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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第42話

~アルゼイド子爵邸~



「―――ご無沙汰しております。オーレリア伯爵閣下。そてと……ウォレス男爵閣下でしたか。」

「フフ、なに。近くに立ち寄ったものでな。久々にそなたの顔でも見てみたいと思ったのだよ。―――それに我が師とも久闊を叙したかったのもある。」

「それは……」

軍装の女性―――オーレリア将軍の言葉を聞いたラウラは言葉を濁し

「ハハ……名高き”光の剣匠”に一度お会いしてみたかったが。その息女殿にお会いできただけでも良しとしておこうか。」

「……恐縮です。」

オーレリア将軍の傍にいる褐色肌の男性―――ウォレス准将の言葉にラウラは目を伏せて答えた。



一方その様子をリィン達は別の部屋の扉の隙間から見守っていた。

「あ、あれは……」

「知ってるの、リィン?」

「しかし、あちらの彼は……」

「オーレリア将軍にウォレス准将……領邦軍きっての英雄と言われている”武将”ですわね。」

「ええっ!?お、女の人が将軍!?しかもあの女の人、見た所かなり若いわよね??」

「……お二方とも相当な腕前ですね……」

「ええ……(あの二人が領邦軍の”黄金の羅刹”と”黒旋風”か……)」

シャロンの説明を聞いたエステルは驚き、エイドスの言葉に頷いたヨシュアは真剣な表情で二人を見つめていた。



「ええ―――どちらも武の世界では知らない人間がいない程です。背の高い男性はウォレス准将―――通称”黒旋風”。比類なき槍術を振るう若き豪傑として知られている。聞いた話では……ノルドの血を引いているとか。」

「なるほど、それで……」

「背も高いのもそうなのかしら……?」

リィンの説明を聞いたエマとアリサはガイウスとウォレス准将を見比べ

「以前、父や長老から聞いたことがある。250年前の獅子戦役でドライケルス帝に協力したノルドの戦士のうち……そのまま帝国で生きることを決意したものがいたと。」

「ああ、多分その子孫に当たるんだろう。そして―――」

ガイウスの説明に頷いたリィンは真剣な表情でオーレリア将軍を見つめた。



「オーレリア将軍……通称―――”黄金の羅刹”。伯爵家の当主にして女性ながらラマール領邦軍の総司令を務める人物……信じ難いことに――”アルゼイド流”と”ヴァンダール流”の二大流派を修めているらしい。」

「ヴァンダール流というと……皇族の守護者としても有名な。」

「た、たしかゼクス中将も修めてるって話だけど……」

「後はミュラーさんもそうよね?」

「うん……だけど彼女の方がミュラーさんより確実に上だろうね。」

「それは……凄まじいな。」

「……どちらも貴族連合の顔とも言える存在ですわね。ふふ、どうしてこの中立地帯へいらっしゃったのでしょう?」

「ええ……何らかの理由があると思うのですが……」

リィンの説明に仲間達が驚いている中、シャロンとエイドスはそれぞれ二人を警戒していた。



「―――立ち話もなんでしょう。父の執務室にお通しいたします。クラウス、お茶の用意を。」

「ああ、気遣いは無用だ。この場に子爵閣下がいらっしゃらないというのが何よりの答えであろうからな。」

「それは……如何なる意味でしょうか?」

オーレリア将軍の言葉を聞いて驚いたラウラは真剣な表情で問いかけた。



「なに―――先日トリスタに”紅き翼”が現れたのを咎めようってんじゃない。」

「……っ……」

「ただまあ、誰とやり合うかは見極めておきたかったからな。今のところは中立―――しかし場合によっては自らの信じる”正義”をもって容赦なく剣を振るうって所か。」

「フフ、先走るな准将。まずは正規軍の猛者たち―――”紅毛”と”隻眼”を引きずり出す事から始めよう。ルーファス卿にだけ手柄を上げ続けられるのは癪だからな。」

「ハハ、そうですな。」

「……………………」

膨大な闘気を纏って不敵な笑みを浮かべて会話をする二人に恐れている自分を見せないかのようにラウラは二人の闘気に耐えながら身体を微動だにさせず、静かな表情で二人を見つめていた。



「フフ……できればそなたにもいずれ我が麾下にて剣を振るってもらいたいものだ、そなたの剣筋、精進次第では私をも凌ぐだろうからな。」

「―――身に余るお言葉。ですが、いまだ未熟者ゆえ、先の見通しも立っておらぬ身。せめて父から一本取れるようになってから声をかけて頂けると。」

「うむ、愉しみにしている。それでは准将―――これにて失礼するとしようか。」

「ええ、そうですな。―――そちらにいる面々もできれば紹介して欲しかったが。」

ウォレス准将が視線を向けた先―――客室の一室にいるリィン達は驚いた。



「ハハ、嬲るな准将。まあ、その若き気当たり達とその中にいるこの私をも超えると思われる気当たりを持つ者―――今は覚えておくだけとしよう。」

「承知。」

「……お構いもできず失礼いたしました。クラウス、お見送りを。」

「ハッ、それでは―――」

ラウラに指示をされたクラウスは玄関を開け、玄関に近づいたオーレリア将軍はクラウスに声をかけた。



「フフ―――師範代。折角だからそなたと久々に手合わせしてから帰るかな?」

「いやいや、この老骨では将軍方のお相手などとても。」

「ハハ、そう言いながらアンタ、全然隙がないじゃないか。」

クラウスに一声かけた二人が子爵邸から出て行くとラウラは崩れ落ち

「ラウラ……!」

それを見たリィン達はラウラに駆け寄った。



「フフ……みっともない所を見せたな。正直―――両人とも凄まじい眼力と気当たりだった。」

「ああ……こちらにも伝わってきたよ。」

「私達のことも……完全に気付いていましたね。」

「……アタシなんて毛が逆立っちゃったんだけど。」

「次元が違う……そんな気がしたかも。」

「多分、俺の父をも上回るかもしれない……」

「ひょっとしたら父さんともまともに戦えるかも……」

「確かにあの二人ならそうかもしれないね……」

「自らの”力”を試す為に”戦”を望む”獣”…………そんな風にも感じました。」

リィン達が話し合っている中、エステルの感想を聞いたヨシュアも重々しい様子を纏って頷き、エイドスは静かな表情で呟いた。



「それだけ貴族連合の層も厚いということでしょう。アルバレアのルーファス様といい、油断できる相手ではありませんわね。」

「ええ……ですが―――それでも俺達は前に進まなくちゃならない。俺達も出発しよう。ユーシスと再会するために。その上で、どんな道を選んで誰と対立する事になるのか―――それから決めればいい。」

シャロンの言葉に頷いたリィンは決意の表情で仲間達を見回した。



「フフ、そうだな。」

「行きましょう―――”翡翠の都”バリアハートへ。」

レグラムを発つ事を決めたリィン達はクラウスに見送られ、レグラム内でバリアハートへ行く準備を整え始めた。


準備を整えたリィン達はバリアハートに向かう前にエステル達がレグラム支部を去るのでマイルズに挨拶をする事にし、ギルドを訪ねた。



~遊撃士協会・レグラム支部~



「お疲れ様、将軍たちにもお帰りいただけたみたいだね。」

「ええ、さすがの迫力で圧倒されましたが……」

「あちらは様子見のつもりだったようですが、不意を突かれてしまいましたわね。」

「わが身の未熟を思い知らされたが……ここで立ち止まるわけにはゆかぬ。今は前に進もうと決めた次第だ。」

「ああ、Ⅶ組全員が揃うまであと少し―――必ず全員で再会しよう!」

「はい!」

「うんうん、その意気だ。それでエステル達が彼らと共にいると言う事は……彼らと一緒に行くんだね?」

リィン達の様子を微笑ましそうに見守っていたマイルズはエステル達に視線を向けた。



「うん、ヴァリマールの”精霊の道”だっけ?リィン君達がそれを使ってユミルに戻っているそうだから、それに便乗させてもらうつもりよ。」

「ユミルにはセントアークに繋がる転移魔法陣がありますので、ユミルを経由してセントアークに向かうつもりです。」

「わかった。君達が抜けるのは正直痛いけど元々決まっていた話だから仕方ないね。ちなみにエイドスさんもこのままエステル達と一緒に彼らと行動を?」

エステルとヨシュアの答えを聞いたマイルズは残念そうな表情をした後すぐに気を取り直してエイドスに視線を向けた。



「ええ。私の目的を果たす為にもエステルさん達やそのセントアークという都市にいるお母様達と一緒に行動をさせてもらうつもりです。」

「エイドスさんの”目的”…………」

「少々気になりますわね。」

「そう言えばエステルさん達はどこでエイドスさんと知り合ったのか、何故エステルさん達と一緒に行動をしている理由を誰にも教えていないそうですが……」

エイドスの答えを聞いたガイウスは呆け、シャロンはエイドスを見つめ、リィンは真剣な表情でエステルとヨシュアを見つめ

「ア、アハハ……悪いけどさすがにこればっかりは言えないのよ。」

「言えない理由に関しては申し訳ないけど、”察して”くれないかな?」

エステルは苦笑し、ヨシュアは静かな表情でリィン達を見回した。



「ま、まあそう言う事なら仕方ないわよね?」

「え、ええ。エイドスさんにも何か深い事情があるのでしょうし。」

「フム、聞く方が野暮というものだな。」

「そうだな。こうして出会えただけでも幸運と思うべきだ。」

ヨシュアの言葉を聞いてある程度”察した”アリサとエマは冷や汗をかきながらエイドスに視線を向け、ラウラの言葉にガイウスは頷いた。



「そう言えばアンタとエイドスが遠い親戚らしいけど……それは本当なのかしら?」

セリーヌは真剣な表情でエステルとエイドスを見つめて尋ねた。

「「………………」」

すると二人は互いの顔を見合わせて頷いた後セリーヌを見つめて笑顔で答えを言った。

「「それに関しては”乙女の秘密”です(よ)♪」」

「……………………もういいわ。聞いたアタシが馬鹿だったわ。」

笑顔で同時に答えたエイドスとエステルの答えにセリーヌは呆れ、その場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

(な、何だか段々二人が血が繋がっている親戚って言われてもおかしくない気がしてきた……むしろ”姉妹”って言われてもおかしくないくらい、違和感がないし……)

(というか、お願いだからこれ以上私達の”空の女神”のイメージを壊さないで欲しいわ……)

(うふふ、それでヨシュア様。結局の所、真偽の方はどうなのですか?お嬢様達には秘密にしておきますので、私にだけお教えして頂けませんか♪)

(ハハ……ノーコメントで。)

リィンとアリサは疲れた表情をし、興味ありげな表情をしているシャロンに尋ねられたヨシュアは苦笑しながら答えを誤魔化した。



「ハハ……――そうだ。バリアハートに向かう前に君達にぴったりの仕事があってね。よかったら引き受けてくれないかな。」

その時気を取り直したマイルズがリィン達に説明し、それを聞いたリィン達は冷や汗をかいた。

「え、ええと……」

「あれ?まだ片付けていない依頼があったっけ?」

「もしかして僕達がいない間に来た新しい依頼ですか?」

リィンは困った表情で答えを濁し、エステルとヨシュアは首を傾げて不思議そうな表情で尋ねた。



「いや、リィン君達を指名しての依頼があるんだよ。」

「………………?とりあえず見せてもらえますか?」

マイルズから依頼書を受け取り、依頼内容を読むとリィン達を指名した依頼があった。



「なるほど、こういう事ですか。」

「それにこれくらいの量ならこなせそうですね。」

「受けるかどうかは君達にお任せだけど、できればお願いするよ。それじゃあ気を付けて。女神(エイドス)の加護を祈っているよ。……って、あ。別に祈らなくてもちゃんと女神の加護はあるね。ハハ…………」

リィン達に激励をしたマイルズだったがすぐにエイドスに気付いて苦笑し、その発言を聞いたエステル達を除いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせてエイドスを見つめた。

「何度も言っているように私は”ただの新妻”です♪い・い・で・す・ね~~~~~??」

するとその時エイドスは膨大な威圧を纏った笑顔でリィン達を見回し

「は、はいっ!」

エイドスの威圧に圧されたリィン達は思わず姿勢を正して頷き

(やっぱりエステル達の先祖だけはあるね。ああいう強引な所とか、まさに父さんやエステルそっくりじゃないか………)

ヨシュアは呆れた表情でエステルに視線を向けて小声で呟いた。

(ムッ……強引って失礼しちゃうわね!あの不良中年親父はともかくあたしがいつ、そんな事をしたのよ!?)

(自覚すらしていないんだ……もういいよ…………ハア…………)

そしてエステルの答えを聞いたヨシュアは疲れた表情で溜息を吐いた。 
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