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おぢばにおかえり

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第二十二話 最初の卒業式その五

「まあそうならなかったら詰所になるわね」
「潤ちゃん詰所だったら通学大変そうね」
 佐野先輩が仰いました。詰所は大教会ごとにあってそれぞれ場所が違います。私の所属の奥華は学校からも神殿からも近いいい場所にありますけれど全ての詰所がそこにあるとは限らないのです。中には天理駅の向こう側にある詰所もあります。高井先輩のところがそうです。
「特に雨の時なんかは」
「そうなのよ、それなのよ」
 高井先輩は困った顔でそのことを仰います。
「だから寮がいいんだけれど詰所は慣れてるしね」
「そうそう、詰所っていいわよね」
 佐野先輩も笑顔で仰います。
「気楽にいけるしね」
「第二の家みたいなものだから。けれど」
 高井先輩のぼやきは続きます。
「遠いのよね。困ったわ」
「それが問題なんですか」
「アパートなんて必要ないし」
 ここれが天理大学のいいところです。泊まる場所は一杯あるのでわざわざアパートを借りる必要はないんです。寮だってありますし詰所だってありますから。
「どちらにするか。それが問題なのよ」
「私は詰所だけれど」
「私も」
 佐野先輩と長池先輩は詰所みたいです。
「けれど潤ちゃんはなのね」
「どうなるのかしら」
「とりあえずもう少し考えるわ」
 高井先輩は考え込む顔で答えられました。
「もう少しね。さて、と」
 ここで話が変わりました。
「荷物は運ばないとね」
「詰所にとりあえずに」
「そうね。まずは詰所ね」 
 やっぱり詰所でした。私達が寮を出たらやっぱり最初に向かうのはそこです。
「そこに置かせてもらってね」
「じゃあやっぱり詰所かしら」
「そこのところはよく考えて」
 長池先輩が優しく高井先輩にお声をかけられました。
「学校生活にかなり影響するからね」
「ええ。それにしても」
 また話が変わりました。
「大学生になったらね」
「そう、大学生になったら」
「おおっぴらに飲めるわよね」
「それが楽しみよね」
「そうそう」
 何のお話をされているのか最初はわかりませんでした。こういうところに関しては私はぼんやりとしているんでしょうか。自覚はないですけれど。
「お酒がねえ」
「これからは堂々と飲めるのがいいわよね」
「堂々って」
 今の先輩達の御言葉にはかなり思うところがありました。そのせいで私の顔もかなり強張ったものになっていたと自覚しています。
「それは幾ら何でも。それに」
「何か悪いところがあるの?」
「お酒位はねえ」
「それって駄目ですよ」
 その強張った顔で先輩達に言いました。
「お酒は未成年は」
「だから大学生になってからじゃない」
「ねえ」
 佐野先輩と高井先輩が顔を見合わせて言い合います。
「お酒を飲むのはね」
「おおっぴらにはね」
「それにおおっぴらにって」
 ここも私にとっては思うところがかなりある部分でした。 
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