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新オズの腹ペコタイガー

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第一幕その六

「皆で」
「アクセサリー欲しいの?」
「はい、ふとそう思いまして」
「そうね、それじゃあね」
「はい、そのお店に」
「エメラルドの都のお店だから」
 トロットは恵梨香と皆にこのことからお話しました。
「全部緑よ」
「エメラルドを使った」
「緑の陶器とかね」
「全部緑ですよね」
「ええ、じゃあ緑のアクセサリーをね」
「頂きます」
 こうお話してでした、そのうえで。
 皆で今度はアクセサリー屋さんに行きました、アクセサリー屋さんはとても可愛らしい内装で中に色々な種類のアクセサリーがあります。
 そのアクセサリーも奇麗な緑です、その中の。 
 ナターシャは緑のバッタのブローチを見て言いました。
「何かこれって」
「あっ、オズマ姫が」
「ノーム王の時でなられたバッタにね」
「似てるね」
「そうよね」
「あとこのブリキの梟は」
「緑でもね」
 ジョージと神宝はブリキの梟の置きもの、ブリキのそれを見てお話します。
「木樵さんがね」
「姿を変えられていた時みたいだね」
「このガラスの猫ちゃんの飾りは」
 恵梨香は緑のガラスのそれを見ています。
「ガラスの猫ね」
「あの猫をモデルにしてね」
「造られたんですね」
「そうよ」
「これいいですね」
「気に入ったのね」
「はい、あの娘そのものも奇麗ですけれど」
「緑だとね」
 オリジナルのガラスの猫とまた違ってです。
「これはこれで奇麗ね」
「そうですね」
「じゃあこれにするの?」
「そうします」
 こうトロットに答えました。
「あとは」
「他は何にするの?」
「そうですね、それじゃあ」
 恵梨香は他にも選ぶのでした、色々なアクセサリーを。皆それぞれ奇麗なもの可愛いものを買うことにしました。オズの国にお金はありませんが。
 その中で恵梨香は緑の虎のぬいぐるみを見て言いました。
「ううん、どうにも」
「どうにもって?」
「いえ、虎は好きなんですけれど」
「腹ペコタイガーが?」
「腹ペコタイガーさんも好きですけれど」
 恵梨香は少し困ったお顔で隣にいるトロットにお話しました。
「日本の虎もなんです」
「ああ、日本の虎だね」
「あの虎だね」
「そういえばね」
「今年もだったね」
 ジョージ達四人は恵梨香の言葉を聞いて頷きました。
「どうしてもね」
「いつもここぞっていう時になんだよね」
「負けるのよね」
「それで優勝出来ないんだよね」
「今年もね」 
 恵梨香は困った顔のまま言いました。
「折角いいところまでいったのに」
「あっ、野球のことね」 
 ここでトロットも気付きました、恵梨香がどの虎のことで悩んでいるのかを。
「日本の」
「はい、日本に虎は野生ではいないですけれど」
「今はね」
「昔はいました」
 野生の虎がいた場所を領土にしていたからです。 
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