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召喚士の放浪

作者:功那
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大事なこと

「ん?ここは・・・?」
「ああ、やっと蘇生した」
 蘇生?えっ!?俺死んでいたの?確かにあの羽の生えた少女に引っ張られている最中に意識が無くなったのはなんとなくだが覚えている。ならどうやって蘇生した?えっ?まさか―。いやいやいや、何を考えている。あいつは俺を殺しかけたんだぞ?いくらあんなにかわいいからって、何考えているんだ、俺は。
「とりあえず、治癒魔法は使えたけど、しばらく魔法は使えないわね」
 はぁ。なんだよ、それ。って、何がっくりしているの?俺。確かにいつもならこんな美少女にしてもらいたいとは思うだろうが、さすがに殺されかけた相手じゃ、いつまた殺されるか分かったもんじゃない。だから―。
「マスターよね?えっと、さっきはごめんなさい。その―」
「いや、俺『マスター』じゃなくて、『増田』な!?ったく、なんでそう言うんだか」
 イザナミは強引に引っ張ってきたときに名前を聞いたのだが、彼は呼吸器がピンチになっているため、うまく発せられなかったのもあるが、否定するほど余裕がなかった。
「けど、さっき確かに・・・」
「確かも何も、どうして俺がここにいるのか、先に説明してもらおうか!?」
 目が覚めるとわけのわからない世界に飛ばされているのだから、少しでも情報がほしいところではある。
「まあイザナミ?誰にでも間違いはあるよ。マスターだってまだこの状況が飲み込めてないんだよ。私はサン、料理が得意なんだ。マスターのいた世界の料理は再現できるか分からないけど、どんどんリクエストしてね」
 今まで混乱状態(?)だったため、あまり気にはなっていなかったが、確かに空腹だ。異世界の料理は少し怖いが、飯は飯だ。ありがたく頂こう。
「まあ、そうね。私も少し焦りすぎたわ。順を追って話すわ。けど、その前に―」
 そう言って、サンの方向を向いた。すごい険しい顔しているけど、何が始まる?
「あの『さくら』って子、エヴァでしょ?私がマスターを召喚している間にモンスターとの戦闘に参戦していたみたいだけど、一体どうしたの?」
 エヴァ?モンスター?なんのことだ?
「こらこら、イザナミ。マスターが置いてけぼりになっちゃているよ?こう言うのはマスターに説明してからでしょ?」
 やっと今の情報が聞けるぞ。どんな状況でも、動揺しない覚悟は出来た。さあ、来い!
「簡単に言うとこの世界は今破壊神のヤハ・・・、だっけ?そんなのが世界中のモンスターを凶悪化させていて、そいつをやっつけて、平和にしようって話」
 あっさりしすぎて、逆に混乱する・・・!なんで俺こんなところにいるんだよ!?そんな物騒なことに巻きこまないで!
「マスターはそのヤハを倒すために必要なエヴァを強化することが出来るのよ。そしてエヴァに目覚めさせることも出来るのよ。いわゆる救世主ってところかしら?」
 急に嘘臭くなった。いや、最初っから嘘臭かったけど。わけのわからない世界に来るまで、ごくごく普通の生活をしていたんだぞ?友達と飲んで、リア充を妬むような生活から生きたり救世主だぁ?んなもん、信じられるか!?
「あ、そうそう、これがブレイヴガン。これでサンたちエヴァを強化・目覚めさせることが出来るのよ」
 いやいや、そんな重厚感すごそうな銃渡されても、ね?いや、その前に聞くべき点があるだろ俺!
「えっと、それをサンに向けて『撃つ』で使い方あっているのかな?」
「そうよ」
 危ないだろ・・・。それを撃ったら死んでしまうだろ!?どうやって強化するんだよ!?
「これはマスターの魔力を動力にして発動するから、怪我の心配は無いわ。魔力消費はそれほど大きくないみたいだけど、撃ち過ぎには注意してね」
 いやいや、こんな何のとりえもない俺に魔力なんてあるわけないから。それに怪我の心配がないとはいえ、銃口を向けるのには抵抗がある。
「けれど、エヴァに目覚めさせるにはそれなりの信頼関係が必要になってくるわ。エヴァは年頃の女の子たちだから少しは気をつけてよ」
 一瞬何か頭をよぎったぞ?なんだ、何だろう。ことの一瞬でもいいかもしれないと思ってしまうような何か・・・。
『エヴァは年頃の女の子たちなんだら少しは気をつけてよ』
 多分、このあたりなんだよな。どこだろう・・・。
『年頃の女の子なんだから』
 ん?ちょっと待てよ?
『年頃の女の子』
 これかー!?
「ちょといいか、お前!」
「いきなり『お前』呼ばわり?私には『イザナミ』って名前があるの!で、なんなの?」
「エヴァってのは女の子だけなのか?」
 なんだよ、その不思議そうな顔は?まあ、軽蔑はされるようなこと行ってないから大丈夫なはずだ。
「ええ、そうだけど・・・。それがどうかしたの?」
「ああ!重要なことだ!引き受けるぜ、その『救世主』とやらを!」
 イザナミとサンが唖然と引いている。
「『ラストサマナ―』がこんなので大丈夫なのかしら?」
 イザナミは頭を抱えた。おそらく、『救世主』の名誉を利用しエヴァの女の子からチヤホヤされようとしていると思われたか?無論そのつもりだが。
「ま、まあ、みんな呼んで、ご飯にでもしよう?ね?」
 どうやら、他にも『エヴァ』がいるらしく、呼ぶためか笛を吹いた。さて、他の『エヴァ』との対面だ。 
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