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μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜

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第5話 その名はμ's


「も....もうだめ〜...はぁ..はぁ...」

「海未ちゃん〜もう足が動かないよ〜」

早朝の神田明神は今日から俺たちの基礎体力をつけるため階段ダッシュをする場所となった。海未はともかく運動部に所属していない穂乃果とことりは体力が足りないと判断した俺はこれを提案し朝と夕、ここで階段ダッシュをすることにした。この提案した時の海未の俺を尊敬する目はものすごく輝いていた。きっと気のせいだろう.....
にしても、この階段何段あるんだろう...普通に歩くだけでもキツいのにここを階段ダッシュしろとか...まぁそう言ったのは俺なんだけどね


「はい!2人とも、もう1セットです」

「は、はひっ!行こうことりちゃん!」

「うん!」


2人は鬼教官もとい海未に絶賛しごかれ中である。
と、階段を降りようとした時後ろから声をかけられる

「君たち」

声の先には見覚えのあるむm....ゲフンゲフン。巫女姿だけど見覚えのある顔の人がいた。

「東條副会長....」

「お、名前覚えてくれてたんやな〜」

音乃木坂の生徒会副会長東條希さん。巫女のバイトかなにかだろうか。
それにしても......巫女姿...たまんねぇ...
おっとよだれが。

「で、何か用ですか?」

「神社はいろんな気が集まるスピリチュアルな場所やからね。ここの階段使わせてもらってるんやから、お参りぐらいしとき」

どうやら用件はそれらしい。それにしてもスピリチュアルって...こういう場面で使うものだったかな

「そうですね..みんなでお参りしていきましょう」

「うんっ!」

海未たちは神殿の方へ向かう。俺も向かおうとしたが呼び止められた。

「ちょっと大地くん」

「ん?なんですか」

「あの子達..順調?」

「まぁ....順調...ですかね?」

「がんばりや〜ウチは応援しとるで?あの子達も...君にも」

東條副会長は目を細めてそんなことを言う

「は、はぁ....ありがとうございます?」

ん〜なかなか掴み所の難しい先輩だな。

「「「初ライブが成功しますようにっ!!」」」

穂乃果たちの声が聞こえる。

「じゃあ、練習がんばりや〜」

「はい、失礼します」

俺は一礼し、穂乃果たちの元へ向かう

「遅いよ大くん!穂乃果はもうお参り終わったからね!」

腰に手を当てプンプンと怒る

「わかったって、俺も今するよ」

財布から15円ほど取り出し賽銭箱へ投入する。

俺のお願いは.....

「美少女の女の子とあんなことやこんなグフゥッ!」

「真面目にしてくださいっ!」

真面目に考えたのに海未に殴られた....
海未に殴られるの慣れた気がする....(Mではありません)

じゃあ.......

彼女たちがこれから先もずっと笑ってられますように


そして....




自分に欠けている記憶を取り戻すことができますように








「それでは、よ〜いスタートっ!」

お参りを終え、すぐに階段ダッシュへ戻る。
海未はストップウォッチを構え、2人の様子を伺う。
ふと、思い出したことを海未に聞いてみた。

「そういえば海未」

「なんでしょう?」

「一昨日生徒会室に行った時、申請書に俺の名前が書いてあった理由。教えてくれないか?」

『後でちゃんと説明しますから今は大人しくしていてください』

「っ!!//////」

海未の手からストップウォッチが落ちた。
俺はそれを拾って海未に手渡す。

「で?なんで?」

「そ、それは....その..ですね///」

「は〜や〜く〜。穂乃果たち来たら聞かれちまうぞ?それとも穂乃果たちも知ってるのか?」

「し、知ってますけど....」

「な〜んだ。穂乃果たちも知ってるのか、ならあいつらから聞くからいいや」

「そ、それはダメです!!!」

教える気がないなら無理しなくてもいいんだけど

「どうして君はそこまで顔を真っ赤にしてるんだい?そんなに恥ずかしい理由で俺を入部させたのかい?」

「ち、ちがっ」

「はっ!わかったぞ!俺のことを奴隷にす--」

「あなたがいれば何も怖くないからです!!!!!!!」














海未が顔を真っ赤にして出した理由は....
俺の顔も真っ赤にさせるほど影響を与えるものだった。







〜☆〜




「作曲...してくれないかな?」

「オコトワリシマス!!」

次の日の昼休み、俺と穂乃果は西木野さんを屋上に呼び出し作曲の依頼を頼んだ。結果はご覧の有り様。引き受けるどころか、速攻即答大否定。
あまりやりすぎるとダメかもしれない....


「どうして?まさかピアノは弾けるけど作曲はできないとか?」

「そんなわけないでしょ!ただやりたくないんです!そんなことは」


廃校のための作曲を『そんなこと』で否定されるとはな〜
彼女にとって廃校は『そんなこと』で済ます程度にしか思っていないのかもしれない

「どうして!あなとのその曲で廃校が阻止できるかもしれないんだよ?」

「興味無いんです!失礼します!!」

そう言い残し西木野さんは屋上を後にする


「.....かなり棘のある子だったな」

「お断りしますって....海未ちゃんみたい」

「それが普通の反応なんだよ」

とりあえずチョップをいれておく

「いてっ」

「とにかくどうするよ......海未は作詞できたって言ってたぞ」

そう言って俺は海未のポケットから盗んできた歌詞の書いてある紙を広げる

「それ...持ってて大丈夫なの?」

「ん?さぁ...」
そう言いながら俺は歌詞を見つめる


『START:DASH!!』

それが俺達...いや、彼女達の始まりの曲である。



新入生歓迎会まであと6日






「ちょっと...いいかしら?」

教室へ向かう途中俺は絢瀬会長に呼び止められた。
穂乃果には先に教室へ向かうよう促し、俺は絢瀬会長の話を聞く







〜☆〜



『逆効果』

それが絢瀬会長に言われた言葉。

『元々スクールアイドルの無かったこの学校でやってみたけどできませんでした失敗しました。って言われたらみんなどう思うかしら?』

『.....』

『わたしはこの学校が大好き、廃校になってほしくない。祖母も音乃木坂出身だから守りたい。だからこそ簡単に考えて欲しくないの』

『.....守りたいと言う気持ちはあなたと同じだと思っていました。だけど.....残念です』

『え?ちょっとそれはどういうことかしら?』

『失礼します』


確かに俺らは簡単に物事を考えていたのかもしれない。スクールアイドルをやって人気が出れば入学希望者数も増える。つまり学校を存続できる。だけど...失敗したら?でも何もしないよりはいいじゃないか
生徒会の方は何もしてないみたいだし.....









「あったよ!!!1枚!!」

「ホントですか!」

「よかったね!穂乃果ちゃん!」

休み時間、穂乃果は何気なく廊下にあるグループ名募集箱の中を覗いたらなんと入っていたらしい。まさか本当に考えて入れてくれるやつがいたなんてな....これは予想できなかった。
穂乃果はよほど嬉しいのが目をキラキラさせている

「じゃあ...開けるよ?」

「どんな名前でしょう」

「真面目に書いてなかったら笑えてくるよな」

「大地くん、冗談はやめてよ」

穂乃果は恐る恐る紙を開ける。そこに書かれていたのは.....









”μ's"






「........石鹸?」

「違います!」

「ぐはぁっ!海未!腹を殴ることはないだろ」

なんでちょっとボケただけで腹を殴るのかな〜。そんな暴力をふるう少女に父さんは育てた覚えはないぞ!

「いつあなたが私の父さんになったのですか!」

心をなぜ彼女は読めるんですかね〜

「これってどう言う意味?」

「多分...神話に出てくる女神のことじゃないかと」

「その通り、神話に出てくる9人の女神のことを示してるんだよ」

確か冬休みに読んだ本にそんなことが書いてあったような気がする


「いい名前なんじゃないかな?」

「そうですね、私もいいと思います。穂乃果は?」

「穂乃果も賛成!今日から穂乃果達は....μ'sだ!!!」



こうして音乃木坂スクールアイドルμ'sの誕生である。
こいつらならきっと廃校を阻止してくれるだろう。がんばれ!!!



でも......9人の女神ってことは...あと6人いるってことだよな?
俺は....入ってないよな?男だもん。






〜☆〜


コンコン

「すいません、2年の笹倉ですが西木野真姫って子はいるか?」

夕方、俺は西木野さんに最後の頼みとして1年生の教室にやってきた。
俺が来た途端みんな影でひそひそと話始めた。
そうか...忘れてたけどここ、女子高なんだった。
そりゃ俺みたいな異質者が女子高にいればみんなびっくりするよな

「あ、あの....」

「ん?」

振り返ると昨日興味津々にポスターを眺めていたメガネの少女がいた。


「あ、君は前にポスターを眺めていた子だよね?」

「は、はい。あの...あの時はすいませんでした」

「え?あ、いやいや大丈夫大丈夫!いきなり話しかけた俺が悪いんだから気にしたいで」

「は、はい」

1年生は1クラスしかないからこの子に聞いてみようかな

「あの、西木野真姫って子はどこにいるかわかる?」

「西木野さん...ですか」
「彼女なら音楽室に行ったにゃー!!」
「に、にゃー?」
そう言って話しかけてきたのは同じく一緒にいたメガネの子の友達だ。
ところで『にゃー』ってなに?『にゃー』って

「西木野さん、クラスであまり話さないんです。いつも昼休みは図書室で、放課後は音楽室によくいます」

なるほど.....彼女はクラスで馴染めないタイプの子なんだな。まあ....確かに気難しい子ではあるけど...
とにかく音楽室にいるってことがわかれば十分来たかいがあった。

「ありがとう。ところで名前教えてもらえないかな?俺は笹倉大地」

「こ、小泉花陽...です」

「凛は星空凛だにゃ!よろしくにゃ!!」

「あぁよろしく!」

メガネのの巨乳少女は小泉花陽。元気いっぱいのひんにゅ....ゲフンゲフン、
にゃーにゃーの猫は星空凛。よし、インプット完了

「じゃあ教えてくれてありがとう!今度新歓の放課後ここにスクールアイドルμ'sってのが誕生してその初ライブをするからよかったら見に来て!」

俺はそう言い残し、音楽室に向かう。

「す、スクールアイドル!?」

この声は多分花陽ちゃんの声だろう....大人しい子だと思ったけどめちゃめちゃ廊下に響く声持ってるんだな.....








「あいしてるばんざ〜い♪始まったばか〜り〜♪あした〜もよ〜ろし〜くね〜♪まだ〜ゴールじゃない〜♪」



気づかれないように耳を澄ます。聞いたことない曲なのでおそらく自作だろう。上手に歌いこないしている。
「..やっぱりめちゃくちゃ上手いな」

やっぱり彼女がいてくれればなんとかなるかもしれない。希望が見えてきた。彼女に協力して欲しい。それが俺の本音だ。
歌が終わったようなので、ドアをあけて拍手をしながら中に入る


「西木野さん、やっぱり君上手いよ」

「っ!!あなたは...笹倉さん」

これで何度目だろうか。やっぱり彼女は俺のことを警戒している。
その証拠にほら、また睨んでくる。そんなに俺やばそうな人間に見えるのかな?(実際西木野真姫からすると危ないやつにしか見えない)

「西木野さん、お願いします。彼女たちのために作曲をしてください」

俺は最後のお願いに出た。これ以上はほんとにできない。だからこれがラストチャンスだ

「...何度も何度も....私ははっきり言います。オコトワリシマス!!」

「どうして、そこまで嫌なんだ?」

「私はアイドルソングとか聞かないし。聞くのはジャズとかクラシックばっかりだし」

「どうして?」

「軽いからよ!薄っぺらい曲ばかりだし」

ジャズとかクラシック系の曲なら彼女も了承してくれただろう。でも俺達の求めてるのはアイドルソング。そう、彼女の嫌いな。
でも.....それでも........




「俺達には....君しかいないんだ!お願いします!!」





俺は誠意を込めて.....土下座をした。

「ちょ!なにやってるの!」

「俺は廃校を阻止したい!彼女たちの笑顔を守るために君の曲がどうしても必要なんだ!お願いします!どうか!俺たちのために!」

....情けないと自分でも思う。俺には何もできないから年下の、しかも女の子にこうして土下座をしている。俺にはこれしかできないから。彼女たちの為にできることはこれしかないから。だから俺は恥を捨てて西木野さんにお願いをする。

「......」

すると彼女は立ち上がり俺の前で立ち止まる

「そんな体制じゃはなせないでしょ。立ってください」

言われたとおりに立つ。

「なんであなたはそんなに必死なんですか?いくら転入生とはいえ、ほとんど部外者じゃないですか」

「確かに俺は来たばかりの部外者だ。この学校なんてまだよくわからない。でも、彼女たちを見てるとこの学校を守りたい。大事にしたいって自然とそう思えてくるんだ」

「あっそ...」
そっぽを向いて自分の髪をクルクルといじり始める。

「これ、よかったら曲作りの参考にして欲しい」

俺はμ'sと書かれた紙と海未の書いた歌詞を渡した。

「まぁ.....そんなことで心が変わると思えませんけどね」

最後にそう言い残して音楽室を出ようとする

「待って!いい忘れてたことがあった」

「なに?今度は」

俺はこれだけは言っておきたかった
何をするにしてもやっぱり大事だと思うから

「......ありがとう」


「.........」

彼女は無言で音楽室を出て行った。







みんなが待ってるだろうしそろそろ神社に行かないと。








〜☆〜



練習後もなんとなく家に帰る気分になれず、近くの公園のベンチに座り込んだ。そして自販機で買った缶コーヒーを啜りながら落ち込む始末である。多分結果は失敗で終わった。紙を受け取ったときもしやとは思ったけど、あの西木野さんが素直にやってくれるとは到底思えない。
ほかを当たるしかないだろう。

「はぁ......」

『だからこそ簡単に考えて欲しくないの』

絢瀬会長の言ったとこが頭の中で反芻される。
もしかすると心のどこかで簡単に考えていたのかもしれない
廃校を阻止するなんてこんなに難しいものだったとは....

でも彼女たちを見てるとできそうな気がしたんだ。
何事にも真っ直ぐ突き進む穂乃果を中心に真面目な海未、そして2人をサポートすることり。俺はどうしてもあの3人の笑顔を守りたかったんだ。
なぜだかわからない。でも、彼女たちの泣く姿なんて見たくないんだ。
悲しむ姿なんて見たくないんだ。


でもあとは全て西木野さんにかかってる。彼女が作曲をしてくれれば前にすすめる。もししてくれなかったら.......

いや、その時はその時だ。まだ策があるかもしれない

俺は缶コーヒーを飲み干しゴミ箱に投げ捨て帰路についた。







〜☆〜



俺は弁当をバックに詰め、出発する

「母さん行ってきます」

挨拶をしてドアを開ける。と、

「ちょっと待って大地!あなた宛てに封筒来てるわよ?笹倉大地とμ'sって書いてるけど......」

「え?」

母さんから封筒を受け取る。見た感じは何かよくわからないけど、封筒を触ってみるとなにか円のような硬い感触のするものが入っていることだけわかった。


.........まさか.......まさか..........!!

俺は一旦自室に戻りパソコンを手にして勢い良く飛び出した。嬉しい気持になるのは初めてかもしれない!!



「穂乃果!ことり!海未!」

「あ、おはよう大くん!」

「おはよ〜大地くん」

「おはようございます」

神社に着くとちょうど準備体操がおわった3人がいた。

「みんな集合!!!」

「え?なに?どうしたの?」

何かいいことでもあった?とでも言いたげな顔で穂乃果が寄ってくる。続いて海未とことりも。

「いいか.....見てろよ」

パソコンを手早く起動しミュージックアプリを開く。すぐに封筒を破り中身を取り出すと予想通りCDが入っていた。

「CD....ですか?一体なんの...」

「ここまできてわからないか海未....」

「あ!わかった!ライブの曲だね?」

「穂乃果!正解だ!」

CDを読み込み音楽が再生される。


ピアノの前奏から始まり、続きて西木野さんの歌声がメロディを奏でる。

「こ、これは........」

「あ、あぁぁ.....」

「すごいよ、曲になってる」



「遂に....遂にここまで来たんだ」

4人ともリアクションは別々だが、思っていることはみんな同じ








”さぁ!練習しよう!!”

 
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