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おぢばにおかえり

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第二十二話 最初の卒業式その四

「そうです」
「何かそれを聞くとお姫様みたいね」
「お姫様ですか?」
「それか特撮もののヒロインね」
 そう言われても反論できませんでした。
「ちっちは」
「ヒロインですか」
「悪くないでしょ」
 これまた先輩の清らかで優しげな笑顔でした。
「それも何か」
「いやなの?」
「何かすぐに捕まったりしそうじゃないですか」
 中には一度か二度死んだりとか最期は冗談抜きに悲惨な結末とか。特撮のヒロイン、とりわけ最近の仮面ライダーはそんなのが多いような気がします。ですから。
「やっぱり普通がいいですね」
「普通がいいのね」
「韓流ドラマみたいなのでもなくて」
 これもかなり有り得ないストーリーばかりだと思います。一回見たらついつい見てしまうっていうのは特撮と同じですけれど。
「本当に普通の出会いがしたいんですけれど」
「ちっちってそういうところは大人しいのね」
「別に凄い人や変わった人とお付き合いしたくないですし」
 それでもプロレスラーの人や格闘家の人は好きだったりします。昔のプロレスラーでいいますとハルク=ホーガンさんが大好きでした。アントニオ猪木さんもです。
「やっぱり普通のお引き寄せがいいです」
「お引き寄せも色々だからね」
「私は」
「けれどちっち」
 先輩は少し諭すような顔になりました。それでまた私に言うのでした。
「お引き寄せは親神様の思し召しだから」
「誰と出会うかは私達はわからないのですね」
「そうよ。それにそれは絶対に悪いことじゃないから」
 これは子供の頃にお母さんに言われたこともあります。
「その時は嫌な思いをしても後でそれは変わったりするから」
「それは聞いていますけれど」
「だから。誰と出会っても悪いと思わないのよ」
 こう言われました。
「わかったわね。それは」
「はい、まあ」
「わかったら行きましょう」
 静かに微笑んで私に声をかけてくれました。
「いいわね。二人でね」
「はい。二人で」
「まずは神殿にね」
 天理高校での生活はまずは寮からはじまってそれから神殿にです。東寮を出て少し歩いたら神殿です。そこまでの道も今では日常のものです。
「行きましょう」
「先輩と一緒に登校するのもこれが最後ですね」
「そうね。高校ではね」
「はい」
 それは最後になります。今まで何度も一緒に参拝させてもらいましたけれどそれも高校では今日が最後です。明日からは別々になります。
「最後に。行きましょう」
「わかりました」
 こうして私達はまずは一緒に神殿に行ってそれから一年と三年に別れて登校して。それから晴れて卒業式となったのでした。
 式は無事終わり三年の人達は参拝されてそれが終わって寮に帰ると。もう先輩達が寮から出られる時になりました。荷物はもう整っていました。
「ちっち、またね」
「大学で会おうね」
「大学で、ですか」
「何か嫌?」
「っていうか私達大学にいるし」
 先輩達は笑いながら仰いました。
「会うのはそこになるじゃない」
「それか寮よね」
「寮におられるんですか?」
「そこはまだよくわからないのが実際だけれど」
 お答えする高井先輩のお顔は少しぼんやりとした感じになっていました。 
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