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蝙蝠と梟

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2部分:第二章


第二章

 二人は友達になりました。それからです。
 彼等は互いに行き来してです。お話をしたり一緒に夜空を飛んだりしました。夜空を飛ぶ蝙蝠にです。一緒にいる梟が言いました。
「蝙蝠君の飛び方ってさ」
「何処かおかしいかな」
「ううん、僕達の飛び方とは違うけれど」
 それでもだというのです。
「飛べるんだね」
「飛べるよ。それもかなり遠くまでね」
「そうだね。それにね」
 梟は両手を使って羽ばたいている蝙蝠を見ながら言っていきます。
「速いよね」
「梟君と同じ位速いよね」
「僕達みたいに羽の翼じゃないけれど」
 そこは違うのでした。梟と蝙蝠ではです。
「けれどそれでもね」
「僕もそう思ったんだ」
「蝙蝠君も?」
「うん。鳥さん達はどうしてお空を飛べるのかってね」 
 そのことが不思議だからだというのです。
「僕達と違う翼なのに」
「確かに形はそれぞれ違うけれど」
「それでもなんだ」
「飛べるよね」
 こうお互いに話していきます。
「それがよくわからなかったよね」
「けれど翼なら」
 形が違っても翼ならです。
「飛べるんだね」
「そういうことだね」
 このことをです。一緒に飛びながらわかってきたのでした。
 一緒に飛ぶ以外にもです。それぞれの御飯を食べたりもしました。
「蝙蝠君はお魚が好きなんだ」
「梟君は鼠なんだ」
「蛇も好きだよ」 
 梟は今はです。彼等が止まっている木の枝に鼠の死骸を置いています。彼が捕まえたものです。同じく蝙蝠もお魚のそれを置いています。
「梟って蛇が好きなんだ」
「へえ、蛇って食べられるんだ」
「結構美味しいよ」
 こう蝙蝠にお話します。
「簡単に捕まえられるしね」
「蛇って怖くない?」
 蝙蝠は蛇を捕まえることができません。それに蛇のその細長い形に牙が怖くて仕方がないのです。それで少し怯えて梟に尋ねるのでした。
「あれって」
「怖くないよ。だって上から襲うじゃない」
「だから怖くないんだ」
「うん、怖くないよ」
 本当にそうだと言う梟でした。
「今度捕まえるからね。それとだけれど」
「それと?」
「蝙蝠君って果物食べるよね」
 梟は今度はこのことをです。蝙蝠に尋ねたのでした。
「柿とかアケビとか」
「ああ、山のだよね」
「あれ美味しいんだ」
「そうだよ。とても美味しいんだよ」
 今度が蝙蝠がです。笑顔で梟にお話します。
「お魚みたいに逃げないしね。食べやすいよ」
「ふうん、そうなんだ」
「梟君は果物食べないんだ」
「食べないよ」
 そうだというのです。
「そういうのはね」
「そうなんだ。美味しいのに」
「僕にとっての果物はあれだね」
 ここで、です。梟はこのことに気付きました。
「蝙蝠君にとっての蛇だね」
「そうだね。お互いに好きだけれど」
「それぞれが好きなだけだからね」
 けれど今はです。彼等はお互いにお魚も鼠も食べるのでした。
 こうして夜に幸せに過ごしていました。けれどです。
 ある日です。蝙蝠も梟もお互いにこんなことを言いました。
 
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