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Blue Rose

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第三話 変わらない声その六

「八条大学の病院は日本の医学界の中では異端なところがあって」
「そうだったんだ」
「その分権威主義とも離れてるの」
 医学界の中で異端なこともあってというのだ。
「有り難いことにね」
「それいいことだね」
「運営している八条グループの総帥さんがそういうことを嫌うから」
「権威主義とか」
「学問においてのね」
 それ故にというのだ。
「学者の世界は汚いのよ」
「えっ、そうなんだ」
「そうよ、医学界もそうでね」
 優子のいるその世界、権威主義に満ちたそこから話すのだった。
「教育も経済も歴史もね」
「学校の先生の世界もなんだね」
「だからとんでもない先生が多いのよ」
 戦後日本の教育の世界にはだ、日教組の影響が多分にあるのであろうがとかく異常な教師が多いのが現実である。
「あの世界もね」
「だから生徒に暴力を振るう先生も多いんだね」
「暴力を振るっても守られるし」
「同じとんでもない先生に?」
「そう、とんでもない先生が偉い人になってね」 
 即ち権力を行使出来る立場に就いてだ、腐敗した輩が権力の座に就いた時腐敗は進展することは言うまでもない。
「同じ様な人を守るからね」
「そうした先生が減らないのね」
「そうよ、学者の世界は学問の実績よりもね」 
 医学界のことを第一に考えそこから他の学問のことを思いつつだ、優子はさらに話した。
「権力を得ていくかなのよ」
「実績よりもなんだ」
「医学の世界でもなのよ」
「腕のいい先生、指導力のある先生がよくなっていかないんだ」
「全然よ、権力を得ることが目的でそうなりたい人がね」 
 即ち権力志向だけの輩がというのだ、医者としての実力も医学者としての実績も何もない様な腐った輩がだ。
「偉くなる世界なのよ」
「酷い世界なんだね」
「ドリトル先生おられるでしょ」
 優子はある人物の名前も出した。
「八条大学の医学部に」
「あのいつも沢山の生きものと一緒にいる人だよね」
「そう、外国から来た人ね」
「確かあの人イギリス人だよね」
「そうよ、国籍はね」
「あの人凄くいい人らしいね」
「医学だけでなく色々な学問を学んでいて論文を出しているのよ」
 その人のことをだ、優子は弟に話していった。
「とてもいい人でもあるけれど」
「日本の医学界だとなんだ」
「絶対に偉くなれないわ」
 それこそ、という言葉だった。
「何があってもね」
「そうした権力への興味がないから」
「そうよ、権力志向じゃないと」
 それこそというのだ。
「偉くなれないのよ」
「学者としてどうかよりも」
「偉くなろうと思って偉くなれる技術を持っているのか」
「そんな人が偉くなって何をするかっていうと」
「決まってるわ、やりたいことをやるのよ」
 手に入れたその権力でというのだ。
「その人それぞれでやりたいことは違ってもね」
「汚職とかだね」
「そんな話なんて普通よ」
 医学界ではというのだ。
「本当にね」
「凄く嫌な世界なんだね」
「だから八条グループの人達、特に総帥さんがね」 
 グループの総責任者である彼がというのだ。 
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