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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第37話 SBS団始動!そんでもって席替え

「ふあ〜」

「相変わらず眠そうだね」

「誰かさんのせいで日中の俺の睡眠時間は完璧に消えてしまったからね………」

「ということはフェリアちゃんはちゃんと出来たんだね。ありがとね」

「私も零治のために治すべきだと思ってたところだ。これくらいならいくらでも協力するぞ」

この悪魔め!!
違った、魔王だ…………

「反省してない…………?」

「ごめんなさい…………」

なのはに逆らうとろくなことにならないからな………

「みんな!!」
「フェイトか?そんなにあわててどうした?」
「廊下、廊下を見て!!」

慌ててきたフェイトに言われ、俺たちは廊下を見る。
すると廊下にバカを筆頭に男達が順番に並んで歩いており、皆、胸のポケットにバッチみたいなものをつけていた。
そしてバカが一人、クラスに入ってきて俺の所に向かってきた。

「見ろ!!このバッジ、イカスだろ!!」

そう言って胸につけているバッジを見せびらかせてくる。
そのバッジは大きい文字でSBSと書かれている。

「なんだこれ?」

「このマークこそ、我が聖祥美少女親衛隊だ!!」

「だからSBSか」
「単純だな」

「単純な方が分かりやすいだろ、フェリ「イーグレイ」フェ「イーグレイ」フ「イーグレイ」…………イーグレイ」

「そうだな、確かに覚えやすい」

満足そうに頷くフェリア。
そんなに名前で呼ばれるのが嫌なのか…………

「団員は内のクラスで12名がSBS団だ。しかもこれからも人数は増えていくだろう」

暇な奴っていうか、馬鹿な奴が多いなこの学校。

「で、それがどうしたんだ?」

「……………宣戦布告さ」

「宣戦布告?」

「これからは俺達SBS団がお前を容赦しない、覚悟しろって事を言いに来たのさ」

「ふーん」

まあ、どうぞお好きに。

「ではこれから集会なので、失礼するよ」

そう言い残してバカは団員の元へ帰って行った………

「面倒な事になりそうだね………」
「主に俺がな………」

頭が痛いぜ…………

「ちょっと!!一体何があったのよ!?あのバカが多くの男子とどこかへ行ったわよ!!」

帰ってきたアリサが早々に聞いてきた。
一緒にいたすずかと加奈も事情をよく知らないのだろう。
俺たちはさっきの出来事を簡潔に説明した………





「大変やな零治君」

「なんでかな…………」

ニヤニヤしながら言うはやて。
昼休み、俺ははやてと一緒に飲み物を買いに行っていた。

「日頃の行いが悪いせいやで」

「たまにはやて達があいつらと話してやれば解決のような気がする」

「嫌や、気持ち悪いもん」

それは分かるな。
あんなに男子が固まっていたら逆に話しかけづらいし、あそこに混ざりたくないよな…………

「となると俺が頑張るしかないか………」

「………なぁ?」

「ん?」

「私たちが零治君に話しかけなければ問題ないんやないか?」

「う〜ん、まああいつはお前たちが俺の所ばかりに集まってるのが気に入らないのもあるだろうけど………」

「私達近づかんようにしよか?」

「今更変わんないだろ………それに、お前たちがいないとつまんないしな」

「そうやろか?」

「だからあまり気にしなくて良いと思うぞ、好きにすればいい」

「………ありがとな」

といい感じに話していると………



「見たか?」

「ああ、見た」

「あそこだけ空気がストロベリーだ」

「ストロベリーだな」

「甘酸っぱいな」

「あれって許されるのか?」

「いや許せないよな」

「相手はたぬきのはやてさんだぜ」

「たぬきのはやてさんだな」

「殺るか?」

「ああ、殺ろうか」

「「「「SBS団始動!!」」」」



いきなり俺達の周りを4人の男子が囲む。
頭には黒い布を被せ誰だかは分からない。
俗に言う変態だが、どうせ神崎組の奴らだろう。

「なんなんや!?この犯罪予備軍は!!」

「「「「我らはSBS団!!」」」」

「やっぱり……………」

「「「「たぬきのはやてさんをたぶらかす有栖零治に死を!!」」」」

「誰がたぬきや!!」

「「「「有栖零治、死ね!!」」」」

4人一斉に襲いかかって来た。

「こっちにははやてがいるんだぞ!!」

俺ははやてを庇いながら4人の脇を抜ける。

「くそっ逃すな!!」

「はやて!先に戻っていてくれ!!」

「あっ零治君!!」

俺はははやてをそのまま放置して廊下を走って行った。

「待て!!」

はやてを気にせず4人も俺を追ってくる。
その後も結局逃げ回る事になり、昼休みは追いかけっこで終わる事になった。





「ふぅ、疲れた………」
「お疲れ様、はやてちゃんから聞いたよ」

隣に座っているなのはが授業中に聞いてきた。

「ああ、あいつら体力ないくせにしつこいからな………」

実際撒くのは簡単だったが、ずっと探し回っていたため逃げ切るのに昼休みを全部使う羽目になった。

「でも、本当に困ったものだね。みんなに迷惑かけるなんて…………」

ちょっと黒いオーラが出ているような気がするけど、大丈夫か?
俺はなのはの黒いオーラにソワソワしながら授業を受けたのだった…………




「さあこれから席替えを始めるわよ!!」

6月の中旬に入って席替えになった。

本当はテストが終わってすぐにやるクラスが多いのだが、シャイデが忘れていたため、テストが終わって2週間ぐらいたってやることになったのだ。

「席替えだね…………」

「俺はここの席気に入ってたんだけどな………」

「えっ!?それって………」

「やっぱりこの席って居心地よかったからな。なんとか前の席だけは避けないと………」

「零治君、歯を食いしばってね………」

広辞苑を構えるなのはさん。

「何故!?」

「そこの二人!!仲良くしてないで、席替え始めるわよ!!」

シャイデのおかげで、俺は意識を飛ばすような事は無かった。
なのはが睨んでて怖いけど………




「やっと俺だな」

シャイデの気分で決まった順番はちょうど中間になった。

「番号は…………25か」

前と同じクジなのだが、今回は引いた番号をそのまま持ち、皆が引き終わってからシャイデがてきとうに番号を書くという、シャイデが好き勝手する席替えになった。

「さて俺の席は…………」

俺の番号を探すと、

「おっしゃああああ!!!!また同じ席だ!!!!」

見事同じ席を引き当てた俺。

「あっ私の隣だね」

そう言ったのはフェイト。
今回はフェイトが隣らしい。

「なのはみたいに起こさないなら大歓迎だ」

「えっと、考えておくね」

そこは肯定して欲しかった………

「まあ、私がさせないから大丈夫よ」

言ったのはアリサ。
どうやらアリサが俺の前らしい。

「また固まってるね」

「なんかイカサマしてないやろな?」

「「「そうだそうだ!」」」

「「「イカサマだ!!」」」

神崎組が何か言っている。
神崎組は神崎組で固まってるみたいだ。

だが…………

「何で私だけ…………」

その中になのはの名前があった………………




結果として、

俺、アリサ、フェイトが俺の前と隣。
すずか、はやて、それとフェリアがフェイトの隣の列で固まっている。

そしてなのはだけが…………

「私、これからはずっとミッドにいるね…………」
「俺ばっか殴ってる罰だな」

ちょうど神崎組に囲まれる位置に座っていた。
席替えも終わり、皆いつも通り俺の所に集まっていた。

皆、思うことがあるのかやはり席替えの話だ。
主になのはが………

「もういきなり、「おしおき待ってるから」とか「なのはさんハァハァ」とか言ってたんだよ………」

「取り敢えず訴えたほうが良いと思うぞ」

なのは大丈夫か?

「フェイトちゃん、席を………」

「交換しないからね」

「うう、フェイトちゃんが冷たい………」

「そりゃそうだろ…………」

俺だってあの席は嫌だわ。

「やぁ、なのは!!」

そこにバカがやってくる。

「近くの席になれたね。これからよろしく」
「う、うん」

なのは、引いてるな。
そんな時………

「どいて」

後ろから回し蹴りを食らったバカがそのままロッカーに沈む。

「みんな席替えどうだった?」

回し蹴りを決めたのは加奈だった。
後ろから桐谷も付いている。

「相変わらず、凄まじい蹴りだな」
「フェリア、邪魔な変態がいたから駆除しただけよ。むしろ感謝されたいくらいだわ」
「ありがとう加奈ちゃん」

マジで拝んでるなのは。

「なのは、流石にそれは…………」
「いいんじゃないの?これくらいは許してあげなさい」

あれ?フェイトの言ってることの方が正しいはずなのにアリサの注意の方が正しいと思える俺っておかしいのかな………

「一体どうしたんだ?なのはの様子がおかしいんだが………」
「それはな………」

加奈と桐谷に今回の席替えの結果となのはの事を話した………





「なるほどね、それは確かに身の危険を感じるわね………」

腕を組んで考える加奈。
しばらくして…………

「分かったわ、私に任せて」

そう言って未だに起きないバカに近づいた。

「ちょっと、起きなさい!!」

蹴りを腹に入れ、無理やりバカを起こす。
えげつない……………

「ゲホッ、ゲホッ………」

「加奈流石にそれは…………」

「兄さんくらいタフだから大丈夫よ。それより…………」

そう言ってバカに近づき髪を掴んだ。

「な、何をするんだい?加奈」

「何勝手に人の名前を言ってるのよ、キモイから名前で呼ばないで。次呼んだらこのバリカンでそのうざったい銀髪さっぱりさせるわよ」

懐からバリカンを出し、起動させる加奈。
ヤバイ、目がマジになってる…………

「わ、わかったからそのバリカンを止めてくれ佐藤」
「分かればいいのよ」

バリカンを止めるが、髪は離さない。

「悪いが髪も離して欲しいのだが…………」

「だったら私の話を聞きなさい。あなたSBS団とかくだらない集団のトップよね」

「ああ、そうだが、くだらなくはないぞ!!このSBS団はな…………」

「誰が口答えしていいと言ったかしら?」

そう言って再びバリカンを起動する加奈。

そしてバリカンを髪へ…………

「待て待て待て!!悪かったからバリカンを止めてくれ!!」

自慢の髪なのか止めるのに必死になってる。

「ったく、でね、なのははあなたの団員とあなたに大いに迷惑してるの。だからこれからはむやみに話しかけないでね」

「なっ!?せっかく近くになれたのに…………分かった!!気をつけるからバリカンには!!」

「気をつけるじゃ駄目ね」

「分かった!!むやみに話しかけないから、もう止めてくれ!!」

それを聞いて満足したのか、寸前まで近づけていたバリカンを髪から離す加奈。

「分かってると思うけど、団員にもちゃんと言い聞かせなさい。スッキリしたくなければね…………」

「わ、分かりました…………」

来た時の陽気さを全く感じないほど小さくなっている。





「恐ろしいなお前の妹は…………」

「今までの態度が気に入らなかったから、我慢していたものを一気に開放したんだろうな………」

「凄いね…………」

「零治君、桐谷君、よく今まで無事だったね」

「「無事じゃ無いよ…………」」

「やばかったんか!?」

それはもう…………
桐谷も俺もずいぶん大変な目にあったからな。

「なんで俺の周りの女の子は凶暴な女の子ばかりなんだろうな…………」

「美しいバラにも刺があるってことじゃないのか?」

「刺よりも爆弾とかそれくらいの威力はあると思う…………」

「それって誰のことを言ってるのかな?二人とも…………」

「そりゃ………」

「なのはとアリサと加奈の3人に決まって………」

そこまで言った俺と桐谷の口が止まる。

「覚悟は出来てるでしょうね………」

「二人ともオハナシなの…………」

「ちょっ!?俺は零治じゃないからシャレにならないって!!」
「おまっ!?一人だけ逃がすか!!親友だろうが!!」
「ふざけんな!!お前と違って俺は繊細なんだよ!!」
「俺の方が繊細なんだよ!!」

ドガッ!!

「二人ともうるさい………」

広辞苑を持ち、それを2人の頭に落とした。

「うわっ…………」

「かなり鈍い音が響いたな」

「痛そうだね………」

結局俺と桐谷は連れていかれ、後はいつもの通りになった………
でもこれでSBS団も好き勝手は出来ないだろう。
SBS団のこれからが少し気になりながらも、困ったら加奈に頼めばいいかと違う所で安心した零治だった………

「安心…………じゃねえよ…………」
「心を読むな…………」

ボロボロになりながら俺と桐谷は言ったのだった………






次の日…………

「見事に静かだな」

なのはの周りにいる神崎組改めSBS団は静かにしていた。
なのはは居心地が悪そうだったが、幾分マシだろう………

「これなら大丈夫かな」

「ああ。加奈のおかげだな」

やっぱり髪は大事だったみたいだな。
あのまま逆らってたらマジで坊主だったからな。

「それでね、えっと零治…………」
「ん、どうした?」
「今週の休日暇かな?」
「まあ、暇っていったら何もないけど…………」
「だったら一緒に遊園地に行って欲しいんだけど…………」
「…………………………えっ!?」

俺はしばらく返事が出来なかった………… 
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