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Blue Rose

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第十二話 真の友人その六

「自分でないとね」
「素直にだね」
「思えるから」
「そういえば僕もだね」
 マッシュポテトを食べつつだ、優花は答えた。
「他の人のことはね」
「純粋に観られて考えられるわね」
「そうだね」
「それは自分のことでないから」
「それが出来るんだ」
「そう、これはエゴだけれど」
 人は自分が一番大事だ、それ故に自分のことになると主観的になるというのだ。自分が大事であるが故に。
「エゴを上手に使うとね」
「そうした風にもだね」
「他の人を観られて」
「冷静にアドバイスも出来るんだ」
「ええ、そうなるのよ」
「そうなんだね」
「優花は人の立場になって考えるわね」
 相手が困っている時はだ、そして積極的に動くのが優花だ。
 しかしだ、優子はというと。
「私はやっぱり自分が大事なのね」
「そう言うと悪いことだけれど」
「そこから冷静に見られてね」
「他の人を」
「アドバイスとかが出来るのかもね」
「自分が大事っていうけれど」
 優花は今度は熱いまでに温かいスープを飲みながら言った。
「姉さん優しいよ、誰も見捨てたりしないよね」
「だから、自分が大事で好きでも他の人のことは思えるでしょ」
「そういうものなんだ」
「自分のことも考えて相手のことも考える」
「どちらもだね」
「誰のことも考えるとね」
 それで、というのだ。
「いいのよ」
「そうすればいいんだ」
「そう、いいのよ」
 まさにというのだ。
「誰でもね」
「客観的でも」
「そして手をね」
「差し出すんだね」
「そうすればいいのよ」
「自分のことを考えてもいいんだね」
「人を第一に置いていいの」
他者をというのだ。
「むしろそっちが理想ね」
「人のことを考えて」
「その次に自分のことを考える」
「うん、それが本当にいいよね」
「人を助けたら自分が助かるっていうし、けれど私はね」
「姉さんは自分が第一なんだね」
「自分ではそう思っているわ」 
 エゴイストであるとだ、優花は自分を評した。
「はっきりとね」
「そうなのかな」
「けれどそれで人を冷静に見られるとした」
「そのことが不思議なんだね」
「そう思えたのよ」
「そうなんだね」
「嫌な人間ね、私は」
 自分もスープを飲みながらだ、優子は苦笑いになった。
「自分が好きで他の人は突き放して見ているから」
「いや、だから龍馬を信じられたのならね」
「いいことなのね」
「僕も助けてくれてるし」
 冷静に観たうえでだ。
「有り難いよ」
「エゴでも人の役に立つこともね」
「不思議だね」
「そうなるわね」
 優子はまた言った。
「因果なもので」
「因果かな」
「エゴはよくないとされてるでしょ」
「エゴイストっていうとね」
 つまりい利己主義者だ、優花もこの言葉についてはこうした印象である。 
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