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俺が愛した幻想郷

作者:茅島裕
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俺は愛せる? 幻想郷...
甘い香りは理解力を活性化させる
  第二十五話 お泊まり会ってこんな感じ? お風呂の乱

 
前書き
マイコプラズマ肺炎で咳をやられていたどうもうp主妹紅です。
そして治ってきたと思ったら普通の風邪になって鼻水啜りながらのどうもうp主妹紅です。

いやはや、楽しくなって参りました俺愛(俺の愛した幻想郷)。
お泊まり会と言ったら恒例のネタを幾つかぶち込んでみたのですが… かなり長くなってしまいそうなので二話に分けることになりました… もしかしたら三話になるかも…

ま、まぁ、こんな裏話はさておき、ちょっと前に出てきた飴を食べていった女の子。あの子の詳細が気になる方も多いと思います。大丈夫です、"そのうち"出てきますから。
設定を無駄にしたくないので、必ず出てきます。


今回は前置きがちょっと長いですね……
もっと長いときもあったから良しとしましょう。



本編、どぞ。 

 
「あぁ〜… つっかれたぁ…」

湯気さんの最も活躍する場所に居る、と言えば一目瞭然…いいや、この場合"一聞"瞭然かな。
ぬるくもない、熱くもない、絶妙な温度の丁度いい湯を顔にパシャパシャとかけて一息吐く。

顔を上にして目を瞑れば、今日あった出来事がフラッシュバックする。ルーミアに会って、驚かされて、博麗神社で魔理沙と弾幕ごっこ。我ながらあの戦い方はよく考えた方だと思っている。

朝、口の中に穴空いてたよな… 俺の回復力が異常なのか、直ぐに穴は塞がってたけど。

その流れで、ふと昨日の出来事を思い出す。

「そういや… あの子何処行ったんだろ…」

あの子… 俺の飴ちゃんを根こそぎ食っていった憎いやつ……おっと、素が出てしまった。
あの黄色い髪の少女は一体何処へ消えて行ったのやら…
藍さんの言動からして彼女は式神なのだろう。それも俺に言うということは俺の式神ということ…

「まぁ、またそのうち現れんだろ」

突然と始まった博麗神社お泊まり会だが、一応、紫にも許可は取った。ただ、あのときの紫は何処か雰囲気が違っていた…
なんだろう、悲しそうと言えばそうだし、怒っているようにも見えた。単に俺のことに対して怒っているのか、俺が帰ってこないことが寂しいのか…
あるいは何かを伝えたいけど伝えられない…

「考えすぎだな」

そう、考えすぎ。ただ単に、居候の身の俺が勝手なことを言ってムッとしただけだろう。あとでちゃんと謝ろう。

「さっきから何をぶつぶつと独り言言ってるんですか?」

その声が、俺の耳に届いて、尚且つ記憶の中からの処理を終わらせるのには少々時間がかかった。つまりこう言うことだ、

「いやぁ〜ね。物事はあんま深く考えない方がいいな〜って思って…………って、あ?」

湯気さんに隠れて姿こそ見えないが、声の持ち主を… その見えない誰かを俺は知っている…

「なんで博麗ちゃんいるんだよっ!?」

湯気さんに隠れて見えないものの、反射的に身構えてしまう。橙にはちょいと失礼だが、橙は俺の中ではただのお子様である。それに対し博麗ちゃんもとい博麗霊は物心のついたちゃんとした女の子という認識で成り立っている。
俗に言う、混浴だ。

「俗でもなんでもねぇ…こりゃ本物だ…」

手で顔を覆って、残念な気持ちを大きく出して、自分の考えに対し訂正を口にした。

「何がですか?」

「っ!?」

普段の自分ならしないような同様だ… かなりの勢いで身体を跳ねてしまった。そりゃそうだ… 声がめちゃくちゃ近くにあるのだから…
ああ、もっと具体的に言おう、耳元だ……!!

「びっくりしたなぁ… いきなりなんですかぁ」

「こっ、ここ、こっちのセリフだよっ!」

見なくてもわかる、博麗ちゃんは今、頭を傾げているはずだ。何をこの人はこんなに慌てているんだろう、と。

な、なんだ? この幻想郷という世界はっ…… ないのか!? 男女を差別するような仕来りはっ!?

「な、なぁ博麗ちゃん?」

「なんですかぁ〜?」

パチャパチャと何やらお湯で遊んでいる博麗ちゃんに質問する。

「その、なんだ。恥ずかしくないのか?」

「なんでですか?」

あ、確信した。この幻想郷という世界は、オープンなんだ……

「いいや… なんでもない…」

そうですか。と明るい声で博麗ちゃんは続けた。

「なんだかさっきから、私から目を逸らしてませんか?」

「えっ!? あ、うん? いや、なんの…ことかな…?」

ああ、わかってる。仕来りはない。合法的におにゃの子のあられもない姿を拝めるんだ。そう、わかってる。わかってるんだけど… 見れない… 罪悪感的な何かなのか、それとも俺の本能が見るなと言っているのか… とにかく見れない。

「あ、もしかして私が女の子だから?」

え、そう言う意識自体はあるのか…?この世界…

「大丈夫ですよ〜 琥珀さんですし」

え、え、何この急展開!?

「いいですよぉ〜 琥珀さんのやりたいこと、しても」

え、え、え、何何何!? 俺なんか誘われてん!?どうなんこれぇ!?

「言わせないでくださいよぉ〜 もぉ…」

っ!? 馬鹿、やめ… 当たってる! 当たってますからぁ!!
詳しくは言えないけど当たってますからぁぁぁぁぁ!!

「琥珀さんはぁ〜 こう言うのが良いんですか?」

博麗ちゃんには似合わない、ねっとりしたボイスでの追撃… うふふ、とイタズラに……

「いいんですよ〜 私からずっとしてるのも釈じゃないので…」

そう言うと博麗ちゃんは俺の手を掴んだ… そして、博麗ちゃんは… まず、俺の手を自分のお腹の辺りに当てて甘い笑みを声で伝えさせた…

「上に…持ってっちゃいますよぉ〜♪」

スゥッと、中指の先だけが、すべすべの肌の感触を味あわせてくれる… ゆっくり、ゆっくりと上に…

「あと… もうちょっと…♪」

やめろ…やめてくれ… いや実はやめて欲しくないですっ! でもなんか違いますぅ!!
ダメですっ!今度は手が、手がぁ!!




■■■



「うぅ〜 手が……手がぁ……あ……………あ?」

「あ、起きた」

見たことあるぞこの光景。目の前に人の顔がある。だけれど今度は魔理沙の顔。

え、博麗ちゃん…は?

「風呂から上がって来ないから見に行ったら、ゆでダコになって寝てたから連れて来たんだぜ」

なるほど… じゃああれは夢か……

「逆上せたんだろ。あんまり風呂で寝るもんじゃないぜ?」

思い返してみれば、一度目を瞑ってから目を開けてない気がする。つまり、そこからいつの間にか寝ていたというわけか…

うーん、残念なような、むしろ良かったような…

「そっちに飲み物用意したから、飲むといいぜ」

「ああ… ありがとう」

妙に優しい魔理沙に感謝しながら、その飲み物とやらを飲む。妙に優しいから、なんか入ってるんじゃないかと疑ったが、ただの水だった。

「あと、早く着替えるんだぜ。風邪引く」

よく見れば今の俺の格好は、タオルを巻いただけの一枚だった。そりゃ、風呂で逆上せてるのを助けてもらったんだ………ん?
魔理沙、俺の裸を見たってことか…? あれが夢だとすると、やっぱりそう言う仕来りがある訳だよな… なんか、ごめん…魔理沙…

近くに置かれていた俺の服を持って魔理沙から離れて行き、とりあえずと着替えた。
あれこれ次から次へと注文がきて忘れていたが、お礼をしなければいけない、そう思いもう一度魔理沙の元へ帰ろうとする…と、扉の向こうから魔理沙の声が聞こえる。
盗み聞きが好きなわけではないが、そこで立ち止まって盗み聞いてしまう。

「これで… 好感度上がったかな……」

ん?

「私の癖… どうやったら治るんだろう…」

癖…?

「こんなんじゃ… こ、琥珀に… 嫌われちゃう…」

ふぁ!?
何を言っているんだ魔理沙は… というかなんだ、なんか普段の魔理沙とは全然声のトーンが違うような… なんというか、ガチ乙女… ガチ恋する乙女、って感じがするぞ…
いやまぁ、確かに女の子だけど…

ん? 癖… ああ、そう言うことか。

今ほど、自分の脳みその回転が早いことを喜んだことはなかった。

つまり、自分の男勝りなところが気にくわないんだ。あぁ〜… これ気づいていいのかな…

逆だった。今ほど、自分の脳みその回転が早いことを"恨んだ"ことはなかった。だ。

魔理沙、お前、ホントに俺のこと気にしてるんだろ…
この前、『俺のこと好きなのか?』と聞いてけど… あの答えは嘘だったか… 妙にテンパってたのがそう言うわけか。

まぁ、魔理沙はあの男勝りなところがいいんだ、嫌いになったりしない。
あんま気の利いたことは言えないけど、今度そんな感じのことを言ってみようか。


あ、意外に怖いのは苦手だったりしてな。そんなわけないか。

自問自答で苦笑する俺。だがこの自問自答があんな結果を生むことなんて、今の俺には数ミリも考えついちゃいなかった。




「ん? 今思えば、博麗ちゃんって俺のこと八雲さんって呼んでたよな… おい、もしかして俺はあの子に名前で呼ばれたかったりするのか? そうだよな… 夢で出てくるんだもんな…」




■■■



「寒いから俺は神社に戻ってもよろしいでしょうか?」

いろんなことがあって季節感覚を失っていた俺だが、今わかった。冬だ。
そして今俺は外にいる。俺だけじゃない、魔理沙も博麗ちゃんも霊夢も、みんなだ。

「だめよ。みんなで探すのよ、"宝"を」

そう、宝。宝を探そうというのだ。

霊夢は手に持っている…… ついさっき"俺が見つけた宝の地図"を…
後悔している。別に、俺が欲張って一人で宝を手に入れようと思って後悔しているわけじゃない。こんな夜に外に出ることになるなら霊夢になんか見せるんじゃなかった。そう後悔しているのだ。

ああ、霊夢はかなりの銭ゲバだった。宝がお金なんて証拠は一つもないのに、宝=お金と言って今に至る。
まぁ、こんな人里から遠い丘の上にある神社にお参りにくる人なんて、空を飛べる妖怪か空間移動できる人間くらいのものだ。利益がないのだろう… でもなんか納得できる。霊夢はともかく博麗ちゃんの盗人技能は十あるなかの九に匹敵する値だ。
霊夢ができた子なのか、博麗ちゃんができた子なのかは別として、だ。


そんなこんなで始まったこの宝探しの企画。
丁度四人と言うこともあり、二グループに分かれることになった。
博麗姉妹と俺、魔理沙グループに分かれた。

魔理沙の魔法で地図にコピーを取り、グループに一枚配る。

「それじゃ、行ってくるわね」

「行ってきます!!」

ノリノリだな、あの二人… そりゃそうか、あいつらが考えた企画…というか金稼ぎだもんな。
暗い森の中へ消えて行った霊夢と博麗ちゃんを見送ってから、

「俺らも行くか」

後ろに立ち込んでいる魔理沙にそう言う。

「お、おう…」

魔理沙の声は震えていた…  
 

 
後書き
「霊! これそうじゃないの!?」

「あ〜それは私が食べ終えたガムの入ってるお菓子の箱」

「そうなの…」

もしこの場に琥珀が居たら言っていただろう「持ち帰って捨てろよ!」と。

「霊! これじゃないの!?」

「あ〜それは八雲さんが食べてたお菓子の箱」

「これは叱るべき行為ね」

琥珀はかなりの苦労人である。


一方琥珀グループ

「はくしょいっ!!」

「ひゃう!?」

「なんか今横の方で可愛い声が聞こえたような…」

「り、リスかなんかだろ。わ、私じゃないぜ…」

「そうか、そうだよな。寒いし早く帰ってコタツに入ろう…」

空気読んどこ…


やっぱり琥珀はかなりの苦労人である。 
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