| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

新オズの腹ペコタイガー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一幕その五

「どんな子達かね」
「私も見たことありますけれどかなり人間慣れしています」
 恵梨香はトロットにこのことをお話しました。
「そのことは確かです」
「人を怖がらないのね」
「むしろ自分達の方が偉いって思ってる感じです」
「そんなに態度が大きいの」
「あの子達神様の使いですから」
 恵梨香は鉄火巻きの後はイクラ巻きを食べました。
「春日大社の」
「あっ、神道の」
「日本の宗教のだね」
「神様の使い」
「その神社の」 
 四人もそれぞれ言います、恵梨香のお話を聞いて。
「それでだね」
「奈良の鹿は大事にされてて」
「それでかえって」
「態度が大きくなったんだね」
「そうなの、本当に大事にされてるから」
 むしろ大事にされ過ぎているからです。
「凄い態度が大きいらしいの」
「甘やかし過ぎ?」 
 トロットは卵のお寿司を取りました、卵焼きのものです。
「ひょっとして」
「そうかも知れないです」
「誰でも悪いことをしたら怒られるけれど」
「あの子達はそういうことがないので」
「だから悪い子達になってるのね」
「そうみたいです」
「それはよくないわね」
 事情を聞いてです、トロットは心配する様な口調になって言いました。
「やっぱり悪いことをしたら怒らないと」
「駄目ですよね」
「何もしなかったり言いがかりで怒ったらいけないけれど」
 八つ当たりもです。
「けれどね」
「悪いことをしたらですね」
「怒ることよ」
「そうしないと本当に悪い子になりますね」
「ええ、そうよ」
 こうしたお話をしながらです、皆でお寿司を食べました。その後で、でした。
 お店を出るとです、実際にハンクはお店の入口の横で丸くなって寝ていました。それもとても気持ちよさそうに。
 ですが皆が出て来るとです、すぐに起きてお顔を向けて言ってきました。
「やあ、美味しかったかな」
「ええ、とてもね」 
 にこりとしてです、トロットがハンクに答えました。
「お腹一杯食べてきたわ」
「それは何よりだね。それじゃあね」
「今からね」
「うん、行こう」 
 ハンクは立ち上がって首を横に振ってから言いました。
「他の場所にね」
「それで何処に行くの?」
「そうね、商店街を歩いて回ろうかしら」
 トロットは少し考えてからハンクに答えました、
「そうしようかしら」
「今日はだね」
「ええ、夕方までね」
「それもいいね、それじゃあね」
「今日はそうして遊びましょう」
 商店街の中を皆で歩いてというのです。
「お買いものもして」
「アクセサリー屋さんに行きませんか?」
 恵梨香はこうトロットに提案しました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧