| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

Epico40ドラゴンソウル~The Boss of Lindwurm~

†††Sideルシリオン†††

心が折れた。リンドヴルムの首領の正体が、よもや魔界最下層の、しかも王クラスの魔族・黄金竜スマウグだったとは。魔族・魔獣属の王クラスの大半がEXランクの魔力を有している。それに知能も高い。“エグリゴリ”なんて目じゃない程に強大な戦闘能力を持っている。今の、いや全盛期の俺ですらも全開戦闘でようやく拮抗できるレベルだ。

(逃げるか? 馬鹿な、こんな怪物をアールヴヘイムに放置して逃げるなど論外だ。なら戦うか? 死ぬ、これは死ぬ。八方塞か・・・! ではどうする! 考えが、解決策が出て来ない!)

「ルシル!」『マイスター!』

シャルとアイリに呼ばれてハッとする。焦りが俺の思考を掻き乱してくる。どうすればいい、シャルの視線がそう訴えてくる。複雑に絡み合った思考をすべて破棄。そして俺は逃げではなく・・・

「シャル。君の魔力を分けてほしい」

「ん、判った」

戦いの道を選んだ。シャルは何も言わずに俺に魔力を送ってくれた。契約術式メンタルリンクの恩恵だ。契約によって魔力炉(システム)をリンクさせ、互いの魔力を受け渡し合えたり、術式発動の負担を分担できたりする。シャルの魔力+神器から回収して新しく作った魔石、最悪ジュエルシードを使って・・・スマウグを討つ。

「シャルは単独レンアオムへ帰還。なんとしても転移門の意識であるケリオンを見つけ出し、門を閉じ、二度と開かないように自身を封印するように頼んでくれ」

「了か――って、はぁ!? あなたはどうすんの!? まさか・・・このままアールヴヘイムに残るわけじゃないでしょうね!?」

「それは・・・」

一度は考えた。だが「ないな。ちゃんと帰るよ」そう返す。リアンシェルトやレーゼフェアは向こう側の次元世界に居る。その2人を放ったままこちらに残るわけにはいかない。

「出来れば具体的な作戦を聴きたい!」

『マイスター。アイリも聴きたいんだよね。あ、マイスターのこと信じてないわけじゃないんだよ! マイスターの身の安全をハッキリさせておきたいだけで!』

そんな時間は無いんだがな。スマウグは俺を殺すつもりはないようで攻撃は仕掛けてこないが、今もなお全身から放つ熱波には参りそうだ。

「スマウグは火竜だ。体内で命の火が燃えている。それゆえに体内に入り込んでしまうほどの大量の水が苦手なんだ。エーギルを使えば何とか・・・」

水流系最強のエーギルを全開発動すれば弱らせることくらいは出来るはず。あとは弱まったところで真技を撃ち込めば殺すには至らなくてもダメージは与えることが出来る・・・気がする。あくまで願望に過ぎない、確実に勝てると考えることが出来ない。神秘の差で言えば2:8。俺が2でスマウグが8。魔力でも神秘でも劣る俺。シャルやアイリに言えないが・・・これは負け戦一直線だ。

『水・・・? 海は海でも雲海しか無いんだけど・・・』

「下の雲海のずっと下には海が広がっているんだ。そこから汲み上げるだけでもSSSランクの魔力を消費しそうだが、そんな悠長なことは言っていられない。アイリ。かなり苦しい戦いになるかもしれない。ごめんな」

『アイリはマイスターの為の融合騎だよ。どこまでも付いて行くし、命だって懸けるよ』

「『・・・ありがとう、アイリ』そういうわけだ、シャル。これが俺の策だ」

シャルを安心させるべく努めて笑顔を作り、「さぁ、シャル、行ってくれ」リミッターを全解除、そして水流系最強のコード・ヘーニルの発動に必要な詠唱を始めようとした時・・・


「今度は何者か! アールヴヘイムに戦乱を起こそうとする愚者は!」


ソイツは現れた。下層雲海から突き出て来たのは巨大な白蛇、名をヨルムンガンド。アースガルドに棲まう神格を有した知的生命体の一角だ。これまた予想外な出来事だった。まさかヨルムンガンドがアールヴヘイムの下層雲海に棲んでいようとは。いや、アースガルドよりアールヴヘイムの方が天界に近いし神秘も濃い。棲み易いのかもしれないな。

「ルシリオン様・・・!?」

「「ヨルムンガンド!?」」

『わぁ、大きい蛇だね・・・』

俺たちやヨルムンガンドは互いに驚愕した。ヨルムンガンドは俺たちの側へ頭部をもたげ、「この魔力、この神秘、間違いない・・・! 本当にルシリオン様なのか!? それに剣神だと・・・?」大きな蒼い瞳で俺たちを視認した。

「久しいな、ヨルムンガンド! 息災なようで何よりだ! 見た目はこんなのだが、本人だよ!」

「私は一応転生者なんだけどね。ちなみに今はルシルの味方で親友だから敵意は向けないでね」

ヨルムンガンドにそう言って頭の鱗を撫でてやると、「アンスールが瓦解して幾世霜。エグリゴリへの復讐のみを理由に生き永らえてきたが、このような嬉しき日を迎えられようとは!」歓喜の声を上げてくれた。

「しかしルシリオン様の御体はアースガルドにて、フェンリル狼の封印によって眠っておられるはずだが・・・」

「再会を喜び合いたいし、今の俺の状況を詳しくも話したい。が、今は・・・!」

スマウグへと視線を戻す。奴の目にヨルムンガンドへの警戒の色が現れていた。

「承知! 我が死力を以ってあの愚竜めを絞め殺しましょうぞ。しかしルシリオン様らはこのままお帰りになるように」

「は? いや、何を言っているんだ。俺も共に戦うぞ!」

「お言葉だが今の貴方では我らの戦について来られるほどの力は無いとお見受けする。それが貴方の存在とアースガルドに眠る御体が別々である原因であることはなんとなくだが察することは出来る。ルシリオン様。今は貴方の成すべき事を成されよ。その為ならば我はこの命を進んで捧げましょう!」

「ヨルムンガンド!!」

俺の意思を無視してスマウグへ突撃するヨルムンガンド。スマウグは口より火炎のドラゴンブレスを吐き、ヨルムンガンドは下層雲海に潜行して回避をしては下方からルーンによる砲撃を発射。スマウグはその巨体さで回避は出来なかったが、翼による打撃で砲撃を弾き逸らした。

「シャル、君は先に帰るんだ! ここは俺たちでどうにかする! なんとしても門を閉めろ! 最悪、ヨルムンガンドに後を託して俺も帰る!」

「・・・信じてるからね! 必ず私の元へ帰って来なさい!」

「私、じゃなくて、私たち、な」

そう訂正するもシャルはすでに転移門の扉から溢れ出る純白の光の中へ消えた後だった。

『マイスター・・・!』

「ああ。このまま帰る真似は出来ない。せめめ戦力を増やそう・・・! 第二級粛清執行権限、解凍!」

第2のリミッターを解除して75パーセントまでの魔力を使用できるようにする。続いて魔石1つを魔力炉(システム)に融合させる。これでEXランク一歩手前くらいのXXXランクまでの魔力を使えることになった。この時点で魔術を使ったら確実に記憶を失うだろうな。しかし今はアイリとの融合、加えシャルとのメンタルリンクによる負担の分担がある。それに・・・

(ラグナロクの影響で失われたはずのアールヴヘイムの神秘が復活している。数千年の年月でこちらの次元の神秘が再生してくれたのかもしれない)

こちらで戦えば、向こう側以上に魔術師に成り易いし、魔術の威力や効果も本来のものに戻る。その事から早々に記憶を失うことはないと思う。まぁ絶対とは言い切れないが。まったく。今日1日でどれだけ記憶を失う覚悟をすればいいんだか。

「我が内より来たれ、貴き英雄よ。其は天体呑み込む狼、其は世界に風舞わせる鷲、其は氷零の地の番兵なる犬。現れよ、フェンリル、フレースヴェルグ、ガルム!」

とにかく今はスマウグ撃破だ。“英雄の居館ヴァルハラ”から“異界英雄エインヘリヤル”としての神格持ちの狼と鷲と犬を召喚した。

「フェンリル、フレースヴェルグ、ガルム!」

俺の側に控える召喚したばかりの3頭の巨大生物の名前を呼ぶ。オリジナルではないため神秘は数段下がるが、オリジナルのヨルムンガンドと合わせて4頭の総攻撃ならスマウグもタダでは済まないはずだ。

「スマウグ竜の撃破を命ずる! この世界の生命に被害を出すことなく、しかし手段は問うな!」

ニヴルヘイムの番犬たるガルムが雄叫びを上げて下層雲海を駆けて行き、フレースヴェルグも美しい女性の声で「我が友グローイの願いだ。引き受けよう」かつての敬称で俺を呼んだ後、大きな翼を羽ばたかせて翔けて行った。

「マスター」

「フェンリル・・・。頼んだぞ!」

「イエス・マイマスター!」

フェンリルもまた下層雲海を足場に勢いよく駆け出し、「マスターの期待のためにも!」スマウグへ突っ込んでその鋭い牙で奴の尾に噛み付いた。それを見届けた俺はヨルムンガンド達に背を向け、転移門へと向かい始めたんだが・・・

「むおっ!?」

俺のすぐ側を何かが高速で通り過ぎ、その衝撃波で俺は体勢を崩されてしまった。急いで体勢を立て直し、何が通り過ぎて行ったのかを確認すると、「フレースヴェルグ!?」が転移門の扉に叩き付けられていて、体中の至るところが燻っていた。
ヨルムンガンド達の方を見れば、フェンリルは全身に魔力の装甲を纏っての体当たりや噛み付きなどの物理攻撃をし、ヨルムンガンドは口からルーンの砲撃を放ち、ガルムは吹雪を吐いての魔力攻撃を仕掛けていた。

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

接近戦を試みていたフェンリルがスマウグの右の翼に打たれ、悲鳴を上げながら大きく薙ぎ払われていた。数十トンという巨体を軽々薙ぎ払う奴の筋力はやはり凄まじい。下層雲海に叩きつけられゴロゴロ転がるフェンリルに「失せろ!」奴は炎のドラゴンブレスを吐いて追撃した。
しかしブレスがフェンリルに届く前にヨルムンガンドがスマウグにタックルしたおかげで奴の首は明後日の方を向き、フェンリルは火炙りという難から逃れることが出来た。今度はヨルムンガンドに標的を変えた奴がまたブレスを吐いたが、ヨルムンガンドは再び下層雲海に潜行して回避した。

「グローイ。私の友にして主よ。早く行きなさい・・・!」

フレースヴェルグは大きく羽ばたいて再びスマウグの元へ翔けて行った。そうは言うが、オリジナルのヨルムンガンドを筆頭とした神格持ちを相手にスマウグは善戦している。このまま何もせずに帰ることは・・・

「出来ないよな!」

――力神の化身(コード・マグニ)――

『それでこそマイスターだね!』

上級の強化術式マグニを発動し、俺の魔術師としての能力全てを強化する。治まるどころか徐々に強くなっていく胸痛と頭痛。俺はそれに構わず次の術式の発動をスタンバイ。

『エーギルを使うんだね!』

「いや。俺が単独で戦うならエーギルだが、ヨルムンガンドの存在が俺に冷静さを取り戻させてくれた、活路を見出させてくれた。死闘になることが解っている中での焦りほど自滅させる要因は無い。だから・・・まずはその黄金の鱗を引っぺがす!」

対魔の効果を有している黄金が全身にこびり付いているスマウグにダメージを与えるにはまずその黄金をどうにかしないといけない。それに全快中のスマウグの炎に、俺のエーギルが勝てるとも思えない。おそらく一瞬で蒸発させられる。

「スマウグを弱体化させるのが先だ。我が手に携えしは確かなる幻想!」

“神々の宝庫ブレイザブリク”から40近い武器型神器を一斉具現。その大半は対竜効果を持ったドラゴンスレイヤーだ。

軍神の戦禍(コード・チュール)!・・・殲滅粛清(ジャッジメント)ッ!」

号令を下して射出する。70mという巨体を前にすれば名高き神器もまるで爪楊枝。ガキン、ガキン、とスマウグの黄金の鱗に着弾した音が空に響き渡り、神器群は弾かれたあと魔力となって霧散した。

「マスター!?」「ルシリオン様!?」「我が友!?」

俺が逃げずに戦闘に参加したことに驚きを見せるヨルムンガンド達とガルム(も一応は喋れるようだが、ニヴルヘイム王家以外の者には喋ってくれない)。

「今は出来ない、逃げることなど! 最悪の時は逃げるかもしれない、すまない! だが今はまだその時じゃない! だから共に戦う! まずはスマウグを護る黄金を砕く! 第二波装填(セカンドバレル・セット)!」

さらに神器群を30と召喚。スマウグは「美しい! なんと素晴らしい!」俺の神器群に目を輝かせている。そんな奴へと「ジャッジメント!」神器群を射出。奴はまるで神器群を抱きしめるかのように両前脚を広げ、着弾時に閉じた。鱗に着弾する甲高い音、そして抱きしめによる砕かれた音が遅れて聞こえた。

「承知!」

ヨルムンガンドが全長50kmというその長い胴体を活かしてスマウグに絡みつき締め上げる。だが奴は「邪魔をするな神属がッ!」強烈な熱波を放ち、ヨルムンガンドを「ぐぉぉぉ!」引き剥がした。

「フェンリル、ガルム!」

「うんっ♪」

「・・・」

――IS(イス)――

フェンリルとガルムが同時に大きく開いた口より吹雪の砲撃を放った。スマウグの熱とフェンリル達の吹雪が衝突し、とてつもない水蒸気が発生する。視界が真っ白に染まる中、俺は「サードバレル・セット!」神器群の第三波である20弱の神器群を展開、そして「ジャッジメント!」全方位から一斉射出。

「フレースヴェルグ!」

「承知!」

大きな翼を羽ばたかせて、鋼鉄すら、下手な神器すらも寸断できる真空の刃を無数に水蒸気へと放つ。神器と鱗の衝突音の直後、フレースヴェルグの風刃が水蒸気を吹き飛ばし、健在さを見せつけたスマウグへ着弾。バチィン!と空気が爆ぜる音が響き渡った。

「くっ、やはりまだ足らないか・・・!」

スマウグが纏う鎧の如き分厚い黄金はどれ1つとして欠けることなく、なおも俺たちに美しい絶望を見せつける。奴は「改めて絶望を見せ付けてくれよう!」巨大な翼を羽ばたかせて移動を開始した。熱波を撒き散らしながらの突進攻撃。巨体を誇るヨルムンガンド達ですら悶絶しそうな一撃だ。

「(俺が受けたら影も形も残さずに消し飛ぶだろうな)アイリ!!」

『ヤー! 氷結圏、行っくよ~!』

アイリの氷結付加が俺の術式に反映される。俺は「氷結系遠距離攻撃!」ヨルムンガンド達に指示を出す。ヨルムンガンド達は「承知!」と応じてくれて、スマウグの突進攻撃を躱しつつ氷結のルーンによる砲撃を撃ち続ける。
熱の塊でもあるスマウグに着弾すると同時に水蒸気が発生し続ける。奴は水蒸気を振り切って空を翔け、ヨルムンガンド達にブレスを吐き続けていく。ブレスはとうとう下層雲海を穿ち始め、「熱っ!」フェンリル達にもダメージを与え始めていた。

「さすがは王クラス・・・!」

――屈服させよ(コード)汝の恐怖(イロウエル)・ver. Gestober――

アイリの氷結付加が施された白銀の巨腕イロウエル一対を発動。スマウグの半分ほどの大きさだが、少しくらいは拮抗できるように神秘を上級術式並に付加させておいた。

聖拳粛清(ジャッジメント)ッ!!」

ヨルムンガンドの極太な尾による薙ぎ払いのカウンターをまともに受けたスマウグは大きく前のめりになった。それをチャンスとして俺はすかさずイロウエルによる一撃をお見舞いする。イロウエルで奴の両側頭部を同時に殴りつける。魔族であってもちゃんと脳はある。そいつを思いっきり揺らしてやれば。そう思っていたが、考えが甘かった。側頭部に直撃した瞬間、イロウエル全体に一瞬でヒビが入り、砂状にまで粉々にされた。

「マスターは上級だけでお願い!」

フェンリルから遠回しな邪魔だよ発言を食らってしまった。先ほどのイロウエルも上級並だったんだがな。やはり術式の構成や土石系がダメなのか。とにかく『アイリ! もう一度!』と、氷結圏をお願いする。

『ヤヴォール!』

次の攻撃の為に足元にアースガルド魔法陣を展開して足場とする。そんな中、フェンリルとガルムがスマウグの両脇に噛み付き、フレースヴェルグが頭部に爪を立て、さらに脳天を啄み始めた。ヨルムンガンドも両後脚を締め上げる。

「邪魔だッ!!」

全身より爆炎を吹き上がらせたスマウグ。その一撃によってヨルムンガンド達が炎に呑まれ、そして下層雲海へと吹き飛ばされ叩き付けられる。しかしタダでは転ばない。叩き付けられる前にフレースヴェルグを除く3頭は氷結砲撃を放ち、着弾させた。再び水蒸気が発生して奴を覆い隠す。

「集中砲火、今!」

叩き付けられてもすぐに体を起こしたフェンリルが指示を出すと、フレースヴェルグが翼を羽ばたかせて中位の神器クラスと同等の神秘を有する羽根の弾丸を無数に撃ち込み、ガルムは雹混じりの吹雪のブレスを吐き、フェンリルは光のルーン・オセルの砲撃を吐き、ヨルムンガンドは雷撃のルーン・ソールの雷球を吐いた。どれもこれも俺の上級術式のさらに上位・儀式系に属するレベルの威力。それを連続で直撃してもビクともしないスマウグ。本当に勝てるのか不安になってくる。

「(それでも・・・!)優雅華麗なる雪風吹き舞いたる氷結の地、その盟主たる凍結の女王に願い奉る。天より降るは艶やかなる調和。地より昇るは厳かなる軋轢」

ヨルムンガンド達の集中砲火によってその場に留まざるを得ないスマウグの上下にアースガルド魔法陣が1枚ずつ展開される。

「北より来るは虚ろなる勝利。南より迫るは愚かなる敗北」

続けて前後にアースガルド魔法陣が展開。

「東より発するは穏やかなる善意。西より生ずるは静かなる悪意」

さらに左右に展開されるアースガルド魔法陣。全6枚の魔法陣の前面に、魔法陣と同じ直径である10m級の氷雪系魔力の球体が発生する。

「原初に君臨せし其の意志の下に生まれる六方の混沌にて、表裏を摂理とせし世界を染め上げよ!」

詠唱完了。

冥女王の氷天(コード・ヘル)!!」

六方の魔力球より同時に放たれる絶対零度の集束砲コード・ヘル。俺の有する最強の氷結系魔術で対魔族で弱体化効果を持つ。ヨルムンガンド達の攻撃が中断され、俺の氷結砲撃が六方からスマウグを襲撃、着弾。派手な冷気と水蒸気を噴き上げながら奴の全身を凍結していく。さらに魔石2つを魔力炉(システム)に融合させる。

「我が手に携えしは確かなる幻想! 凶竜(コード)・・・殲牙(ニーズヘッグ)。スタンバイ!」

武器型神器を数十個使用して竜形に組んだニーズヘッグを8基と一斉展開すると、「ぅぐぅぅぅ・・・!」今まで以上の頭痛と胸痛に襲われた。いくら負担を軽減しようとも、今の壊れかけの俺に優しい環境であろうとも、起こるものは起こるようだ。

『マイスター!』

「大丈夫だ!」

アイリを安心させるべく即答。ニーズヘッグは普通の魔術とは違い、元々神秘を多分に有した神器による物理攻撃だ。チュールと同様に魔術師の体調云々で威力は落ちない。スマウグにはもってこいの一撃だ。コイツで黄金を砕き、ヨルムンガンド達の協力で奴をエーギルに沈ませてやる。これで倒せるまではいかないくても弱らせることは出来るはずだ。

「結界準備!」

ヨルムンガンド達に指示を出し、「其は九界に在りし全ての生命の源にして母たる海を司る者!」コード・エーギルの発動に必須な呪文詠唱を開始。ここから海面まで12kmほどあるため、汲み上げるのも一苦労だ。向こう側だと不可能な距離だな。

「マスター! 氷が融けそう!」

判っているさ。だがニーズヘッグを撃ち込むまで保てばそれでいい。下層雲海を突き破って汲み上げられてきた海水がスマウグを覆う氷花の直上で大きな塊へとなっていく。それと一緒に氷花も勢いよく融けていく。

「(少し心もとないが、これ以上は無理か・・・!)屠殺粛清(ジャッジメント!)!!」

号令を下してニーズヘッグを突撃させる。神器の竜は氷花を砕き、「ぐぉぉぉぉぉ!!」スマウグに直撃した。それを確認し「今!」指示を出す。

――EOLH(エオロー)――

スマウグや汲み上げられた水塊を閉じ込める半球状の膜が展開された。ヨルムンガンドとフェンリルの二重結界。ソレが収縮を始め、俺は水塊の収束を解除した。

「むぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!」

スマウグが海水に呑み込まれた。結界に閉じ込められているため海水は漏れることなく、奴が逃れることもない。ジュウ!と水が蒸発する音がして、結界内が真っ白になる。完全に海水に全身が呑まれた。氷花が融けた分の水もプラスだ。確実に体内に水は入り込んだだろう。

(頼むから多少は弱っていてくれよ・・・!)

そう願わずにはいられない。直後「っ・・・!」結界内部が紅蓮の炎に満ち、そして打ち破って大爆発を起こした。爆炎と黒煙が空を染め上げ、「ぐぅぅ・・・!」爆風で吹き飛ばされるも「マスター!」フェンリルのもふもふした毛皮に抱き止められた。

「助かったよ、フェンリル」

「今の私はエインヘリヤルだけど、マスターの使い魔であることは変わらないから❤」

フェンリルより離れてスマウグの方へ視線を戻している中、「門が閉まる・・・!」ゆっくりだが扉が閉まり始めたのが判った。

『みんな。時間制限が出来た。最後まで共に戦えないこと申し訳ない!』

『そんなことないよ、マスター』

『我々はアースガルドやその民と共に生きることを誓いし者』

『友のため、命くらいは懸けよう』

フェンリル、ヨルムンガンド、フレースヴェルグ、そして『あなたはシェフィの想い人だし、今は私のマスターだし』ガルムすらも声を出して応えてくれた。

「やるではないか、神器王! しかしこの手は我が幼竜の頃より幾度と弄された手段! 対抗策などいくらでも持っている!」

スマウグがその姿を現す。ニーズヘッグのおかげか黄金の1割程だけだが引き剥がされていて、本来の真紅に輝く鱗を覗かせていた。アールヴヘイムでの戦闘だからこそ得られた戦果。向こうの次元世界に戻り、なおかつオリジナルのヨルムンガンドが居ない中では絶対に得られない戦果だ。

「(今この瞬間、この世界だからこそ戦える・・・! だから・・・)すぅ・・・はぁぁぁ・・・。限界ギリギリまでやってやる!!」

『ヤヴォール!』

『イエス、マイマスター!』

『『承知!!』』

『・・・やる』

「頂くぞ、その神器!」

こちらとあちらの次元を繋ぐ転移門が閉じるまで残り僅か。閉まりきる直前まではヨルムンガンド達と共に「行くぞぉぉぉぉーーーッ!」スマウグをボコボコにしてやる。

†††Sideルシリオン⇒すずか†††

ケリオン君と二度と逢えない。その言葉が私を突き動かした。ケリオン君をどうにかしてこの世界に留める。そのために私は何だってする。

「すずか。ルシル達がアールヴヘイムに向かった。あとは僕が門を閉じるだけなんだ。さぁ、離しておくれ」

「ケリオン君はこれでもう永遠のお別れになってもいいの・・・!?」

ケリオン君は言った。門を閉じて二度とこちらの世界と繋がらないように自分を封印するって。次元世界っていう枠組みから外れた全く別の異世界アールヴヘイム。閉じるとか封印とかを度外視したとしてもそんな分かたれた世界、一度離れ離れになっちゃうと本当に永遠に逢えなくなる。

『ねえねえ! ケリオンだって楽しかったでしょ、こっちの暮らしもさ! 無理に帰らなくても良いんじゃない!?』

ジャスミンからの通信でアリシアちゃんも説得に参加してくれた。ケリオン君は「うん、そうだね」って小さく俯いた。

「でも僕はアールヴヘイムの転移門だ。この世界に存在すること自体が異質で・・・間違い。だから居なくならないとダメなんだ」

「っ! 私は、ケリオン君の意思を聴いてみたい! ケリオンローフェティタじゃなくて、ケリオン君の!」

神器は人じゃない。それはもう解ってる。解ってるけど、だからと言って二度と逢えないような関係になりたくない。これからもずっと私と、私たちと一緒に過ごしていってほしい。だって私は、ケリオン君のことが好きだから。実のらなくてもいい。せめて友達としてでもいいからこのまま一緒に・・・。

「僕は・・・。僕も、本当は・・・すずか達とこれまでのように楽しく過ごしていきたいよ」

「じゃあ!」

「だけどそれは無理なんだよ。僕だけの意思で決められない。僕の半身、錠のローフェティタが、アールヴヘイムに帰ると言って聴かない」

「それやったらさ。そのローフェティタちゃんって子を説得すればええんやない?」

合流したばかりのはやてちゃんがフォローに入ってくれた。アイコンタクトでありがとうを告げて、「そうだよ。きっと仲良くなれると思う!」私も説得を続ける。ケリオン君は儚げに微笑むと転移門の方を見た。そして「はは。やっぱりローフェティタはダメだって」ポツリと漏らした。

「僕たちケリオンローフェティタは神属が創りし至高の転移門だ。設置されたアールヴヘイムに座することが最大の存在意義。これはもう覆らない。だから・・・帰るよ」

「そんなのダメ!」

私たちとケリオン君が平行線のやり取りを続けていると・・・

「ケリオン見つけたぁぁぁぁぁーーーーーッ!」

上空からシャルちゃん、ううん、シャルロッテさんの大声が聞こえてきた。真紅の翼を羽ばたかせて私たちの元へ降り立ったシャルロッテさんは「急いで門を閉めて!」ケリオン君にそう言った。ケリオン君を残そうとしていた私たちからして見ればそれは言ってほしくない言葉で・・・。

「うん。今すぐ閉めるよ」

「ありが――」

「ケリオン君! ダメ、閉めちゃダメ!」

「のわっ?」

シャルロッテさんを突き飛ばしてケリオン君の腕にしがみ付く。尻餅をついたシャルロッテさんは、「大丈夫ですか・・・?」なのはちゃんとフェイトちゃんから差し出された手を取って「ありがとう、2人とも。すずか、ちょっと待って」立ち上った。私は真っ向からシャルロッテさんと見つめ合う。

「ケリオン君は大切な友達なんです! 永遠のお別れなんて・・・嫌なんです!」

「・・・気持ちは解るよ。大事な人との永遠の別れは本当に辛い。私も何度も味わってる。でもね、今はそんな悠長なことを言っていられないの」

シャルロッテさんが地面に転がる“キルシュブリューテ”の柄を取ってギュッと握った。私も“スノーホワイト”をキュッとはめ治すと、なのはちゃん達が「落ち着こうよ!」私とシャルロッテさんの間に割って入ってきた。

「ケリオン。最速で門を閉めて。首領の正体は、シュヴァリエルなんか比べ物にならない程の戦力を有した正真正銘の怪物だった。あんなモノをこちらに戻すわけにはいかない。だから閉める必要があるの」

シャルロッテさんの話に私やみんなが息を呑んだ。シュヴァリエルさん以上の怪物。それがどれだけの絶望なのか、私にでも解る。解るけど・・・。私はケリオン君の腕から離れて、足元に魔法陣を展開する。

「なんの真似、それ」

「シュ、シュヴァリエルさんはルシル君が単独で倒せる相手でした! 首領がそれ以上なら、私たちやフィレス二尉が力を合わせれば勝てるんじゃないですか!?」

「ケリオン。早く閉めなさい。これは次元世界の安寧のための管理局としての命令よ」

「シャルロッテさん! 閉めないでケリオン君!」

「ケリオン!」

「ケリオン君!」

シャルロッテさんと睨み合う。みんなで力を合わせれば、もし私たちだけで足りないなら聖王教会最強のズィルバーンローゼ隊の人たちの協力も取り付けて頑張れば、きっと勝てる。そう思うから。

「あなた、管理局を、私たちを裏切る気・・・!?」

「ごめんなさい・・・それでも、私は・・・ケリオン君の事が・・・!」

シャルロッテさんからの睨み目と圧倒的な敵意が向けられた。口や膝が、全身が恐怖で震えだす。みんなから、落ち付いて、冷静になろう、そんな言葉が掛けられ続ける。たぶん今の私は冷静だと思う。だけど退けない、退きたくない。

「首領の正体は、神属と対を成す魔族と呼ばれる存在で、その中でも最強クラスのドラゴンの王の一角だった。私たちが束になったところで勝てる相手じゃないの」

「きっと方法が在ると思います! そうだ! ルシル君が持っていった神器を私たちも使えば――」

「すずか! こうしている間にもルシルが殺されるかもしれない! それでいいの!?」

「っ・・・!」

ルシル君の命と私のケリオン君に対する恋心。どちらを取るのが良いのか、深く考えるような難しい問題じゃなかった。私はとうとう膝を折って屈した。涙が溢れ出てくる。そんな私に「ありがとう、すずか」ケリオン君は優しい声を掛けて、私の頭を胸に抱えてくれた。

「ごめん。でもね、ケリオン・・・」

「いいんだ。それに門はすでに閉じ始めてた。ごめん。早くそう言ってすずかとシャルの喧嘩を止めるべきだった。でも、僕の大好きなすずかが、僕の為に頑張ってくれている姿を見ていたかった。・・・ごめん、元は僕の存在がもたらした事件で、混乱だったのに・・・」

「ケリオン君・・・、ケリオン君・・・!」

「すずか。なのは、アリサ、フェイト、シャル、はやて、シグナム、ヴィータ、シャマル先生、ザフィーラ、リイン、ルミナ、ベッキー。この場に居ないけどセレスやルシルには本当に感謝してる。僕をこれまで守ってくれてありがとう。楽しい思い出をありがとう。今度は僕が、みんなの世界を守ってみせる!」

ケリオン君の体温が消えた。触れられてるのに、そこに温かさはなかった。ケリオン君の本体である転移門、その扉が今まさに閉まりきろうとしてる。開いた扉の隙間から溢れ出す真っ白な光が少しずつ小さくなってく。あれが完全に消えた時、それがケリオン君との永遠のお別れなんだ・・・。誰も一言も発しない重く静かな空気の中・・・

『シャマル! マイスターを、ルシルを助けて!! ルシルが、ルシルが・・・!』

沈痛な声をした念話が届いた。シャマル先生が『アイリちゃん、ここよ!』即座に返答。そしてケリオン君が「彼が帰って来た。ローフェティタ。お願い」そう言って転移門の方を見たから私たちもそっちを見る。

「魔力が枯渇してる! 急いで回復してあげて!」

さっきのケリオン君みたいに宙に光が集まって人の形を取った。現れたのは綺麗な長い黒髪に銀色の瞳、ケリオン君とそっくりな顔立ちをした女の子。その子が顔面蒼白で目と鼻と口から血を流すルシル君をお姫様抱っこしていて、側には涙で顔を濡らしてるリインほどの身長な真っ白い女の子(確か名前はアイリちゃん)が居て、「シャマル!」シャマル先生を呼んだ。

「クラールヴィント、お願い!」

≪Ja≫

――静かなる癒し――

シャマル先生の治癒魔法がルシル君に掛けられる。そんな中、「アイリ。スマウグはどうしたの!」シャルロッテさんが問い詰める。アイリちゃんは「ヨルムンガンド達が頑張ってくれてる」涙声で答えたんだけど、スマウグとかヨルムンガンドというのが私には判らない。

「ケリオン・ローフェティタ! 門はあとどれくらいで閉まる!?」

「ちょっとうるさい剣神。そう騒がなくても間もなく閉じるから。ケリオン、早くこんなシケた次元にお別れしましょうよ❤」

ローフェティタさん(ちゃん付けは出来なかった。なんとなくそんな雰囲気だから)がそう言ってケリオン君の背中におぶさった。私はもう何も言えなくて、出来なくて、俯いた。ローフェティタさんは「必ず彼を助けなさいよ」ルシル君を一度だけちゃんと見た後、光となって転移門の方に消えて行った。

「それじゃあ・・・僕も行くよ。ごめんね、ありがとう」

ケリオン君も踵を返して霧散し始める。私たちは「ケリオン君!」の名前を呼ぶ。もう引き止められない。それならもう「ありがとう!」お別れをきちんとしないと。溢れる涙は拭わないまま、私は努めて笑顔を作って手を振る。するとケリオン君もまた手を振り返してくれて・・・消えた。それと同時に、ゴォン、っていう大気を震わす轟音が。転移門の扉が完全に閉まった音だった。

「・・・ふぅ。終わった・・・」

シャルロッテさんがその場にへたり込んだ。その言葉とその様子に、私たちのリンドヴルム攻略戦が今、終わりを迎えたんだということが判った。なのはちゃん達もホッとその場に座り込んでいく。私は膝から崩れ落ちて・・・ペタンと女の子座りになる。

(本当に居なくなっちゃったんだね、ケリオン君・・・)

「ジャスミン。リンドヴルムの壊滅と神器の返還を確認しました。回収をお願いします」

『了解しました! これより転送しますのでその場で待機をお願いします!』

こうして、私たちはジャスミンへと転送されて、墜落して行くリンドヴルムの本拠地だった天空城レンアオム、そして一番下からゆっくりと霧散していく転移門“ケリオンローフェティタ”を背に無人世界を脱出、管理局本局への帰路へと着いた。



















































・―・―・―・―・―・

空を進む巨大な浮遊島・天空城レンアオムが海上に墜落、静かに海底へと沈んでいく。そして空に浮かぶのが黄金に輝く門――転移門“ケリオンローフェティタ”のみとなった無人世界。夕日に照らされることによって輝きはさらに強まり、無人世界の大地を黄金に染め上げている。その転移門も足元から少しずつ消失していっている。アールヴヘイムへと帰還するための転移中だ。

「グォォォォォォォォォアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーッッ!!」

そんな転移門の扉の内側から世界に響き渡るほどの大きな咆哮が発せられた。そしてギギギと金属がすれ違うような音が続き、閉じられていた扉が開き始めた。すると咆哮の声量がさらに大きくになる。さらに何かしらの攻撃を受けているのか扉にヒビが入り始め、ボロボロと崩れ始めていく。

「おのれ・・・! 神器王ぉぉぉぉぉぉーーーーーーーッ!!」

扉の隙間から這い出て来たのは真紅の鱗に覆われた巨大な両腕・・・ではなく前脚。続いて出て来たのは竜の頭だった。ところどころに黄金に輝く鱗があるが、真紅に輝く鱗の面積の方が広い。

「このスマウグをここまで痛めつけてくれるとはなッ! だが、我は勝ったぞ、あの神属どもに! あとは貴様から神器を奪い取り、そして再び彼の地へと帰るのみだ!!」

黄金竜スマウグ。リンドヴルム首領だった者の正体。魔界最下層にてあらゆる財王を集め、何百年と眺めるコレクター。アールヴヘイムにて、ルシルの去りし後もヨルムンガンド、“エインヘリヤル”のフェンリル、フレースヴェルグ、ガルムの4頭と死闘を繰り広げた。そして・・・勝ったのだ。

「今は貴様に勝利を譲ろう! しかし! 僅かな休息の後、我は必ず貴様の前に現れよう!」

とうとう全身が転移門の扉の隙間より現れた。黄金と真紅の斑模様と化しているスマウグの体面。そこにはもう神々しさも荘厳さも何も無い。

「グァハハハハハハ! 楽しみぞ、楽しみぞぉぉぉぉぉーーーーーーッ!!」

スマウグは大きな翼を羽ばたかせ、いずこかへと飛び去って行った。そして残された傷だらけの転移門、その扉はゆっくりとだが再び閉まった。

 
 

 
後書き
イアオラーナ。
はい。リンドヴルム編、これにて終了です! え、リンドヴルム首領がまだ生きてる? 中途半端な終わり方? その通りでございます! リンドヴルムとの戦いはこれで完結ですが、スマウグと残り神器の決着がついておりません!
エピソードⅢの残りのストーリーである聖祥小学校の卒業までの間に全てに決着をつけるつもりなので。次話から、以前と同じように日常編と非日常編を繰り返しながらやっていくつもりです。そしてエピソードⅢのラスボスをスマウグとし、その結末を以ってエピソードⅣへと入っていきます!
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧