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ドリトル先生の水族館

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第八幕その三

「あの様な形の生きものは」
「その通りですね」
「子供の頃図鑑で観て驚きました」 
 そのフクロウナギの姿をというのです。
「他の深海生物もですが」
「中には自分よりも大きな生きものを食べて飲み込むお魚もいますし」
「あのお魚も凄いですね」
「深海は深海で一つの世界です」
 生物学的にというのです。
「独特の生物が多くいます」
「リュウグウノツカイもですね」
 日笠さんはこの不思議なお魚の名前も出しました。
「あのお魚も」
「はい、あのお魚にしてもです」
「かなり独特な形で」
「泳ぎ方もです」
 それもというのです。
「タツノオトシゴの様に縦に泳ぐのですから」
「普通は横に泳ぐのですが」
 身体をそうしてというのです。
「しかしです」
「あのお魚はです」
「身体を縦にして泳ぐ」
「そのことも独特です」
 生物学的にというのです、そしてです。
 日笠さんはあらためてです、こう先生に言いました。
「あのお魚を水族館で飼育出来れば」
「色々なことがわかりますね」
「はい、あのお魚はとかく謎です」
「全てが謎に包まれていますね」
「その生態の殆どが」
「ですから」
 それだけにというのです。
「あのお魚のことを調べる為にも」
「是非共ですね」
「水族館でも飼育出来ればいいのですが」
「僕もそう思います、ですが」
 ここで、でした。先生は日笠さんにお話しました。
「飼育に挑戦した水族館はありますが」
「確か一時間もしないうちに」
「僅か三十分程度で」
 それだけで、というのです。
「死んでしまいました」
「そうでしたね」
「剥製はこの水族館にあるのですが」
「それでもですね」
「生きたまま飼育することはまだ誰も成功していません」
 どの水族館でもというのです。
「世界で」
「それだけ難しいということですね」
「そうです、そもそも深海魚自体がその生態系が特殊なだけに飼育が難しいですが」
「リュウグウノツカイはですね」
「特に難しい様で」
 それで、というのです。
「まだ誰も成功していないのです」
「そうしたお魚ですね」
「僕も願っています」
 リュウグウノツカイの飼育の成功にです。
「そのことは」
「そうなのですね」
「はい、生物学の研究の意味でも」
 深海生物のそれをです。
「是非と思っています」
「そうですね、この世には不可能と思われていても」
「不可能なことは実は殆どありません」
「大事なのは努力ですね」
「努力をすればです」
 その努力がどれだけ凄いものか、的確なものかによってです。
「それは実ってです」
「不可能だと思われていたことがですね」
「可能になります」
「だからですね」
「リュウグウノツカイの飼育もです」
「必ずですね」
「成功する筈です」
 先生は日笠さんに確かな声で答えました。 
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