀の刃の破片を用いたシンフォギアで、冠名は戒戟。普段は地球のシンフォギアと同様に結晶の内部にセットされており、聖詠によって力を発揮する。美冷はこの結晶をバングルにしている。
使用技
霧型・津々:高く飛び上がり青龍偃月刀の刃をエネルギー弾をして多数発射する。
旋型・百々:青龍偃月刀の刃の付近を持って回転し、遠心力で近づいてなぎ倒して行く技。
鐃型・轟々:青龍偃月刀を二手に分けて刃で斬撃を、柄で打撃を、交互に放つ技。 
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