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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第43話

その後依頼を終えたリィン達は街道を歩いてバリアハートに向かい始め、途中にある謎の遺跡の探索を見つけ、探索を終えた後バリアハートに再び向かい始め、途中で襲い掛かってくる魔獣の対処をしていた。



~エペル街道~



「二の型――――疾風!!」

「竜巻よ……薙ぎ払えっ!!」

魔獣達との戦闘をしていたリィンとガイウスはそれぞれのクラフトでダメージを与え

「オォォォォッ!!」

「ハァァァァァ……セイッ!!」

「この一撃で……沈んでっ!!」

ヨシュアがクラフト―――魔眼で封じ込めた魔獣達にはエステルのクラフト―――金剛撃と膨大な神力を纏わせた神槍で攻撃した部分を中心に大爆発を起こすエイドスのクラフト―――ディヴァインブラストによる強烈な一撃で止めを刺し

「行きますわよ……!」

シャロンは電光石火の速さで次々と軍用ナイフで魔獣に攻撃すると共に鋼糸で動きを封じ

「シャドウステッチ!!」

指を鳴らして鋼糸で封じ込めた魔獣達を鋼糸で締め付けて滅した!



「ゆくぞ――――洸円牙!!エマ、アリサ!」

クラフトで魔獣達を一か所に固めたラウラは後方でオーブメントの駆動をしているエマとアリサに呼びかけ

「任せて!――――燃え尽きなさい!ヴォルカンレイン―――ッ!!」

「悪霊の叫びを!―――ファントムフォビア!!」

呼びかけられた二人がアーツを発動すると残りの魔獣達は滅した!



「フウ……終わったか。」

「さすがリィン君達ね~。前に一緒に戦った時より確実に強くなっているじゃない!」

「アハハ……エステルさん達と比べるとまだまだですよ。」

「うむ。特にエステル殿はカシウス卿直伝の棒術を主体として使っていながら、剣も扱い、剣に関しては”八葉一刀流”に加えて”飛燕剣”と更に他の剣技も修めている。エステル殿と比べれば我々はまだまだ精進が必要だ。」

エステルの称賛を聞いたアリサは苦笑し、ラウラは静かな表情で頷いた。



「う、う~ん……あたしの場合はみんなと違って、事情がちょっと”特殊”だからね……それよりシャロンさんもやっぱり”執行者”だけあってさすがよね。」

「―――ワイヤーで敵を封じ込めて止めを刺す……さすがは”死線”ですね。」

「うふふ、お二方と比べれば私はまだまだですわ。ヨシュア様は……以前と比べると戦闘スタイルが少々変わりまわしたわね。やはりカシウス様の指南のお蔭ですか?」

エステルとヨシュアに称賛されたシャロンは微笑みながらヨシュアに指摘し

「…………ええ。」

「ちなみにヨシュアは一人でレーヴェにも勝った事があるのよ!」

シャロンの指摘にヨシュアは静かな表情で頷き、エステルは胸を張って言った。



「ええっ!?」

「あ、あのレオンハルト教官を一人で破ったのですか!?」

「凄いな……」

「ほう……」

「へえ?”執行者”の中でもトップクラスの”剣帝”を相手に一人で勝利するなんて、さすがは”剣聖”に鍛えられた”執行者”って所かしら?」

エステルの話を聞いたリィンとエマ、ガイウスは驚き、ラウラは興味ありげな表情をし、セリーヌは感心していた。



「ハハ……あの時は僕達との戦いでレーヴェも相当疲労していたからね。その時でさえギリギリだったんだから、今戦ったら確実に負けるのは僕だよ。」

「そうかしら?あの時よりもっと強くなっているからわからないわよ?」

「フフ…………―――それにしても”戦術オーブメント”ですか。皆さんは本当にそれがないとアーツを撃てないのですか?」

ヨシュアとエステルの会話を微笑ましそうに見ていたエイドスはある事を思い出して不思議そうな表情で尋ねた。



「え、えっと…………」

「戦術オーブメント無しでアーツを撃つなんて非常識すぎる事ができるのは貴女だけだと思うんですけど……」

エイドスの質問に冷や汗をかいたリィンは困った表情で答えを濁し、アリサは疲れた表情で指摘し

「…………エイドスさんの知り合いはエイドスさんと同じ事ができるのか?」

ガイウスは不思議そうな表情で尋ねた。



「ええ。私の”友人達”も同じ事ができますよ?」

「エ、エイドスさんの”友人達”って…………」

「うふふ、七耀教会の方々にとっては是非知りたい方々に間違いないでしょうね♪」

「というか大方その”友人達”の中に”レグナート”とか、貴女の”眷属”も入っているんでしょう……」

エイドスの答えを聞いたリィンは表情を引き攣らせ、シャロンはからかいの表情になり、セリーヌは呆れた表情で指摘し

「ちなみにコツとかあるの?」

エステルは不思議そうな表情で尋ねた。



「コツ……と言われましても。周囲に漂う霊力(マナ)に呼びかければ普通にできますよ?例えばこんな風に…………――――アルテアカノン!!」

エステルに尋ねられたエイドスは戸惑いの表情で答えた後片手を空へと掲げて叫んだ。すると空が明るくなった後、空から現れた無数の巨大な光の球体が大地に落下し、大爆発を起こした!

「ね?簡単でしょう?」

最高位アーツを苦も無く放ち終えたエイドスが微笑むとリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「どこが簡単なのよ!何をしているのかサッパリわかんなかったわよ!」

「というか見本を見せるにしても最高位アーツはやりすぎだと思うんですが………」

エステルは声を上げて指摘し、ヨシュアは疲れた表情で指摘した。



「ハ、ハハ…………そ、そう言えばエイドスさんは既にご結婚なさっているとの事ですがエイドスさんの伴侶の方は一緒ではないんですか?」

苦笑していたリィンはある事に気付き、気を取り直してエイドスに尋ね

「あ、それはあたしも気になっていたわ。何でその人と一緒に来なかったの??確かその人にも秘密にしているって聞いたけど。」

リィンの質問を聞いたエステルは目を丸くして尋ねた。



「あの人に私がエステルさん達を手伝う理由を説明すれば絶対自分もついて行くと言うでしょうし、それに……―――私は”私自身の戦い”に大切な人を喪いたくありませんでしたから。」

「”エイドスさん自身の戦い”…………」

「……………………」

(…………それが空の女神(エイドス)がこのゼムリアに降り立った”理由”ね。空の女神自身が戦う相手って何者なのかしら?)

遠い目で空を見上げるエイドスの様子を見たガイウスは呆け、エマは複雑そうな表情をし、セリーヌは目を細めて考え込んでいた。



「―――それと無自覚で女性を落とすという”悪い癖”があるあの人を連れてきたら、浮気をされるかもしれませんでしたしね。だからあの人には黙ってエステルさん達を手伝っているんです♪」

エイドスの発言によってその場は重苦しい空気に包まれていたが、その空気をぶち壊すかのように空を見上げていたエイドスが膨大な威圧を纏った笑顔でリィン達へと振り向いて答えるとリィン達はエイドスの変貌に驚くと共に脱力した。

「う、浮気をされない為って……」

「そ、そんな理由で連れてこなかったんですか……」

やがて立ち直ったリィンとヨシュアは表情を引き攣らせたが

「……なるほどね。」

「フム…………」

「……それなら仕方ないな。」

「うふふ、そうですわね♪」

「ア、アハハ……」

「……時代は違っても、同じような男はどこにでもいるみたいね。」

「ええっ!?何でそこでみんな、俺を見るんだよ!?」

「しかもエステルまで一緒になってどうして僕まで見るんだい?」

仲間達に一斉に見つめられ、リィンは慌て、ヨシュアは戸惑いの表情をした。



「「リィン(ヨシュア)は黙ってて!!」」

「はい……(り、理不尽すぎる……)」

「すみません……」

そしてアリサとエステルが同時に自分達を睨んで怒鳴ると二人は疲れた表情で肩を落とし

「クスクス…………」

「ハア……”あんなの”が”空の女神”だって言っても絶対に誰も信じないでしょうね…………」

その様子を可笑しそうに見ているエイドスをセリーヌは呆れた表情で見つめて呟いた。


その後街道を進んでいたリィン達はようやくバリアハート市に入る出入り口に到着した。



~南クロイツェン街道~



「止まるがいい。」

「お前達……旅行者か?」

リィン達が門の近くまで来ると門番である領邦軍の兵士達が制止した。



「ええ、そんな所です。」

「レグラム方面からきた所だ。通行を許可願いたいのだが。」

「わざわざ街道を歩いてきたのか?物好きな……列車を使えばよかろうに。」

ラウラの話を聞いた兵士は不思議そうな表情をした。



「ふふ、どうしても列車を待ちきれなくなりまして。鉄道も規制されて本数がかなり減っていますし。」

「フン……まあいい。念の為、検めさせてもらうぞ。」

「貴族連合へ反逆を企てる者が潜伏しているという噂もあるからな。どれ、指名手配のリストは……」

そして兵士がリストを取りだして調べ始めるとリィン達は焦り始めた。



(くっ、まずいな……)

(……エマ。)

(ええ、わかってる。)

セリーヌに視線を向けられたエマは眼鏡を取って兵士達に近づいた。



「あの、すみません。少しだけ、私の目を見ていただけませんか?」

「は……?」

「何のことだ?」

エマの言葉に兵士達が不思議そうな表情をしてエマを見つめたその時

「―――我が言葉に耳を傾けよ。」

エマの瞳が金色に変わった!



「……あ………?」

「な、ん…………」

すると兵士達は呆け

「へ?一体何が起こっているの??」

(あれはまさか……)

その様子を見ていたエステルは首を傾げ、ある事に気付いていたヨシュアは真剣な表情をした。



「『―――私達は怪しい者ではありません。通して頂けますね?』」

「……フン、何をボーっと突っ立っている?とっとと通るがいい。」

「せいぜい街の中では騒ぎを起こさぬことだな。」

エマが二人に声をかけると二人はリィン達から離れて元の位置に戻った。



「…………!」

「ふふ、ありがとうございます。行きましょう、みなさん。」

「……ああ。」

そしてリィン達はバリアハート市内に入った。



~バリアハート~



「ふう……何事もなく入れたか。」

「ああ……拍子抜けしたくらいだ。」

「よくわからないが……暗示のようなものか?」

「ええ、ちょっとした催眠術みたいなもので……上手くいってよかったです。」

「何と言うか、エマ……本当に”魔女”なのね。」

「フフ、私もこの一ヶ月、驚かされっぱなしだ。」

エマの説明を聞いたアリサは驚き、ラウラは苦笑し

「う、う~ん……あたしは暗示のせいでできた滅茶苦茶嫌な思い出があるからちょっと複雑ね……」

「まあまあ。バリアハート市内に入れたのも彼女のお蔭なんだから別にいいじゃないか。」

疲れた表情で呟いたエステルをヨシュアは苦笑しながら諌めた。



「あはは……それほど大した術ではないんですが。」

「まあ、あの女―――ヴィータの”子守唄”に比べたらさすがに心許ないわね。複数の相手には効かないし、警戒もされるでしょうから多用はできないと思いなさい。」

「フフ、いざとなれば私が”シルバーソーン”か”カオスブランド”で似たような事をしますから私がいる間は安心してください。」

セリーヌの説明の後に微笑みながら言ったエイドスのとんでもない発言にリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「……アンタ、本当に正体隠す気あるの?」

「というか”シルバーソーン”は攻撃アーツだから街中で使ったら色々とマズイでしょうが。」

「エステル、指摘する所が間違っているよ。」

セリーヌは呆れた表情でエイドスを見つめ、ジト目で指摘するエステルの指摘を聞いたヨシュアは疲れた表情で指摘した。



~同時刻・アルバレア公爵邸~



一方その頃アルバレア公爵が侯爵邸の中で外の景色を見つめて考え込んでいた。

「―――内戦の戦況は完全に貴族連合に傾いている。ルーファスも”総参謀”として多大な功績を上げ続けておるが……あくまで主導はあの男―――カイエンであるのは変わりない。この状況……何としても覆さねばなるまいな。」

「―――それで先日、ユミルに猟兵を送り込んだというわけですか。皇女殿下を確保することで貴族連合での主導権を握る為に。」

アルバレア公爵が独り言を呟いているとユーシスが近づいてきた。



「……この私に言いたい事があるようだな?級友とやらの故郷に手を出したのがよほど気に喰わなかったと見える。」

「……滅相もありません。ただ、あの一件については兄上からも釘を刺された筈―――今後はどうか、中立勢力への手出しは控えていただければと。それと一刻も早く父上自身がメンフィル帝国に説明と謝罪、賠償等をすべきです。でなければ、最悪の場合メンフィル帝国がエレボニア帝国に宣戦布告をし、そしてメンフィル帝国に宣戦布告をされた責任は全て父上……いえ、”アルバレア公爵家”が負う事に――――」

アルバレア公爵に睨まれたユーシスは静かな表情で答えた後忠告しかけたが

「―――ええい、お前ごときが口を挟むような問題ではない!お前は与えられた仕事だけを黙ってこなしていればいいのだ!」

「……出過ぎたことを言いました。(父上も兄上もわかっていない……メンフィルの強大さを。このままメンフィルと戦争になればアルバレア公爵家だけでなく、エレボニア帝国自体が滅亡するというのに何故それがわからない……!?)」

アルバレア公爵に怒鳴られ、後ろに組んだ両手の拳を握りしめて唇を噛みしめながらアルバレア公爵に謝罪した。



「……とにかく手を考えねばなるまい。いつまでも、あの気取ったうつけ者に”総主宰”を名乗らせておけるものか。今後のルーファスの立ち回らせ方も改めて考えておく必要があるな……」

「…………………………」

考え込みながら独り言を呟くアルバレア公爵を見たくないかのようにユーシスは目を伏せて黙り込んでいた。



リィン達がバリアハートに到着したその頃、リベール国王アリシア女王、クローディア姫、護衛にカシウス准将とユリア准佐を控えさせ、メンフィル帝国の皇族達――――リウイと現メンフィル皇帝シルヴァン・マーシルンとある会談をしていた……… 
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