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Blue Rose

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第十二話 真の友人その七

「悪いイメージあるよね」
「どうしてもね」
「けれどだね」
「そのエゴが人を助けたりすることもある」
「そういうこともあるんだね」
「世の中はね」
 それこそとも言った優子だった。
「何がどう正しくてどう間違ってるかわからないのよ」
「そうしたものなんだ」
「そう、いいことをしたと思っていてもね」
 その場合のこともだ、優子は話した。
「それが悪い結果になったり」
「その逆もだね」
「あったりするのよ」
「世の中ってそうしたこともあるんだ」
「私はこのエゴが嫌いよ」
 優子はこのことは真面目に言った。
「自分の中にあるね」
「そうなんだね」
「けれどね、それがね」
「他の人を冷静に見させてもくれているんだ」
「人だけじゃないけれど」
「人は人、自分は自分?」
「そう分けてくれてるのよ」
 そのエゴがというのだ。
「不思議なことにね」
「ううん、悪いことがいいことをもたらす」
「そうしたこともあるのよ」
「姉さんがさっき言った様に」
「そうよ」
 まさにという返事だった。
「それもまた世の中よ」
「確かそれって」
 優花はここでこの言葉を思い出した、その言葉はというと。
「人間万事だよね」
「塞翁が馬ね」
「そういうことかな」
「そうね、世の中は何でもね」
「どうなるかわからないのね」
「骨折したお陰で兵役に出なくてよくなった」
「そうしたこともあるんだね」
「そうしたものだから」
 世の中は、というのだ。
「私も優花を冷静に見られて考えられるのなら」
「エゴもだね」
「いいものなのかもね」
「そうなんだね」
「エゴを完全に捨てることは難しいわ」
 優子はこうも言った。
「煩悩とも言うわね」
「仏教の言葉だね」
「我を完全に捨て去ることは中々出来ないわ」
「それが出来たらお釈迦様になるよね」
「ええ、解脱ね」
 優子は仏教で目指されている一つのことを出した。
「解脱がそれよ」
「解脱したらね」
「それだけで凄いわね」
「うん、一生かけても出来ないよね」
「それが出来たら本当にお釈迦様よ」
 そうした存在になるというのだ。
「如来様になるわ」
「凄いことだね」
「本当にね、人にはどうしてもね」
「エゴがあるんだね」
「そのエゴをどうして捨て去るかだけれど」
「エゴがいい状況や結果をもたらしもするから」
「わからない、不思議なものよ」
 優子もまた自分の前に置かれている料理を口にしている、洋食であるが主食は白い御飯でありハンバーグをおおかずにしている。
「本当にね」
「そうだね」
「人にエゴがあるってわかって」
 そしてというのだった。
「神様や仏様は世の中を動かしているのかも知れないわ」
「人のエゴが」
「人と人の出会いも不思議でしょ」
「うん、確かにね」
「それが思わぬことにもなるから」
「そういえば偶然会った人とね」
「思わぬ場所でね」
 そしてとだ、優花に言うのだった。 
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