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新オズの腹ペコタイガー

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第一幕その四

「よかったら食べてみてね」
「奈良県のそのお寿司も」
「普通のお寿司もいいけれど」
「食べてみればいいのね」
「機会があれば」
「そうしてね。あと奈良県は歴史がある場所で」
 奈良県自体のこともです、恵梨香はお話しました。
「行ったら面白いわよ」
「あっ、昔は日本の首都があったんだよね」
「古い神社やお寺も一杯あって」
「仏像もあるのよね」
「歴史のある古いものも」
「東大寺とかね」
 特にでした、恵梨香はこのお寺をお話に出しました。
「あそこの大仏さんは凄いわよ」
「あの大仏さんだと」
 ナターシャは本で読んだその大仏さんのことを言いました。
「怪獣でも勝てそうね」
「立ったらね」
「あんな大きな像他にないわ」
「若しあの仏像が立ち上がったら」
 神宝も言います。
「誰も勝てないね」
「うん、特撮映画みたいになるね」
 ジョージもお寿司を食べながら頷きます。
「それこそ」
「あんな大きな仏像があるなんてね」
 カルロスもしみじみとしています。
「奈良県ってそれだけでも凄いよ」
「あそこは他に興福寺とか春日大社もあって」
 奈良県にはというのです。
「古いものも一杯あるの」
「聞いた話だとね」 
 トロットは魬のお寿司を食べています、そうしながら言うのでした。
「奈良には鹿がいるのよね」
「はい、います」
「それで皆に愛されてるのよね」
「それが奈良県の人は違うんです」
「地元の人は?」
「奈良から来た娘がお友達にいるんですけれど」
 そのお友達のお話によると、というのです。
「物凄く大きな態度で人のお弁当とか取ったりするから嫌われてるみたいです」
「あら、そうなの」
「どれだけでも食べてやりたい放題して」
「それは酷いわね」
「ちょっと悪戯したら隙を見てやり返してくるそうなんです」
「悪戯をする子の方が悪いけれど」
 それでもと言うトロットでした。
「それはまた悪い子達ね」
「はい、ですから」
「奈良の人達はなのね」
「あの鹿をあまり好きじゃないらしいです」
「そうなのね」
「確かに奈良県のマスコットですけれど」
 それでもというのです。
「困った子達みたいです」
「近くで見ると違うのね」
「そうなんです」
「オズの国にも鹿はいるけれど」
 それでもと言うトロットでした。
「そんなね」
「悪い子はいないですよね」
「そこまで悪い子はいないわ」
「そうですよね」
「鹿だけでなく他の生きものもね」
 トロットは今度は数の子を取りました、恵梨香は鉄火巻きです。他の皆もそれぞれの好きなお寿司のお皿を取っています。
「困った子はいても」
「奈良の鹿よりはですね」
「悪い子達じゃないわ」
「人のお弁当取ったりしませんよね」
「しないわ、というかそんなに悪いことするの」
「お菓子も取るみたいですよ」
「とにかく何でも食べるのね」
 トロットは奈良の鹿についてしみじみとした口調になりました。
「厄介な子達ね」
「そうみたいですよ」
「わかったわ、じゃあ今度外の世界に行ってみたら」
「奈良に行かれますか?」
「そうしてみるわね、その子達も見てみたいわ」
 奈良の鹿達、他ならない彼等もというのです。 
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