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キズナ

作者:shoogel
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仮想世界

 
前書き
仮想世界での物語 

 
俺はここで友人と待ち合わせしている。
かれこれ10分ここに居るが友人が現れる気配が無い。

「あれぇ?まだ来ないのか?」

俺が呟いた瞬間に目の前に、黄色い光が灯った。

「ごめんごめん!待たせた蓮司?」

「たりまえだろっ!何分待ったと思ってんだ!」

目の前に現れたには、気が弱いが俺の中学からの友人の羽柴 遊だ。

今回俺たちが集まったのは、現実世界ではなくて
今日から正式リリースされた、【キズナ】という仮想世界に集まった。

紹介が遅れたが俺は、如月 蓮司。
このゲームを待ちに待っていた1人だ。

「でも、学校のせいでリリース開始時間から2時間遅れちゃったね」

「だな。今は17時か…。取り敢えずこの場所から移動して、近くの街かなんかに行こうぜ」

俺たちはここの場所を移動しながら、このゲームの簡単な内容を話しながら、歩いていく。

「このゲームは4つのエリアに分かれてて、ここはその4つのエリアに挟まれている、初心者のエリアだ」

「で、この初心者エリアの街に転移石が置いてあって、そこから違うエリアに転移出来るって訳だね」

「ああ。そしてそこで自分のジョブとキャラ設定する訳だ。って、んなことを話してるうちに街に着いたな」




俺たちが顔を上げると、まるでコロシアムを髣髴させるような街が目に入った。

「ここが初心者エリアの街?製作者いい趣味してるね」

「いや、そうかぁ?」

そんな話をしながら、俺と遊が街に踏み入れると
街の受付のところの女性に声を掛けられた。

「御二方は、設定所にお向かいですか?」

「は、はい。綺麗な人だね蓮司!」

「バーカ。こりゃNPCだよ」

「えっ!そうなの!?凄いなぁ、今の技術って…」

(まあ遊が驚くのも無理ないな。カーソルの表示が無けりゃ、俺も気付かなかっただろうし…)

「受付はこちらです。こちらの転移石から受付に行き先を設定して転移されて下さい」

「ありがとうございます。行くぞ遊」

「あっ、うん!」

俺たちは転移石に近づくと、目の前に行き先指定の確認ボタンが現れた。

「行き先は…受付っと!」

俺が確認ボタンを押し、受付へ行き先を設定すると、俺たちは黄色い光に覆われた。

『転移まで3…2…1…転移開始します』

そのアナウンスと同時に転移が開始され、瞬く間に目の前の景色が変わる。

「到着…!」

「やっぱり凄いよね!この技術!」

「さっさとキャラ設定とジョブ設定しに行くぞ!」

受付でそれぞれ別々の個室に入った俺たち。
それから20分ほど設定をして俺たちは受付を出た。

俺が選んだジョブは【ナイト】だ。
キャラネームは【サクマ】。
選んだ理由は単純で防御に特化しているからだ。
装備出来る武器は、剣と槍。

そして戦いを重ねる度に加算されるジョブポイント…。
つまりは熟練度を上げることによって、上位ジョブにジョブチェンジが行える。

自分でも防御に特化していると言っているが、このジョブも火力がある為
前線でも戦いやすいだろう。

「ジョブも設定したし行こっか!次のエリア!」

そう話す遊のジョブは【エンハンサー】だ。
キャラネームは【ユウ】。
装備出来るのは、剣と短剣。

ジョブスキルや敵や味方の状態を操り、戦闘を有利に進めやすく出来る特殊なジョブだ。

「そうだな、次のエリアに転移するか」

お互いのジョブの確認とキャラネーム確認が終わった俺は
ジョブ設定時に配布された初期武器ノーマルソードを身に付けた。

「本当に初期武器!って感じだな。特に名前…」

「サクマ!この初期武器変だよ!?」

俺がユウに近ずくと、そこには(かんざし)を持ったユウの姿があった。

「なんで簪?」

「いや初期武器の短剣を装備したら簪だった…」

「くくくっ…!お前は必殺仕事人か!良く似合ってる!」

「それ馬鹿にしてるよね!」






『行き先を設定して下さい』

新しい行き先が増えているのを確認すると俺は呟く。

「風の街【シルフ】か…。妖精の名前が街の名前か。他の3つエリアも妖精の名前かもな」

「風の街かぁ!なんかワクワクするね!」

「珍しく気が合うな、俺も今ワクワクしてるんだ!」

「行こうサクマ!新しいエリアへ!」

「ああ!!」

俺はこの気持ちの高揚に身を任せ、その勢いのまま行き先確認を押した。

『転移まで3…2…1…転移を開始します』

俺たちの視界を奪った黄色い光が治まる頃、俺たちの髪を優しい風が吹き抜けた。

「気持ちいい風…。ここがシルフか」

「うん、緑も多くて気持ちがいいところだね」

俺たちを迎えたのは、優しい風と美しい緑だった。
そして至る所に他のプレイヤーの姿が見える。

「結構いるな。俺たちも行くか!」

俺たちは緑に覆われた平野を駆けていると、目の前に青い光が現れた。
そこから姿を現したのは、この仮想世界初めてのモンスター。
豚型のモンスター【マイルドピッグ】がホップした。
ターゲットを合わせると、Level1と表示される。

「へへっ!弱そうだけど…ユウ!初バトルと行きますか!!」

「OKサクマ!」

俺はノーマルソード、ユウは簪を構えると
モンスターのマイルドピッグもこちらに気付き、前脚を動かし突進の構えをとった。

「ユウ突進来る!」

「わかった!」

俺たちがマイルドピッグから距離をとった瞬間、突進が来て俺たちの間を突き抜けて来る。
突進の反動か動きが止まった瞬間は逃さなかった。

「ユウ今だ!」

「うん!」

最初にユウがマイルドピッグに斬り込み、簪でマイルドピッグの腹を切り裂き
マイルドピッグから赤いポリゴンが飛び散りHPを3分の1程削る。

ピギィ!と悲鳴を上げて動きが、鈍くなったマイルドピッグに
俺は止めとばかりに、剣に力を込め斬りおろした。

ズシャ!と鈍い音と共に、俺の手に剣を通じて確かな手応えが襲う。
俺の一撃で吹き飛んだマイルドピッグはみるみるHPを奪われ
パリーン!と派手な爆散音と共に消滅した。

すると俺の視界にジョブポイントの経験値の取得ポイントが表示された。
このゲーム【キズナ】はプレイヤーはLevel制では無く
ジョブの熟練度次第でステータスが大きく変わる為
一つのジョブを極める者、それぞれのジョブを均等に上げて
万能型としてプレイする者。プレイヤーの自由に極められるのも、このゲームの魅力だろう。

「ナイス連携だったね!」

「ああ!簪も馬鹿に出来ないな!」

「まだそれを言うか…」

ユウが少し拗ねた顔で、メニューのウィンドウを開くと、少々焦ったように話す。

「もう19時過ぎてる!親に夜ご飯には戻るように言われてたんだった!!」

ユウは俺にごめんと手を合わせると、さらに言葉を続ける。

「先にログアウトするね!また後からログインするよ!」

「俺も飯食べようかと思ってたから、俺もログアウトするよ」

「わかった!多分、次のログインは21時ぐらいかも!」

「俺もそのくらいかな?それじゃ後でな」

ユウがログアウトしたのを確認すると、俺もメニューを開き
ログアウトボタンを押した。

『セーブしています……。完了しました。ログアウトします』

最後にそうアナウンスが響き、俺の意識は仮想世界から離れた。





「ふう……」

俺は耳に付けていたイヤホン型端末【ブレインコントローラー】を
スマホから外すと、スマホのアプリを確認する。

「キズナ…か。スマホのアプリもここまで進化するなんてな」

このゲーム【キズナ】はスマホのアプリとして初めての仮想世界を生み出した。
このイヤホン型端末ブレインコントローラーと端末同士を接続させることで
ブレインコントローラーにより、脳内の感覚器官に刺激を与え
ゲーム内での、温度や風などを伝えているらしい。
ブレインコントローラーを接続している、スマホは
その仮想世界での体験…、経験などをブレインコントローラーと通して
スマホにデータを保存している。

「蓮司ー!ご飯よ〜!」

すると、俺の居る二階に一階から、母さんの声が響く。

「ああ!今行くよ!」

俺は急いで身の周りを軽く片付けると、一階に降りていった。 
 

 
後書き
キズナ初投稿でした!
これからよろしくお願いします! 
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