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キズナ

作者:shoogel
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レアモンスター

 
前書き
キズナ第2話! 

 
俺は母さんと夕食を済ました後、シャワーを浴びると再び自室へと戻った。

「20時半か…。まだ早いけどログインするかな!」

俺はスマホにブレインコントローラーを装着すると、
スマホのアプリ、キズナを開きログインボタンを押す。

「よし!」

俺はブレインコントローラーを耳に付け、布団に横になり目を閉じる。

『データ読み込み中…。完了しました。ようこそキズナへ!』

俺の耳にそう響くと、俺の意識は仮想世界へと向かった。




俺が再び目を開けると、目の前は美しい緑の平原が広がっている。

「戻って来たな…。じゃあひと暴れしますか!!」

俺はそう叫ぶと、そこら辺を彷徨いているマイルドピッグに向かい剣を向ける。

「おおおッ!!」

俺は10分くらい、そこらで剣を振り回し
マイルドピッグを6体狩り、ナイトの熟練度を1上昇させる事が出来た。

ピロン!と音が響くと、ジョブという選択肢のボタンに
!が点灯した。

「ん、何だ?」

俺がジョブのボタンを開くと、ジョブスキル習得と表示される。

「ナイトガード…。ダメージを25%カットか!なかなかいいな!」

キズナのプレイヤーのHPは熟練度の上昇により、上昇していく。
俺のHPは1050だ。
ここら辺の敵はダメージを喰らっても平均50〜60ぐらいの為
1050というHPはかなり頼もしい。

「へぇ…。ジョブスキルにも熟練度があるのか。やり込み要素は結構ありそうだな」

俺がそんなこと思いながら、ジョブスキル画面を見ていると
突然女性の叫び声が響いた。

「いやぁ!助けてぇぇ!!」

俺はその声を頼りに走っていくと
そこには尻餅をついた女性と見た事のないモンスターの姿があった。

「豚の顔をした人……?」

そこには二足歩行の豚の顔をしたモンスター。
俺がターゲットを合わせると【オーク】と表示される。
Level3。オークという名前の横に金色に輝いたRの文字が表示された。

「もしかしてレアモンスター!?…って、そんなことより女性を助けねぇと!」

俺が女性の前まで走ってくると、オークは俺にターゲットの標準を合わせ
俺に向かい雄叫びを上げる。

「プギャアァァ!!」

「下品な雄叫びだな…。その声…断末魔にしてやる!」

俺は腰に付けていたノーマルソードを引き抜くと
オークに向かい、俺は剣を構える。

オークは身長180センチくらいだろうか。
175センチぐらいの俺よりも、少し大きめだ。
右手には片手斧を持っていて、左手には木の盾を装備している。

俺は腰を低く落として、オークに斬り掛かった。

「せいっ!はあァァッ!!」

俺が最初に突きを繰り出すと、オークは片手斧で払い、反撃を試みた。
しかし俺も黙ってやられる気はない。
俺は強引に剣を斬り上げると、オークの片手斧とのぶつかり合いになった。

「ぐっ…!しまった!」

しかし剣と片手斧、相性が悪かったのか俺が力負けをして
体勢を崩してしまった。

「プギャアァァァァッ!!」

ここぞとばかりにオークは俺に片手斧を振り下ろした。
グシャ!と鈍い音が響き、不快な感覚が俺を襲う。

「がァッ…!」

俺が自分の左上に表示されるHPを確認するとHPが250削られた。
HPは1050から250ダメージを受け、俺のHPは800まで削られる。

「…ッ!流石レアモンスター…、手応え半端ないな…!」

俺が立ち上がると、後ろから声が聞こえた。

「あの…私も戦います!」

その声の主は、先程の女性…。
武器は杖に見える。多分ジョブは【ウィザード】だろう。

属性攻撃と味方を援護出来る万能型だ。
しかしウィザードの弱点はHPの低さだ。
この女性のHPは半分ぐらいまで削られている。
ウィザードのHPは熟練度が上がっていないと700という低さだ。

この女性もオークの攻撃力を知らずに挑んだ結果、
痛い一発を喰らいHPを半分程削られたんだろう。

「それは助かるけど…、大丈夫か?」

「はい、精一杯援護します!」

「そうか…援護は頼んだ!」

「はいッ!」

俺は再度、オークに向かい剣を振るう。
俺の後ろ側では、女性が詠唱を開始した。

「フッ…!」

俺がオークに上段斬りで斬りかかると、オークは盾でノーマルソードを止めた。
右手の片手斧でオークが俺に斬り掛かる。

まずい!と俺が構えると、後ろから呪文が唱えられた。

「敵の時の流れを遅くして!スロウ!!」

女性の呪文が唱えられると、オークの動きが途端に遅くなり
俺は悠々を攻撃を躱し、反撃の薙ぎ払いをお見舞いする。

このスロウの効果は3秒間らしく、オークは元のスピードに戻った。

「ナイス援護!助かったぜ!」

「お役に立てて良かったです!」

今の薙ぎ払いでオークのHPは300削れて残りHPは900だ。

オークは俺に睨みつけたかと思うと、ターゲットを女性に移した。

「おいキミ!危ない下がってろ!」

俺が女性にそう叫ぶが、女性は動かない。

「おい!何やってんだ!早く下がれ!」

すると女性は呟く。

「あ、足が動かないんです…」

「な、何だって!?」

俺が女性に顔を向けると、女性は恐怖という状態異常にかかっていた。

「恐怖だって…!?」

俺たちがそんなことで揉めているうちに、オークは力を蓄えていた。

「プッギヤアァァァァァァッ!!」

「きゃぁっ!!」

「危ないッ!!」

俺は女性の前に立ち塞がり、叫ぶ。

「ナイトガード発動!」

俺の体に淡く光が灯り、ナイトガードが発動された。

オークの渾身の一撃は俺を深々と斬り裂き、俺は吹き飛ばされた。
地面に叩き付けられた俺は左上のHPゾーンを見ながら安堵した。

俺のHPは残り200…。
つまり600喰らった訳だが、あの時もしもナイトガードを使っていなかったら
800ダメージ…。つまりHP全損だった訳だ。

「ナイトガードのお陰で助かったぜ…」

ナイトガードの効果は一度の攻撃を受けると解除されるが
それでもこの効果は本当に助かる。

「大丈夫ですか!?」

そう心配そうに声を掛けた女性は、もう恐怖は解けていた。

「ああ、平気だ…それよりあいつをどうやって倒すかだな…」

俺はふと思ったことを口に出す。

「なあ、さっき相手の動きが遅くなる呪文使ったよな?」

「はい、そうです」

「なら味方の動きが速くなる呪文はないのか?」

「あ、ありますけど…、効果は3秒間ですよ?」

俺は女性に向けて、親指を立てた手を向ける。

「十分だ!タイミングは俺が指示する、指示があったら発動させてくれ!!」

俺はそう言い残すと、オークに向かい挑発する。

「ほら来いよ…、その醜いツラ叩き斬ってやるよ!」

俺は距離を取りオークの攻撃を避けつつ、確実に攻撃を当てていく。

「喰らえッ!」

俺の斬り上げがモロに直撃したオークは大きく体勢を崩した。

「今だッ!」

「はいッ!」

女性は唱えていた詠唱を終えると、俺に向かい呪文を唱える。

「仲間に高速の時の流れをッ!クイック!!」

女性が唱えたクイックが俺に掛かり、俺は体感したことのない
身体の軽さを感じた。

足を踏み出すと、自分の身体がまるで自分の身体ではないと疑う程
高速の動きが生み出される。

「らあァァァァァッ!!」

クイックの効果で約2倍動きが加速している俺はハイスピードで剣を振るう。

オークのHPが残り300を切ると、俺は剣に力を込め
ジョブスキルを繰り出す。

「終わりだァッ!クロスエイジッ!」

俺が放ったクロスエイジは最初から習得していたもので
右からの斬り下ろしから、続けて左からの斬り下ろしを放つ2連撃の技だ。

俺の渾身の2連撃を受けたオークはプギイャァァァァッ!と断末魔を上げると
硬直しそのまま青いポリゴンへと姿を変え、爆散した。

直後俺の視界に大量のジョブポイントが加算される。
今回の戦いで俺のナイトの熟練度は3まで上昇し、HPは1200になった。

さらに俺の視界に新たな画面が広がる。
【モンスタードロップ】オークの皮。バックラー。

俺はそのモンスタードロップを確認すると、すぐさま装備を開き
左手にバックラーを装備した。

「やっと手に入った盾!ナイトで盾なしは格好がつかないからな!」

俺が興奮していると、隣に声を掛けられた。

「あ、あの。た、助かりました、ありがとうございました!」

女性に深々と頭を下げられ、俺は顔を上げるように言うと
やっと顔を上げた。

「いや、俺も助かったよ…。キミが居なかったら俺も殺られていた…。そうだキミの名前は?俺はサクマ。見ての通りジョブはナイトだ」

「あ、紹介遅れました!私はカレンって言います。ジョブはウィザードです。サクマさん良かったらフレンドになりませんか?」

「ん、フレンド?ああ、いいよ」

俺はそう言うとカレンから送られてきたフレンド申請を承認してフレンドになった。

「ありがとうございます!よかったぁ…私の友達でこのゲームやっている人居なくって…」

カレンは女性にしては少々高めな身長で160センチはあると思われる。
茶色のショートカットの髪を触りながら、カレンは言葉を続ける。

「同年代の人と友達になれて良かったです!」

俺はそんな事を話すカレンに、俺は声を掛ける。

「ならもう一人、友達作らないか?俺の友人を紹介してやるよ」

俺はメニューウィンドウの時刻を確認すると、歩き始める。

「ほら来いよ。友人がお待ちかねだ」

俺はカレンを連れて、さっきログアウトした場所に向かうのだった。 
 

 
後書き
キズナ第2話でした! 
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